58_ヴァンプ温泉
ヴァンプ温泉はヴァンプ村にある洞窟温泉だ
天気の良い日に入ると光が洞窟の中に入って非常に幻想的な雰囲気になるそうだ
我々冒険者は洞窟と言うとすぐに魔物や触鬼を思い出してしまうのだがここの温泉は村が管理しており施設内から直接入ることのできる洞窟ということで安全に入ることができる
私達は温泉施設に立ち寄りそこで水着を借り入浴することとなった
「あれ タマ 胸大きゅうなったんちゃうん?」
「う うにゃあ ミリ どこみてるにゃあ こうしてやるにゃ」
パシ
「まつにゃああ」
「いやん あははは」
着替え途中ミリがそんな事を言うので尻を叩いてやった 私達はふざけてこんなことをしてたりするのだがモリとランキは危険を感じてか脱衣所の隅の方で着替えているようだ
「わあ きれい」
浴場へ入るとモリが第一声を上げた 浴場は洞窟風呂だ 周りは岩石に覆われているのだが外につながっているであろう洞穴からどういう構造になっているのか鮮やかなピンクの光が差し込んでいた
「うにゃ ふうううう 気持ちいいにゃああ」
私は湯船に浸かると安堵の声をあげた 皆各自湯船に浸かっているようだ
湯船から湯気が立ち上る中ミリが湯船をゆっくりと平泳ぎでこちらへやってくる
私は咄嗟に胸を隠したが今回はおふざけはないようだ 神妙な面持ちだ
「なあ タマ どうおもう?」
「なんの事にゃ?」
「タマが吸血族の事を話したエレナルの反応や うちはエレナルがなにか隠してるんじゃ ないかっておもっとるんや」
「なんにゃ ミリも気づいてたにゃ? タマもきっとエレナルは吸血族の事をにゃにかしってるんじゃないかっておもってたにゃ ただ 本人が隠したいと思っている事だからにゃあ 無理に聞くのはにゃ・・・・・・」
「そうやな それならどうやろ 風呂から上がったらもう一度村長のところに行って村長に聞いてみるてのはどうやろ」
「そうだにゃ・・・・・・」
・・・・・・
「ふわぁ きもっちよかったなぁ ミリ ランキ」
「う うん」
「っすね」
ミリは脱衣所に戻ると体をのばして左右にふりながらモリ ランキに話しかけた
皆温泉の成分ででツヤツヤだ 私達は温かい体のままもう一度村長の所によってみることにした
・・・・・・
「なるほどな 主らはミナリアの女王から吸血族の村の事を聞いてきたというわけか・・・・・・ そしてタマさん お主の中には神器で呪われたもう一人の精神がおるということだな うむ やむなかろう この村の秘密を話してやろう・・・・・・ただこの話をするのであればエレナルもおってほしいのう すまんがタマさん エレナルもここへ連れてきてはくれんだろうか?」
「タマ 任してっす ギブレ!」
話を聞いていたランキが従魔であるギブレを呼び出す
ギブレはランキの足元からぬっと顔だけだした
「ランキ様 命を・・・・・・」
「ギブレ すまないっす エレナルにここに来るよう伝えてくれっす」
「しばし」
そう言ってギブレはまたランキの足元へ潜っていった
・・・・・・
数分後 人の形に戻ったギブレと共にエレナルがやってきた
「ばあちゃん どうしたありょ?」
「おお 戻ったか エレナル・・・・・・ ちょっとこちらへ」
村長はエレナルを近くに呼ぶと一度顔をまじまじと眺めしずかに頷いてから話を続けた
「この人たちが吸血族の村を探しているのは聞いておるかの・・・・・・ 神器絡みの呪いを受けた者の救済の為だそうじゃ ワシはお前に一族の事を隠すよう言っておったが事情を聞いてこの人たちを助けることにした 良いかのエレナル」
「ばあちゃんがいいなら・・・・・・いいありょ」
エレナルは少し伏し目がちになりながら しずかに頷いた
そしてひと呼吸おいたあと村長は静かに語り始めた
「かつてこの村は吸血族の村として栄えておった・・・・・・それまでの吸血族たちは人間の精神をすすりながら生きておったのじゃが そういった行為が他の人間たちに到底受け入れられないと知った吸血族たちは触鬼たちの精神をすするようになった 吸血族たちは自分たちの食料を得るためにと触鬼の繁殖を始めたのじゃ だがこれはこの世界にとっての禁忌であった すぐに神達の逆鱗にふれこの村は神たちにより淘汰されてしまった あとは主らが知っての通り 生き残った者たちは神の奴隷となり神器などの制作を強要されたのじゃ その後神への服従を誓った者は開放されこの村へ戻ったのじゃ 村の存在を隠すのはそういった経緯から人間たちの不安を煽らないようするためじゃよ」
「村長 この村の住民はみんな吸血族にゃのか?」
「いや・・・・・・時は無情なものじゃ 長い時間が立つ間一族はどんどん減っていき・・・・・・今残っておるのはワシとこのエレナルだけじゃ この子の両親はこの子がまだ小さなときに不慮の事故によってなくなってしまった わしらもいずれ消えゆく運命だ 考えてみれば神はこうなるように仕組んでおったのかもしれんの・・・・・・まぁ 今更じゃがの・・・・・・」
「ミナリアの女王は結界を作るときに吸血族に手伝ってもらったと言ってたにゃ 村長やエレナルはそんな知識をもってるにゃ?」
私はソフィの事を思うといても立ってもいられなくなり事の本題を切り出した
「タマさん すまないの 私達にはもうそのような知識も力ももっておらん・・・・・・じゃが・・・・・・」
村長はもう一度エレナルのほうを眺めると深い息をついて話を続けた
「エレナル・・・・・・不毛の祠は知っておるじゃろ」
「う うん ばあちゃんが近寄ってはいけないといつも言ってたところありょ」
「そうじゃ・・・・・・このようなことがなければもう立ち入ることもなかったじゃろ そこに一族の秘密・・・・・・吸血族の秘法を記した書が隠してある それがあればあるいは呪いの何たるかがわかるやもしれん これを持っていけ」
村長は机の引き出しの奥の方から小さな角の形をしたネックレスをエレナルへ渡した
「・・・・・・まぁ いずれはエレナルへと継がせようと思っていたものじゃ 祠の中は魔物が湧いておるやもしれん タマさん すまないがこの子を守ってやってもらえるかの」
私はみんなを見回し確認をとると村長へゆっくりとうなずいた
・・・・・・
その後私達は宿屋へ帰り不毛の祠へ行くための作戦を練ることとなった




