51_賢者の知識
「おい おい タマ どうしたんや 大丈夫なんか?」
視界が開けると目の前にミリが大アップで私の顔を覗き込んでいた
「うにゃああ どど どうしたにゃ ミリ」
「どうしたにゃ? じゃないわ タマ そこで動かず返事もせずに何分もいたんやで・・・・・・なにがあったんや」
「あ そそうだったんにゃ ミリ ごめんにゃ・・・・・・実は本に話しかけられてたにゃ」
「はぁ なんやて 本が話してくるやて そんなアホな」
「いいや あるかもかもしれないのです」
ラポも私のことが気になっていたのかミリの受けごたえに割って入ってきた そして続けた
「ラポも叔母様から聞いたことがあるあるのです 力のあるある本には不思不思議な力がやどやどることがあるそうそうなのです そして本はその知識に受け皿があるある者を見つけるとその力を授け自らは消えてなくなるということことだそうなのです タマ もしもしかしたらなにか受け取ったものものがあるのではないのですですか?」
「うにゃ そうにゃ タマはなんかすごく頭が良くなった気がするにゃ にゃはは」
私はなにか少し恥ずかしかった為照れ隠しで笑ってしまった
「ええ なんやて どうゆうことや なにを教えてもらったんや」
「えっとにゃ つまり・・・・・・ 簡単に説明すると 等魔空論理 魔法発動の変動によって生じる魔力とその空間の歪みとは等しいもの・・・・・・にゃんてものにゃ・・・・・・」
「はへ?」
ミリは首を傾げながら私の顔を見回す
「あ あれや タマ あ あとで医者に見てもらお きっと知らないうちにどこかに頭を打ったんや」
ミリは私の頭を撫でながら涙を流した
「や やめるにゃ ミリ なんともなってないにゃ タマは今なら竜のいない竜車でも作れそうな気がするにゃ」
「・・・・・・ タマ そのその事は他言無用なのなのです その理論は魔族のほんの一部の者にしか伝えられない禁忌の理論なのです・・・・・・その存在を知っているラポですらその習得をするするのは不可能なのです・・・・・・しかし人間でそれに気づ気づいた者がいるいるとは・・・・・・」
ラポは私の顔をくいいいるように見つめると一転ニコリと笑いながら話した
「・・・・・・ま タマなら大大丈夫なのです」
私はラポの言葉の真意がわからなかったがとにかくあまりこの事は人に伝えてはならないことのようだ 知識の事は今後黙っておくほうが良いかもしれない
・・・・・・
私達は書庫を出るとアリナにつれられ国行政官補佐カロンのいる官舎へと向かった
・・・・・・
「カロン様 魔物の討伐終了しました」
アリナはカロンへ魔物討伐の報告をすると私達を残しそそくさとその部屋を出ていった
「さて まずは今回の討伐の件お礼を言っておく 助かった本当にありがとう それでタマ約束の王宮への訪問だがすでに話はついている 私はついていけないが街の中央に有る王宮の門番へこの書状を見せればその旨が伝わる 後は城のものへ従ってくれ あとこれはお礼と餞別だ」
カロンは私に一通の書状とこの国の通貨であろう金貨の入った袋を差し出してそう言った
「おお ありがたいにゃ カロン」
「なに こちらこそ大変な思いをさせてしまった・・・・・・まぁ時間もないことだこの国の観光もできまい・・・・・・・せめてうまいものでも食べていってくれ」
カロンと別れた私達は一路王城へと向かった 官舎から王城への距離は少しばかりあったが道は狭い一本道で沢山の人で賑わっていた 私は王城の門までつくと衛兵にカロンから預かった書状を渡した
「しょ 少々お待ちください」
門に立っていた若い衛兵は焦ったよう一度門の中へ入ってしまった
「なんや 話がついとったんちゃうんか? なぁ モリ」
「う うん」
ミリがぼやくとモリはそれにそっけない素振りでおおじた
「開門!」
大きな声と共に大きな門が開く中には数十人の衛兵がずらりとならんで私達を出迎えた
パーパパパパパーパパパパー
「エイ ヤァ」
ガシャ ガシャ
ラッパの音が鳴り響きその音が終わると衛兵たちが一斉に剣を鳴らした
「な なんにゃあ?」
私たちがたじろいていると一人の侍女と思われる少女が私達に近づいてきた どうやらこの騒ぎは私達を歓迎するための儀式のようなもののようだ
「女王様がお待ちです どうぞ 勇者様方・・・・・」
私達は侍女に連れられ王宮の中へと案内された
王宮の中は私の元いたカスタード王宮に似た感じであったが所々に文化の違いを連想させる装飾が施されていた 廊下を通り過ぎる際にすれ違う侍従たちは皆私達を見かけると立ち止まり一礼をした ああ・・・・・・そうだ しばらくこういった儀礼とは縁がなかったが私も客人をもてなすためこういったことをしていたものだと懐かしく思った そして思い出すのはソフィの事だった
「こちらです」
大きな謁見室の扉が開く中はどこにでもあるような王の間であった
「女王さまがお待ちです」
侍女はそう言うと王の間の中央奥に位置した玉座に座った少女に私達を紹介した
私達は玉座の前まで行くと儀礼にしたがい膝をつき頭を垂れる
しかし 治世数百年を誇る国の長が少女とは驚きである
「面をおあげください」
私達は侍女の言う通りに顔をあげて王女を見上げる
「ふふ 見た目がこんなに幼い者が女王でさぞかし驚かれたでしょう・・・・・・私がミナリア国元首 ミナリア国王 リリ・ミナリアこの度は我が国の災禍をすくっていただき感謝しております」
女王はそういうと静かに微笑んだ
「聞けばこちらの国に来られたのはなにか特別な用があるとのこと国を救って頂いたお礼というのもおかしいですが私にできることがあれば力をお貸ししたいと考えております」
謁見室に静かな時間が流れる この広い空間に女王と対峙するこの状態におかれて何かを物申すというのは中々難しいかもしれない
「コホン キボ」
「はい」
「タマ様たち申し訳ありませんが少々お部屋を変えましょう」
女王にキボと呼ばれた侍女は私の耳元でそう囁くと
この部屋から移動するように促された
女王はなにか気に触ったのかそそくさとその場を退場してしまった
なにか非礼があったのかもしれない そんな怯えとともに皆で顔を見合わせながら部屋を出る 侍女につれられやってきたのは謁見室とは違う小さな扉の部屋であった




