50_禁書庫
#タマ目線のお話に戻ります
「きゃはは コッチだって」
リブレはももを叩き音を出しながら素晴らしいスピードで魔獣を翻弄している 私も負けてはいられない 部屋の隅で氷結魔法の詠唱を完了しているモリのところまでうまく誘導しなくてはならない
ビリリ
不穏な音が倉庫に響いた
「リブレっ」
ギブレが叫ぶ
リブレはモリの近くに置いてあった触鬼の形を模した像の角のところに盛大に服をひっかけた
「イヤン ダイジョウブ きゃはは」
とはいったものの魔獣はその一瞬の怯みを見逃さなかった
魔獣はリブレがひかっかった銅像をめがけ猛突進する
「グルルルガアァアア」
「わ わ わ」
驚いたリブレはとっさにその場所から飛びのけようとしたが滑ってそのままバランスを崩し噛みつこうとしていた魔獣の鼻のあたりに肘鉄をくらわした
「ガァアアアア」
魔獣はリブレが一瞬前にいた地点で二の足を踏んだ
「リブレ よけて」
「わ わ わ」
その瞬間モリの氷結魔法が発動する
ピ キキキキキ
「グガァアア ギュ・・・・・・ グ」
氷結魔法のあたった場所を中心に魔獣は一瞬にして凍る
「いっくでぇ でやあああ」
待ち構えていたモリは両手に持ったワンドの頭の部分を魔獣の体に渾身の力を込めて打った モリのワンドは凍りついた魔獣の胴体部分に勢い良く当たった
ゴン
「なんや 効いてないんか?」
固まった魔獣はそのままの形で固まったままだ
「きゃはは ツンツン」
すかさずリブレがやってきて魔獣をつつく
ピキキキキ
リブレの触ったところから魔獣全体にヒビが入り一気に砕け散る
砕け散った破片はその場で霧散した
「ナイスにゃ!」
私に出番はなかったが討伐は完了したようだ 結果オーライだろう
任務は完了だ
「みんな この魔石もらっていいっち?」
ランキは魔獣の落とした魔石をひろうとそれを掲げて皆に見せた
私とミリは互いに顔を見合わせたが今の所とくに使いみちはないだろう
「いいにゃ いったいなににつかうにゃ?」
「リブレにごほうびっち」
ランキはそう言ったが当の本人は魔石に関心はなさそうだ
これを褒美というランキはテイマーとして魔獣についてなにか知り得る情報が有るのだろう
・・・・・・
私達は部屋を出書庫の中庭に出た 来たときは魔獣の討伐のこともありあまり気にもしなかったがさすがは風雅の殿堂とまで言われた建物の中庭だ 美しく整えられた垣根と所々にある造形品は目を見張るものがあった
「ほら こっちだ さっさとあるけ!」
中庭ではアリナたちが館長を連行していているところだった 後ろから被害者の女性たちもついていっている 事情の聴取等がありすぐに釈放してもらえないようだ
私は先頭を歩くアリナに魔獣の討伐が完了したことを静かに伝えた
「すまん 後を頼む」
「っは」
アリナは部下の一人に持ち場を変わるように指示すると私達の方にやってきた
「どうでしたか?」
「うまくやっつけたにゃ」
「ふう やはりこの国でも魔獣に対する備えは必要だな・・・・・・さて 私達はこれからカロン樣にことの顛末を報告する 伝達に少々時間がかかりそうだが・・・・・・どうでしょう 少し書庫の中を見学していきますか?」
「おお 見せてくれるにゃ?」
「ああ 特別な場所にも連れて行こう」
「行くにゃ 行くにゃ」
アリナは私達を信用してくれているのか風雅の殿堂の中を案内してくれるということだ これだけの書庫だ なにか興味をそそるものがあるかもしれない私はすぐにアリナに返事した
その後皆に確認を取ることになったが結局皆で殿堂を回ることとなった
・・・・・・
「ここが一般にも開放されている書庫だ 貸出期間は本の冊数で決まる 普段は沢山のひとが来ているのだが今は閉めているからな」
アリナは静かにそう言うと本棚の間を通り抜けた
廊下に出ると左右に沢山の部屋がありジャンル別に分けられているようだった 中には興味をそそる本もあったが手に取るまもなく次の部屋へと案内されてしまった
「なんか くらくらしてきたわぁ」
ミリがぼやくとアリナは私の方に目配せを送ってきたので私の方ももういいよと合図を返した
「それじゃあ 最後にしましょう」
アリナはそう言って途中の部屋を飛ばすと一階上の一番奥に有る部屋へと私達を案内した
「ここが禁書庫です」
鍵で閉じられた部屋の中にもう一つの檻で囲われた広いスペースが有り厳重に本棚が守られている
「すまない ここから先へは私も入ることはできない」
「なんや はいれないんか おもろい本あるかとおもったのになぁ」
ミリは檻の中を除きながらぼやいた
私達はまわりを一回りする
「ん なんにゃ?」
私が見た方向には一冊の本が光っていた 私はその本にひきよせられるように檻に近づいた
その瞬間 眼の前が明るくなったかと思うと私の意識はこの世界とは違う場所へと導かれた
・・・・・・
「ふう ようやく出会えたねえ」
光の中で声がする
「誰にゃ?」
「うーん そうだね まぁ いわゆる本の精霊?怨念?思念?なんて所かなぁ」
「タマになんの用にゃ」
「あはは ひどい言い方だなぁ これでも昔は3大賢者の一人といわれてたんだけどね・・・・・・ 私は私の知り得た知識を知ってもらいたいだけ・・・・・・ただ 私の知識はそれを知る人間を選んでね こんなところに閉じ込められては私の知識を受け入れられる人間さえ出会うことはない・・・・・・ああ タマとか言ったね どうだい 私の知識受け取ってはくれないだろうか・・・・・・はは 返事はいいよ 無理にでも入れちゃうから・・・・・・いくよ」
「うにゃあああああああ」
膨大な量の知識が一瞬にして私の中に注ぎ込まれる
知識は戦術 生活術に経済術と幅広く果ては神の召喚法や精霊の召喚法までこの世界におけるあらゆる知識であった
「・・・・・・タマ もう会うこともないだろう まあ どこかであったら私のことも思い出してもらえると嬉しいかもね・・・・・・」
・・・・・・
「お おい タマ タマ しっかりしろ 大丈夫なんか?」
「う うにゃ・・・・・・・」
檻の前で呆然と立ち尽くしたまま数分もの間黙り返事のない私を心配してミリが声をかけてくれていた




