28_策士
「おっかしいなぁ 絶対ズルしてると思うたんやけどなぁ」
「ニャハ なんにゃ? ズルにゃんかしてないにゃ」
サイコロが2度も続けて6の目を出してしまったためそろそろミリに疑われるだろうということを察知した私はあえてサイコロに細工(魔法)をすることをやめていた 私はミリに見せたサイコロの手のひらをもう一度閉じミリの腕を払った
「ミリ いいかにゃ? タマも振るにゃ」
実は私にはもう一つ隠していることがあった それは猫人族特有の資質というべきもので極めて高い動体視力と物体の慣性予測を持っているというものだった 私はサイコロを特殊な持ち方でかまえた 中指の第一関節より下の位置と親指でサイコロをはさんだちょうど人差し指の第2関節にサイコロを置く感じだ こうしておくことによりサイコロを離す瞬間サイコロの目を読んで人差し指の先端で触り目を変えられるのだ
「いくにゃあああ にゃっと」
コロコロところがるサイコロの目
「!」
「おお すごいにゃ こんなことってあるにゃ? また6にゃ ニャハァ」
私はミリにしてやったりという顔を見せながら高らかに勝利の雄叫びをあげた
「・・・・・・うそや なんでや ありえへん・・・・・・」
ミリはすぐにサイコロを手に取り魔法の痕跡を探したが物理的に技を使ったそのサイコロに痕跡などあろうはずもなかった
「・・・・・・なんでや・・・・・・」
ミリは震えながら最後の望みをモリに託しサイコロをわたす
私がモリの方に目線を渡すとモリはなにもかもわかっているといった感じでミリに気づかれないようゆっくりとした瞬きをかえした
ただ 私 ソフィ ランキが6の目を出したことによりミリが魔法を使うのは困難な状況にあるのかもしれない
「う うん じゃあ うち・・・・・・・」
モリがゆっくりとしたモーションでサイコロをふる
・・・・・・
「・・・・・・また ・・・・・・・6 ありえへん ありえへんわ・・・・・・・せっかくのうちの計画が台無しや・・・・・・」
なんと驚いたことにモリのサイコロの目も6だった
動揺のためミリがつぶやいた言葉に私はとっさに突っ込む
「ミリ 計画ってなんにゃ?」
「うわっ やってもうた ちゃうちゃう ちゃうちゃうちゃうねん」
しどろもどろになりギャグのような事を言い出すミリ
「ミリがサイコロに魔法を付与してズルしたことはわかっているにゃ 神妙に結果をうけいれるにゃ」
こちらもズルしているがここは強く出ることでそこをつつかれないようにするのがうまいやり方だ
「うぐ・・・・・・・・」
ミリは皆からの冷たい視線に耐えられずだまってしまう
ここは皆を代表して私が沙汰をだしておこう
私は片膝を立て羽織っっていたマントを半分脱いで肩をつきだす
どこからか触鬼の拍子木のような鳴き声が聞こえてきた
「これよりミリのサイコロズルについて吟味するにゃあ さて ミリ お前は今週からの竜の世話をサボるためゲームを企画し こともあろうかそのゲームのサイコロに魔法を付与して強い目を出したにゃ 左結果明白であるにゃあが様相違にゃいにゃ!」
「うぐぐっ」
「よって 今日の晩ごはんは抜き これより1ヶ月の竜の世話を申し付けるにゃ」
がっくりと肩を落とすミリ
「これにて 一見落着にゃあああ にゃっはっは」
(タマ ちょっと 刑が重い気がするわ・・・・・・)
(そうかにゃ? じゃあ後で晩ごはん抜きはナシにしとくにゃ)
・・・・・・・
ミリはしばらくの間しおらしくしていたが夕食が始まる頃にはもういつもの感じへ戻っていた
夕食後私達はそれぞれの時間を過ごしていたが私はモリがどうやって6を出したのか気になり2人になった時を見計らって聞いてみた
「モリ ミリがやったサイコロゲーム・・・・・・最後のとき6の目を出したんにゃけどあれどうやったにゃ?」
「・・・・・・う うん」
ミリはそう言うとかぶっているフードを少しだけずらし そこから見える発光した髪を私に見せ指でつまんでみせた
「こ これ・・・・・ う うん 精霊さんに頼んだ・・・・・・ ミリ ・・・・・・ゲームに夢中で気づかんかった・・・・・ 」
その後の話でわかった事だが精霊にお願いするということはすなわち精霊魔法の行使である 精霊魔法は普通の魔法と違い魔力の痕跡が残らないということだ
「うにゃあ みんにゃ 色々隠していることがあるにゃあ・・・・・・」
そういう私もソフィのレコードオブインペリアルの詳細は話してはいないし聞かれなければ話すこともないだろう ミリ モリ ランキも他に強力なスキルを持っているのかもしれない
そんな事を思いながらモリと別れ就寝の用意に戻った
・・・・・
次の日私達は野営場所からラーバッスの街にあるサリィの家へ戻るべく出発した
途中雨に降られたりということもあったがさほどのトラブルもなくラーバッスの街へ到着することとなった
「おかえり どうだった? 薬の材料はうまく手に入ったかい?」
竜車の音で私達の帰還を悟っていたサリィは扉を開けた瞬間に話しかけてきた
「ふふふ もちろんやでぇ これや」
ミリは意気揚々として薬の材料である 大樹の木の実 光る苔 マシュの角をカウンターの上へと置いた
「おお すばらしい モリ みんな すごいじゃないか」
サリィは材料を手にとると色々な角度で見つめたり匂いをかいでみたりしていた
「うむ さっそく作るとしよう 制作には3日ほど要するだろう 竜車小屋は好きに使っていいよ」
サリィの竜車小屋には吹き抜けの2階がありそこに部屋が一つ備え付けてあった それは竜車の御者たちの休憩所となっており簡易な宿泊ができる作りとなっていた
簡易とはいえ雨風がしのげ足が伸ばせるところで眠ることができるのは冒険者にとって非常にありがたいことだ
私達はここで次の旅の計画と支度をしっかりとする事となった




