24_第3の材料 マシュの角
私達は薬師であるサリィから頼まれた持続性があり生体の臭気と姿を消す薬の3つ目の材料マシュの角を手に入れるためリンゾウの家から西にあるダンジョンを北へ向かったところにあるガネハンという小さな村に来ていた この村はマシュというめずらしい触鬼を沢山飼っていることで有名だ
マシュは4本足で動き見た目は普通の獣と変わりがなく人間にもなつく珍しい触鬼だそうだ そんなマシュは年に一度2つの月がが重なる夜に生えた角を落とし新しい角を生えさせる 村人はその角を拾い工芸品や薬などとして売っている またマシュの討伐のドロップ品であるマシュタイトは魔法武器などの材料となる為高額で取引されている
最近ではマシュタイトを巡ってこの村でもマシュの盗難や密猟などがおこっており村人たちの悩みの種となっているそうだ
私達は早々とマシュの角を手に入れたが夕刻に近づいたためこの村のはずれで野営すべくその場所を探していた
「モリ 竜車止めてや」
「う うん」
ミリは御者台のモリに声をかけるとゆっくりと止まる竜車から飛び降りた
「こんちゃあ」
「ああ こんにちわ」
道の脇で農作業をしている老婆に声をかける
「うちら 野営できるとこ探してるんやけどええとこないです?」
「ああ 冒険者さんねえ この先に村営の小さな駐竜車場があるんでそこならほかの冒険者さんもおるしええんじゃないかのぅ」
「たすかりましたわぁ ありがとう 。 タマァ この先にとめてええところあるってぇ」
ミリは元気よく老婆にお礼を言うと客車の扉を開いて私に報告した
私達はすぐにそこへ向かい野営の準備をした
ここに他の冒険者パーティーは私達のほかに3組ほどいたが特に挨拶を交わすわけでもなく皆淡々となにがしらか作業をしていた
夜になり皆寝静まったときその事件は起こった
コンコン
「だれや」
客車の中私 ミリ モリの3人が川の字のような格好で寝ていたところ客車のドアを叩くものがいた
「村が襲われている 至急 応援されたし」
男の声はそれだけを言い残し駆け足の音を残してそこを去っていった
講習を受けた冒険者の心得の中には野営地のある村へ敵襲があった場合そこの防衛義務が発生すると習った 冒険者たちは野営地を無償で借りられる対価としてその村を防衛するのだ 小さな田舎町にも竜車場(野営地)が存在しているのはそんな理由もあった
「タマ モリ いくでぇ」
「うにゃ」
「う うん」
私達は一応それぞれの武器を持ち急いで冒険者たちの持っている松明の明かりが見える場所へと向かった
「あれはなんにゃ?」
「触鬼や」
私達の眼前にはマシュを襲う3体ほどの巨大な鳥のような形の触鬼がいた
「なんや 人かと思ったら触鬼かいな それにしてもこれだけの冒険者がいながらえろおてこずっとるやないか・・・・・・」
マシュのいる柵の上を飛ぶ触鬼達を狙って冒険者たちは魔弾や矢を放つが敵の触鬼はそれをうまく撹乱しながら威嚇の声をあげていた
「ミリ 違う 触鬼の動き変 きっとどこかに操っとる人がおる」
「なんやて 触鬼使いがおるっちゅうことかいな やっかいやな」
「触鬼使いにゃ?」
「ああ あれや冒険者の中には触鬼を操って戦闘をしとる者がおるって話は冒険者の中では結構有名な話やで・・・・・・ただうちも実際に見るのは初めてや あかん マシュが どんどんやられとる はやく触鬼使いさがさな」
(ソフィ お願いできるかにゃ?)
(わかった タマ)
「レコードオブインペリアル」
一瞬ソフィの姿に戻った私の体はソフィが手に入れた神器の儀式の力で魔力を充填された
私は体に宿った魔力を目に集め触鬼使いを探した
「あ あそこにゃ」
私はここからは到底見えないであろう林の中を指差してミリとモリに報告する
「ありがと ソフィ タマ 場所がわかればこっちのもんや モリ 作戦Dや」
「う うん」
「作戦Dにゃ?」
「すまんタマ 今名付けた ウチが正面から注意を引くから横から忍び寄って魔法で拘束してほしいんや」
「う うん」
「わかったにゃ」
私とモリは静かに別れ林の方へと移動した
私達が林の両端についたころミリが敵の正面から声をあげながらつっこんできた
敵は一度指笛を甲高く鳴らすとこちらの方へ移動してきたようだ
触鬼たちは主の異変に気づきミリの上空を旋回し始めている
こうしてはいられない早く敵を拘束しなければミリが危ない
(いくわ タマ レコードオブインペリアル)
(ソフィ 新しい技 使ってみるにゃ)
「レコードオブインペリアル」
私の体をソフィーの魔力が包む
「土魔法 ダートウォール にゃああ」
私は渾身の力を込めて拳を地面に突き立てた
敵のまわりをまるでスポンジのような柔らかい土が囲む
(すごーい タマ)
(・・・・・・ソフィ ・・・・・・ 失敗にゃ 本当はもっとがっちり硬いものが出る予定だったにゃ・・・・・・」
失敗した私の壁はそれでも敵の拘束には十分な効果を発揮しているらしく中から出てくる者はいなかった
ミリを狙った触鬼たちは主の指示を失い右往左往している所をモリや他の冒険者 村人たちに討伐されたようだった
そしてダートウォールのまわりにミリ モリに加え他の冒険者が集まったあと魔法の解除が行われることとなった
「解除するにゃ」
私が解除の詠唱をすると冒険者たちは中の敵に対して身構えたが中にいたのは大の字で寝転んだ少女であった
どうやら完全に戦意を失ってしまっているようだ
冒険者たちは少女ににじり寄る
「ランキ ランキ お前 なんで・・・・・・」
声を震わせながら一人の村人が冒険者達をかき分け少女へとかけよった
どうやら少女はこの村人と知り合いのようだ
私達は身構えたまま村人と少女のやり取りを見守った
ランキと呼ばれた少女は体を起こしたがうつむいたまま喋ろうとはしなかった
バシィ
「キャッ」
村の男の平手がランキの頬を叩くとランキは小さく声を上げ頬を押さえた
「ランキ もう一度聞く なぜこんなことをした」
「・・・・・・触鬼が」
ランキは小さな声で村を襲った理由をぽつりぽつりと話しだした




