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22_黒いドレス

 リンゾウから木の実をもらい その家のお手伝いさんで魔族であるカレンへハポの手紙を渡した私たちは次の薬を手に入れるべくリンゾウの家から更に西にあるダンジョンへと足を踏み入れていた

 そこはじめじめとした暗い洞窟であったがミリとモリによると初心者用の採集用ダンジョンということもあり地下の層がなく地上の洞窟のみで魔物はほとんど出ないということであった


「ゴクリ 2つ目3つ目の材料の光る苔集めは簡単だと言っていたけどなかなかにここは薄気味悪いところだにゃあ・・・・・・」


(本当・・・・・・薄気味悪いところだわ ふう 冒険者ってこんなところを探索するのね・・・・・・ちょっと先が思いやられるわね)


 一歩洞窟の中に入るとそこは漆黒の世界 本当に敵が出てこないのか不安だ

 そんな気持ちを察してか私の独り言のような言葉にソフィの精神は同調の言葉を返した


「タマ こ ここは大丈夫やで・・・・・・う うちら 何度か来たことあるけど だ 大丈夫やったもん な なぁ モリ」


「う うん」


 あきらかに怯えている感じのするミリはそれでも去勢をはって私たちに先輩面をみせたかったらしい

 モリはそんな姉をかばうように短く返事をした


「生活魔法 燭」


 そしてモリは小さな声で魔法を詠唱し仄かな光を手の上で灯した


「これで 少し明るい・・・・・・・」


「おお にゃ」


(モリちゃんすごーい)


 モリの魔法により周囲は照らされたが不気味さは以前と残っている


「な なんや・・・・・・今日このダンジョン 様子が変やで・・・・・・なぁ モリ」


「う うん いつも鳴いてる小さな虫たちの声も聞こえへん・・・・・・」


 私たちはそれでも薬の材料である光る苔の群生地を目指し歩く


「あれ? 光る苔の生えてるところに人がいるにゃ・・・・・・」


「本当や・・・・・・冒険者?・・・・・・・いや違う なんや?」


 そこにいたのはこの冒険者のダンジョンには異質な真っ黒いドレスをまとった少女であった


(お 女の子?)


「おお 待っておったのじゃ」


(誰にゃ? 待ってたにゃ? ソフィ知り合いにゃ?)


(私 知らない ミリたちの知り合いかもしれないわね・・・・・・)


 ソフィはミリたちの知り合いかもと言ったがミリとモリは互いに顔を見合わせては首をかしげている どうやらミリたちの知り合いでもなさそうだ

 私たちはおそるおそるその少女へと近づいていく


「ああ すまぬ 初めて会うのであったのじゃったな 我の名はラミス・・・・・・ カレンよりハポの手紙を預かった 助けに行く前に詳細が知りとうてな・・・・・・お主らを先回りして待っておったのじゃ」


「魔 魔王・・・・・・」


(魔王にゃ)


(魔王様?)


「・・・・・・あのバカ ギャンブルになど手を出しよってまったく情けない 腹立たしいわぁ」


 ラミスは手紙を握りしめ一瞬強大な魔気を体中から噴出させる


(・・・・・・にゃ 恐怖で体が う うごかないにゃ)


 私たちはその威圧で魔王という者がいかに危険なものかを悟った


「あ すまん つい頭に血がのぼってしまったようじゃ 我に怯えずどういう状況なのか教えてほしいのじゃ」


 ラミスはそういうと一瞬放出した魔気を抑えながら静かにそう言った


「ん? どうしたのじゃ? もう魔気は出ておらんはずじゃが・・・・・・」


(・・・・・・タマ ひとまず 挨拶をかわしてはどうかしら?)


(わ わかったにゃ)


「こ こんにちわにゃ 手紙をカレンに渡したタマにゃ 魔 魔王さ さま」


「ほう 猫人族か・・・・・・我に言葉が発せられるとは見上げたものじゃ よいよい 魔王様等という呼び名は堅苦しくてすかん ラミスでよい タマ」


「そ そうにゃ? ラミス」


「かっかっか タマ 良いぞ かっかっか」


 ラミスは高らかに笑うと私に近づいてきた

 私は先程ラミスが放った魔気というものに恐怖したがラミスの見た目は私より小さな少女である 気さくに話ができればそれほど怖い存在ではないかもしれないと感じていた


「それで タマ ラポは今どうしておるのじゃ?」


 私はラミスの問に対して一瞬 首輪をつけられ引かれていたラポの姿を思い出した


「・・・・・・ラポはグレの町の近くにあるどこかのギャンブル場で監禁されてるにゃ」


「うむ」


(私たちがラポを陥れた張本人だってことは言えないわね)


(にゃ・・・・・・・言えないにゃ)


「どこかとはどこじゃ?」


「それがタマたちも外が見えない状態でつれていかれたにゃ ただ グレの町から竜車で半日くらいのところだということはわかるにゃ」


「うむ だがそれだけではな・・・・・・他になにか思い当たることなどはないのか?」


 私は記憶をたどる


「そ そうにゃ なにかひどく臭う感じがあったにゃ 死人の匂いのようなものを感じたにゃ」


「む」


「・・・・・・・」


「特定したのじゃ」


 ラミスは目を閉じ黙ったかと思うとぱっと閉じた目を開けてその場所を特定したと言った


「かっか 死を司る我 この王国内で死臭が漂っておるところなら特定はたやすいことじゃ どれ さっさと連れ帰ってくるとするかの・・・・・・ タマよ礼を言う またどこかで会うこともあろう これをやろう 魔族がらみでこまったことがあればこの魔族の紋章を見せればよかろう それではさらばじゃ かっかっか」


 ラミスは小さな紋章を私に渡すと高らかに笑いながら羽を広げその場から立ち去っていった


「あ 虫の声や・・・・・・」


 ラミスの去った洞窟内はまるで違う場所に来たような錯覚に陥るほどの景観のかわりようであった 採集場所は光る苔でぼんやりと明るくなっていた

 その後落ち着いた私たちは採集にとりかかった


(うにゃあ 怖かったにゃあ)


(魔王ってあんな感じなのね 私も今度ちゃんとご挨拶しなくちゃね・・・・・・)


 姫はあんなもの・・・・・・・魔王の桁違いの魔気を見せられながらご挨拶などと言っている 私はできれば2度と出会いたくはないと思った





































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