19_薬の材料
「・・・・・・っちゅうわけでうちらの匂いを消す魔法薬を調合してほしいんや ああ こっちはうちらのパーティの仲間でタマや」
ミリは私たちが赤顔族の村へ行くこと インキュバスの街を迂回して渓谷を通ること その際高レベルの魔獣や触鬼を避けたいことなどをサリィに説明した
「むむう また 難儀な・・・・・・ だが おもしろい 持続性があり生体の臭気と姿を消す薬ってことか・・・・・・ 作れないというわけではない ミリ ちょっと待ってろ」
サリィはみおもいたったようにガバッと体を立たせ振り返るとまだ煙の残っている調合室の方へと足早に入っていった
「ガホゥ ゴホゥ やばい また少し肺にはいったようだ ゴホゥ」
片腕で口を抑え出てきたサリィのもう一方の手には古びた魔法書があった
「本にゃ?」
「ふう もう少しでまた眠ってしまうとこだった ミリ モリ タマ 見てくれこれだ」
サリィはそういうと店のカウンター横にある机に私たちを集めその本を広げ説明を初めた
「・・・・・・故に 魔法の生成とともにこの成分が蒸発・・・・・・わかるか?」
なにやら難しい講義が始まった 興味はあるが難しすぎてまだ私には理解ができない モリはフンフンと頷きながら真面目に聞いているようだ ミリも興味があるようだが途中から私とよく目があう為お互いニヤニヤするしかないという事態が発生していた
「・・・・・・ということなんだが 残念ながら3つほど材料が足りん ミリ 君たちが冒険者としてこの材料を集めてきてくれるならできた薬を安くで分けてやってもよいのだが・・・・・・」
「にゃんと 薬を安くしてくれるにゃ? いくにゃ いくにゃ 」
私はこの提案を素直に喜んだがミリとモリの顔色がすぐれない
「・・・・・・どうしたんにゃ? サリィは薬を安く譲ってくれるといってるにゃ うれしくないにゃ?」
「・・・・・・まあ うれしいんやけど・・・・・・なぁ モリ」
「う うん」
ミリとモリはお互い見合ってコクリと頷く
「どうする? ミリ? また行ってくれるのか? ハハハ」
「・・・・・・またにゃ?」
「ああ タマ うちらは前に一度この中の一つの材料を取りに行ったことがあるんや・・・・・・なあ モリ」
「う うん」
「実はこの中の一つの薬は入手が非常に難しいものなんや なぁ モリ」
「う うん」
ミリとモリはなぜか少し赤面しながらお互い顔を見合わせている
サリィはそんな2人を見ながらニヤニヤしている
(難しい? ドロップする敵が強いのかしら?)
「なんにゃ?敵が強いにゃ?」
「ま まぁ 強いっちゃあ 強い ・・・・・・やけど敵じゃないし 戦うわけじゃ ないんや ま まぁ 行けばわかる タマ そこはタマにまかせてええか? きっとタマなら交渉 大丈夫・・・・・・やで なぁ モリ」
「う うん」
(ソフィ どう思うにゃ? 交渉だそうにゃ)
(ふふ そうね まぁ 戦闘ではないって言うなら私達でも大丈夫そうね タマが困ったら私が手を貸すから・・・・・・)
「わ わかったにゃ タマがその人と交渉するにゃ」
「そうかぁ 君が やってくれるかぁそうかぁ ありがとう ありがとう」
サリィはそう言って私の手をとりながら涙を流しながら喜んだ
・・・・・・
「ま そういうわけだ 気をつけて集めてくるんだ いってらっしゃーい」
私たちを送り出す満面の笑みで手を振るサリィを後ろに竜車は出発した
今回のミッションではミリとモリの竜はサリィへ預け1台での移動となった しばらく 御者はモリが代わってくれるらしい
「・・・・・・ほな タマ どうするんや? 簡単なミッションを先にこなすんか? それとも・・・・・・」
ガタゴトと揺れる竜車の中 ミリと私は作戦会議だ
「うにゃ タマとしては難しいミッションを先にこなしてしまいたいにゃ ちょっと待ってにゃ ソフィにも聞いてみるにゃ」
(・・・・・・そうね 成功すれば結果は同じに見えるでしょうけど過程の時点で最後のミッションまで負荷がかかることを考えると最初にその負荷をなくしてしまったほうがいいと思うの だから 私もタマの意見には賛成だわ)
「ミリ ソフィも最初に難しい方のミッションをこなしたほうがいいと言ってるにゃ」
「そか モリ 爺のところが先や」
「う うん」
ミリが御者台のモリへ小窓から作戦を伝えるとモリは次の交差点で竜車の進路を西へと変えた
「にゃ ミリその難しいミッションっていうのはどんなミッションなんにゃ?」
(私も興味ある)
「あ いや ああ その難しいミッションちゅうのは あれや この世界でも珍しい木の実をとある爺からもらうんやけど・・・・・・ この爺が少し変わりもんなんや やから その木の実をもらうのが1番難しいっちゅうわけや だ 大丈夫や タマやソフィならきっと大丈夫や なぁ モリ」
「・・・・・・う うん」
ミリは焦ったように御者台のモリへ小窓から同意を得る
「な なんか 怪しいにゃ・・・・・・」
・・・・・・
「ついた」
モリは竜車を止めると私たちに目的地へついたことをつぶやくように伝えた
「タマ ここやで」
私が竜車の窓から外を眺めるとそこには大きな木を取り囲む様に作られた塀がありその奥に屋敷のようなものが見えた
竜車を屋敷から少し離れたところに停めた私たちは大木を取り囲む塀から玄関らしきところにたどり着き声をあげる
「ごめんくださいにゃあああ」
(誰もいないのかしら)
「ごめんくださいにゃあああ」
・・・・・・
数度の呼びかけにも返事がない と思った矢先
「あら あら そんなに大声出さなくてもちゃんとおりますよ」
(ひぃ いつの間に後ろに)
そこにいたのは話に聞いていたような老人ではなく目を髪で隠した少し背の低い女性だった
「あらあら あなた方は1度ここにきたことのある子達ね ・・・・・・そう あの木の実をとりにきたのね だんな様は今 ここにはいませんよ もう少しで帰ってくるから 中で待ってて」
そう言ってその女性は私たちを塀の中へと案内した