表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/78

16_ミリとモリ

「モリは超優秀な魔法使いなんや うちは全然やけど・・・・・・ただちょっと人見知りが多くってなぁ」


 ミリはそういって私に双子の妹のモリを紹介するとモリの手を引っ張って私の前に立たせた


「やん ミリ・・・・・・ ひっぱらんといて あ あの・・・・・・ タマさん モリも一緒につれていってほしい・・・・・・」


 モリはそれだけいうとミリの影へ隠れてしまった


(ソフィ どうするにゃ?)


(ミリとモリ 向こうも2人で1人って感じね 一緒にいきましょ それにモリ なんかかわいいわ うふふ)


「にゃあ みんなで赤顔族の村に行くにゃ あと タマもちょっとミリとモリに話しておかないといけないことがあるにゃ・・・・・・」


 これはもちろん姫のことである 姫は最近行動の殆どを私に委ねている とはいえ私と精神が入れ替わることはよくあることなのでその際性格や振る舞いが大きく変わることは明白だ ここはミリとモリにしっかり説明をしておく必要があるだろうと考えた


「タマ? それはなんのことや?・・・・・・ 」


 グルルルル


 どこからか聞こえた大きなお腹の音に3人は顔を見合わせる


「あはは すんまへん うちや ・・・・・・あの タマ うち お腹がすいたんやけどなんか食べへん?」


 少しだけ照れくさそうに顔をあからめたミリはそう言って私から目線をそらした モリもミリの後ろでうふふと笑っているようだ


「にゃはは ちょうどいいにゃ みんなで食事にゃ その時にタマの話をするにゃ」


 私は食事を取るため私達の竜車がつないである川のほとりまで行くことにした そこであれば少々火を使い料理をすることもできるだろう

 ギルドの建物を出たあと私たちは一度別れミリとモリは自分達のものであろう2人乗りの鞍を装着した竜をつれてやってきた 


「どうや? かっこええやろ 自慢の青竜や」


 そう言ってミリは自分の青竜をひとなでした

 ミリとモリの青竜は私たちの赤竜とは見た目が違いかなりスリムな印象を受ける 角の数も私たちの物より少ないようだ 

 たしか竜車を私たちに売ってくれたお店の人の話によると青竜はスピードタイプだと言っていたような気がする


「年はとってるけど一応ハイエンドタイプなんやで」


 竜車の竜は性能によってハイエンドタイプ ミドルレンジタイプ ローエンドタイプに別れている 私の買った赤竜はハイエンドタイプの中古竜だ どうやらミリとモリの竜もハイエンドタイプの中古竜のようだ


「タマ それでどこにいくんや? もう旅にでるんか?」


 ミリは竜を座らせるとモリに乗るように手で合図を出しながら私に聞いた

 モリは恐る恐ると言った感じで竜についている鞍にまたがった


「にゃ タマには竜車があるにゃ 川のほとりに置いてあるにゃ そこでご飯を食べるにゃよ あとここには明日までいるにゃ 販売所に出してるドロップ品確認したいしにゃあ にゃはは」


 たった一つだけであるが初めて出したものだ 売れたのかどうかは確認しておきたい


「そうなん なら うちらも近くでテントはる事にするわ」


 ミリはそう言って竜の頬をひとなですると確認のためにモリに目線を送った

 ほどなく私たちは川のほとりについた


(タマ 魔法の解除しとかなきゃね)


 よかった・・・・・・すっかり罠の事をわすれていた そのまま御者台に乗っていたら半日は動けなくなっていただろう

 しかし私は重大な失敗に気づいた 私は付与した魔法の解除の仕方がわからない 


(ソフィ 困ったにゃ・・・・・ 解除の仕方がわからないにゃ)


(・・・・・・それは困ったわね うーん 仕方ないわ かっこ悪いけど ミリに聞いてみるのがいいかしら・・・・・・)


(・・・・・・にゃ)


「ミリ ちょっといいかにゃ」


「なんや? タマ ミリもモリももうお腹がペコペコや・・・・・・」


 ミリとモリは竜の鞍にあったテントをおろし野営の準備を初めていた


「実ははずかしい話なんにゃが竜車の防犯の為にタマが付与した魔法の外し方がわからないにゃ」


「なんや タマ 解除の仕方もわからん魔法を使ったんか? あはは 無謀すぎるやろ ちょっとまってやうちもそっち方面はさっぱりやからな・・・・・・ モリ」


「う うん 聞いてた・・・・・・ タマちゃ・・・・・・ どれ?」


 モリは大きな杖を両手に持つと私に竜車のどこに魔法を付与したのかを小さな声で聞いてきた


「モリ にゃはは 悪いにゃ この御者台にゃ」


「う うん」


 モリは自身無げに見えたがその場で杖を構え詠唱を始める

 モリの持っている杖が薄く緑の光をまとうと難なく魔法の解除を行なった


「う うん も もう 大丈夫」


(きゃあモリちゃんすごーい かっこいい)


 私の中でソフィがはしゃいでいる


「あ ありがとにゃ モリ・・・・・・ その あとで魔法のこと教えてほしいにゃ・・・・・・」


「うん」


 モリはそう言うと隠れるようにミリの後ろの方へ行ってしまった


(モリちゃん待ってぇ)


(姫?)


「じゃあああん タマ 見てや これ」


「?」


 ミリが出してきたのは生の肉だ


「はは なんや 今日は パーティー結成の特別な日なんやでぇ さっき直売所で買ってきたんやで こいつはちょいお高めのやつや うまいでぇ」


「おお にゃ」


 ・・・・・・


「それじゃあ パーティ結成を祝って乾杯や タマ 」


「にゃはは 乾杯にゃ」


 私たちは竜達を背に焚き火を囲み食事をはじめる


「それで タマ うちらに話しておかないとあかんことってなんや?」


「・・・・・・」


 少しの間私たちの間に沈黙が走る


(タマ いいわ )


 姫の準備は良さそうだ


「ミリ モリ 聞いてくれにゃ 実はタマの中にはもう1人の人格が存在してるにゃ・・・・・・」


「な なんやて? どういうことや?」


「にゃ どう話せばいいかわからにゃい ただ儀式の際 神器の不具合でこんな体になってしまったにゃ 姫」


 私は意識をそっと沈め姫の精神を表に出した あらためて自分の体?いやソフィの体を観察してみると顔つき性格はもちろん髪の色や肌質も少し変わっているようだ


「んもう タマ 姫って呼ばないでって言ってるのに・・・・・・ あ こんにちは始めまして・・・・・・でいいのかな ソフィーです」


「え あ 始めまして?」


 ミリもモリも私の突然の変貌ぶりに驚いているようだ 私はしばし静かに見守るとしよう














 )



 





















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ