12_魔法で触鬼狩り
日雇いの仕事から竜車へと帰った私達は簡単な食事をとり就寝の準備をさっさと終わらせる
(タマ 明日はどうするの?)
姫が心配そうに私に語りかける
(そうだにゃ 日雇いの仕事に出ても情報はほとんど手に入らない上ににゃんだか後味がすごく悪いにゃ・・・・・・もうあそこには行かないにゃ 明日は南へ移動することにしたいにゃ・・・・・・)
(そうね・・・・・・なんだか本当に後味が悪い感じ タマ 私達触鬼狩れるかしら・・・・・・旅をしながらお金を稼ぐなら触鬼ドロップを売るほうがいいような感じがするわ)
(にゃはは 姫 たぶん そんなかんたんな事じゃにゃいと思うにゃよ・・・・・・)
竜車の中 私は横になって姫とそんな話をしていたが疲れもあってかすぐに私達の意識は眠りに落ちてしまったようだ
・・・・・・
次の日早朝私達は駐竜車場を後にする
竜車は静かにすんなりと動いたが目的とする赤顔族の村への道のりはまだまだ長いだろう
(タマ ほら見て あそこに狩れそうな触鬼いるよ ちょっと竜車止めて狩りしてみない?)
そう姫に言われて見た先には小さな岩のような亀のような触鬼が2.3匹ほど群れをなしていた
「姫 あれを狩るのかにゃあ? 本気にゃ?」
・・・・・・私は怖い
「タマ 大丈夫よ だってあの触鬼動き遅いし弱そうじゃない あと タマ その姫って呼ぶのもうやめてほしいの 私達はもう運命共同体でしょ? ソフィー かソフィアって呼んでほしいの」
なんか国を出てから姫が急に力強くなってきているようにも感じる カラ元気なのかそれとも姫という重圧から開放された為なのか・・・・・・なににせよ 姫が明るく振る舞ってくれるのはうれしく感じる
「わかったにゃ ソ ソフィひ ソフィ こ これでいいかにゃ? 」
少し照れくさい
「そうそう それでいいの タマ これで私達は普通のお友達って感じだわ うふふ よおし じゃあ 頑張って触鬼ドロップ狙うわよ」
私達は竜車を路肩に止め近くにあった木に竜をつないだ後ナイフを装備してそっと獲物の方へと近づいた
一応ナイフを持っているのだが普通に近づいては獲物に逃げられてしまうのは必死だろう 私は事前に魔法で触鬼を倒すよう姫と相談し姫の力を借りることとなった もちろん姫は協力してくれるようだ
獲物は私たちに気づいているのかいないのか動かないままひとところに固まったまま何かを食べている
「レコードオブインペリアル 王気の魔導」
姫の特殊スキルである王気の魔導が発動し私の体に魔力が充填される
「にゃにゃにゃ ソ ソフィ やっぱりこの能力すごいにゃ タマの魔力だけだと火をつけるのが精一杯・・・・・・にゃはは この魔力があれば空だって飛べそうにゃ」
(タマ 空は飛ばないで・・・・・・)
私は職鬼が見える位置まで近づくと圧縮した魔弾が発射できるよう人差し指を触鬼に向けて構え指の先へと魔力を集めた
「にゃ」
バシュッ
「ギャッギャアアア」
放たれた魔弾は1匹の亀のような触鬼に命中すると仲間の触鬼たちは羽を広げ倒れた仲間を見る間もなく鳥のように空へと一斉に飛んでいった
(いやん 飛べるの?)
(にゃんと)
姫も私もまさかあんなものが羽を広げるなどとはおもいもしなかったため驚愕の声を上げた
しかも思っていたより触鬼の動きは敏捷で普通に剣やナイフで仕留めることはできなかっただろう
倒れた触鬼はその場で霧散しドロップ品を落とした
「タマ どう?」
「ソフィちょっと待つにゃ」
私達は恐る恐る触鬼が霧散したあたりに近づいていく
「あったわ」
「おお やったにゃ」
そこには七色に光る半透明な欠片が落ちていた
「うわあ タマ きれい きっと高く売れるわ」
「にゃはは 本当にゃ これは高級品にゃ ソフィ 次の街で換金してもらうにゃ」
私達は欠片を眺めながら竜車へと戻り出発した
このときまだ私達は触鬼のドロップ品の中には毒のあるものや呪われているものがあることを知らなかった 幸いにもこの亀のような触鬼のドロップ品はそういった類のものではなかった
私達がそれを知ったのは次の町でドロップ品を売るために立ち寄った冒険者ギルドでの冒険者講習を受けたときであった
「タマ あれ町じゃない?」
ソフィは精霊たちが浮遊し始めた薄暗い夕刻の帳の中でいち早く灯り始めた町の明かりを見つけ私に報告する
「おお 本当にゃ 近くに竜車場がにゃいか探すにゃ」
私達が町に入ったときあたりはもう真っ暗になっていたが幸いにも竜車場はすんなりと見つけることが出来た
「にゃにゃ ソフィ 起きるにゃ にゃんだか外が騒がしいにゃ」
(うんん・・・・・・ 朝のお茶はぬるめでおねがい・・・・・・ むにゃむにゃ・・・・・・)
どうやら寝ぼけているようだ私はまだ休んでいる姫の精神をほっておいて竜車の窓を少しだけあけ外を眺めようとした
「にゃああああああああああ」
私は驚いてすぐに少しだけ空いた竜車の窓を締めた なんと向こうから人がこちらを覗いていたのだ
「にゃ にゃんだ?」
おそるおそるもう一度窓を少しだけあける
そこに見えたのは私の竜車を避けるように通っていく人の波の姿だった
私は焦って荷台を通って御者台のほうへ移動し竜車を動かすと人気のない方へと移動させた
御者台からもう一度ゆっくりとその人の流れを確かめる
(タマァ どうしたの? 何この人達)
「ソフィ どうやらこの人の流れは町の中心へと続いていそうだにゃ なにかあるのか聞いてみるにゃよ」
私は御者台からおり道行く商人らしい人へと声をかけてみた
「すみませんにゃ 皆さんどちらにいかれますにゃ?」
「ああ なんだ 君はこの辺の人じゃないのか? 今日は年に一度の収穫祭がこの町 スクファ で行われるんだ 町の通りはほとんど露天で埋め尽くされるからな俺達も急いで場所を確保しなくちゃいけねえ あはは ま ねえちゃんも楽しみな」
(にゃんと お祭りとは・・・・・・この町はスクファというにゃ 人も多いし赤顔村へ行く良い方法の情報が手に入るかもしれないにゃ・・・・・・)