10_カードゲーム
「それでは最初はルール説明ですのでお金はかけないでください それじゃあ 簡単にいきますよぅ こちらの触鬼カードと言われるものにたくさんの触鬼とそのステータス 属性などが書いてあります 私が5枚カードを皆様にお配りしそれを皆様の手札とします私の目の前には場と呼ばれるカードの山をつくります そして順番に5回だけ場の上から一枚ずつカードをとっていただきいらないカードと交換してください そのときに硬貨をベットしていただきます 最終的に出来た役で得点を計算して多いほうが勝ちでございます 尚 役と詳しい説明については皆様の着いている机の上のカードとあちらの壁に貼ってある看板をごらんください」
ゲームマスターは先程のおどおどした感じとはうってかわって流暢に説明をし持っているカードを自分の目の前に置いてゲームの説明をしていた
「はやくやく するする ゲームするするんんだよだよ」
私の隣に座っていた明らかに魔族であろう大きな角のついた私と同い年くらいの女の子がゲームマスターをせかす
「まあまあ ハノー・ラポさま・・・・・・ 焦らないでください 初めてのお客様もいるのですぅ 今回は魔王 従者のカードありでのゲームと致します」
ゲームマスターはラポという女の子に笑顔をつくり対応する
「むむうう ラポは はやくやく ゲームをやりたいのだのだ」
「はいはい わかりました それでは皆様準備が出来ましたら最初のゲームランクを決めるためのカードを一枚ずつひいて下さい」
どうやらゲームが始まったようだ ゲームに参加している3人ががチップを場に書かれた円の中に置いていく
(にゃにゃ ゲームするチップってどこにあるにゃ?)
私は焦って老婆と入ってきた入口の方を眺めたがもうそこに老婆の姿はなかった 私は着替えさせられた服のポケットをとっさに弄るとその中に4.5枚の硬貨ののようなものを見つけた
(きっと それね タマ)
姫がそっと私にささやく
私はポケットからとりだした硬貨のようなものを確かめるとこの自分のことをラポと呼んでいる女の子と同じ色の硬貨を一枚円の中においた
「はい それでははじめますぅ 今回のレートは2倍です このレートは皆様が上がった役に付加されますのでよろしくお願い致します」
・・・・・・
私の目の前に5枚のカードが配られる
私のカードは風属性の弱そうな触鬼の描かれたものが2枚 あとはそれぞれ火属性 水属性 土属性のこれまた弱そうな触鬼が描かれたものが各1枚づつであった 私は役の中でも集める難易度が低そうな属性をそろえるという役を目指すことにした
「タマさん それでは カードの交換とベットをお願い致します」
私は言われるがまま一枚のカードを開き場の隣に差し出した
初めてのことなのでベットはしない ここは様子見だろう
(なかなか 面白そうなゲームだわ)
姫は興味津々だ
「これはこれは・・・・・・」
ラポの隣の短髪の男は むむ とうなりながら一枚のひときわ派手な装飾のカードを場に出した
「魔王のカード ラミスが出されました タマさまラポさまは一巡お休みとなります」
「んもうもう おば様のカードはつよつよすぎすぎる もういやいやぁ」
ラポは頭を強く振るとくちびるを噛んだまま自分のカードを凝視した
短髪の男は余裕を見せながら2度めのカードをチェンジするとにやりと笑った
どうやらこの男の役はこの2回のチェンジで完成してしまったようだ
男は次のチェンジはしないでベットを上乗せした
私は最後の交換のカードまで役を揃えることはできなかったがこの一戦で大まかなゲームの流れを掴むことが出来た
「ムグウ ままま まけまけ たのたのぅ 次はぜったい勝つ勝つから」
ラポは悔しそうに地団駄を踏んだ
次の一戦でラポは小さな役をつくり勝利する
何度かの対戦で分かったことだがこのゲームの肝はカードの中に魔王とその従者などもはいっていてそのカードで戦局がガラリと変わることだ先程のラミスのカードは他の者の動きを止めるものであったがカードによっては特殊カード以外のすべてのカードの代わりになるものや相手のカードをオープンさせるものまであるらしいことを机の上の説明板によって知ることが出来た
・・・・・・
ゲームの終盤に差し掛かると私ともう一人の男は得点を大差をつけられラポに負けていた
「ラポが いちいち いっちばーん きょうきょうもいちちばんなのなのなのだぁ」
大はしゃぎするラポは上機嫌に歌でも歌い出しそうな勢いである
だがその後ラポは勝ちに恵まれずズルズルと小さな負けを重ねていた
(タマ 見て今回のカードすごくいいわよ・・・・・・)
「本当にゃ これはきれいなカードが入ってるにゃ」
姫は私に配られたカードを見ると少しだけ興奮した様子でそのことを私に伝えた
美しいカードはキラキラと輝く白髪の魔王のカードでありアスモディウスと呼ばれているカードだ このカードは他のプレイヤーのカードすべてを場に流すことのできるカードであるだけではなく持っているだけで最高の役がつくまさにチート級のカードであった
私は最後の自分の番になりこのカードを差し出す
「はい タマ様の勝利です」
ガチャン
ゲームマスターが私の名前をコールすると後ろの方で何かが割れるような大きな音がした
(タマ あの人・・・・・・)
振り返るとそこにはさっきまで姿の見えなかった老婆がこちらを見てなにかサインを送っていた
(そうにゃ そういえば タマの仕事はこのゲームで勝ったときに大喜びをすることだったにゃ)
「やったにゃーー やったにゃあ 勝ったっ勝った うにゃあ ニャハハ 勝ったニャア」
私は大げさに机を叩いて喜びの感情をあらわにした
隣のラポの様子がおかしい
なんだかぷるぷると震えているようだ
「とてとてとても くやくやしいの初めてゲームをするするこんなに汚い人にまけまけちゃったの ラポは次はぜったいたいに勝つから」
「しかし ラポ様・・・・・・もう資金が底をついているのではありませんか?」
ゲームマスターは諭すようにそういったが
ラポは真っ赤になって反論した
「うるうるさい これをかけかける それで足りない分はラポが働いてかえかえすから」
ラポは胸にかけた美しいペンダントを外すとそれをそのまま自分の前に置いた
「そ そうですか・・・・・・ それでは特別にそれを許可致します 始めましょう」
ゲームマスターはラポに見えないよう含んだ微笑を作ったように見えた