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片想いの行方  作者: bletilla
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初めまして!初投稿です!

多分拙い文章なので暖かい目で見ていただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします!

それはとてもひどく雷が鳴る日だった。


「レオ様……」


どんな時も麗しく輝いていたレオ様。こんなにも暗く絶望に満ちた顔なんて見たくなかった。


「何かな。オリヴィア、今は誰とも話したくないんだ。」


ごめんなさい。私のせいなのはわかっているの。

私の我が儘のせいで姉様は遠くに嫁ぐことになってしまった。

レオ様は私を許してくださるだなんて思ってしまったから。


「ごめんなさい。」


私の声は雷で届かない。


「君が嫁ぐはずだったところにアリアが行き……そしてまさか君と俺が婚約とはな。」


冷たい声で笑うレオ様。


「そ……うですね。」


「オリヴィア……俺はアリアが好きなんだ。結婚しても君を女性として愛することができるかわからない。」


「はい……。」


泣いてしまいそうでそれ以上話せなかった。でも私には泣く権利なんてない。

レオ様の婚約者になりたいとかそんなことは思ってなかった。本当に。

ただ…レオ様よりも姉様が幸せでいることを願ってしまった。



私オリヴィアは兄様と姉様のお友達であるレオ様が幼い頃から好きだった。

今思えば最初は多分憧れだったと思うけど、大人になるに連れて育ってしまった恋心。

でも彼の好きな人は私の姉様であることは知っていたの。


アリア姉様は妹の私から見ても美しくて、賢くて、優しくて天使様みたいな神々しさがあった。

もちろんダニエル兄様も同じくらい美しい顔をしているしとても優秀だ。

比べて私は、顔だけが取り柄のつまらない女だと思う。

だから彼が好きになるのも当然だと思うし、私もダニエル兄様もアリア姉様が大好きだ。

私が彼と出会ったのは、ダニエル兄様とアリア姉様のお友達として私たちの家であるウィリアムズ侯爵家に初めて来た時だった。


私の家族は自分を含めて5人家族である。父様と母様は双方美しい上に大恋愛の末に結婚したため、社交界では話題の中心であった。そんな両親から生まれた私たち子どももその美貌を受け継いでいた。


双子であるダニエル兄様とアリア姉様と私は4つ歳が離れている。

歳が離れている分とても可愛がってくれたけど、双子である兄様と姉様は一緒の進度で勉強もできるし、私には難しい話を楽しそうにお話をしていたのでとても羨ましくて、後を着いて周った。


「ぐすっ……にいさま、ねえさま楽しそう。オリヴィアもなかまにいれてください……」


「あらあら、可愛いオリヴィア。仲間はずれにされたと思ったのね!こちらにいらっしゃい。一緒にお話しましょう!」


「泣かないで可愛いオリヴィア!僕のところにおいで。兄様が抱きしめてあげよう。」


「うう……にいさま!ねえさま!だいすきです!」

半泣きの私に姉様は天使のように微笑み、兄様は慌てて私に駆け寄って来てくれる。そんな毎日が幸せだ。


それでも歳は埋めることはできない。この国の貴族は15歳から3年間学校に通うのが常識となっている。家庭教師による基礎教育が終わった彼らは15歳になり兄様と姉様は学校に通うようになり、二人は家にいる時間が少なくなった。

私は寂しかった。

そんな時、二人のお友達として紹介されたのが公爵令息のレオ・ルイス様であった。

白銀の髪に蒼い瞳、すっと通った綺麗な鼻。とにかく綺麗な顔で兄様と姉様のように天使様のような感じとはまた違ってどっちかというと神様のようだった。


だから11歳の私は正直にキョトンとした顔でいった。

「ねえ、兄様、姉様、この方は神様なのですか?」


3人とも一瞬止まり

「ふふふ、レオよかったわね。私の可愛い妹に神様って言われているわ。」


「ああオリヴィア!こんな奴は神様じゃない!!彼は冷酷なんだ!僕にいつも酷いことを言うんだよ!」


「あら!それはダニエルがいつも変にレオに絡むからじゃないかしら。」

姉様は楽しそうに笑い、兄様は……なぜかブツブツ文句を言いながら拗ねている。


「ははっ」

そんな様子を見て目の前の神様……レオ様は笑った。その綺麗な顔がさらに魅力的になっていて、それはそれは美しくて眩しかった。


「なあダニエル。」


「なんだよレオ。」

むすっと兄様がレオ様を睨む。


「俺はそんなにも冷たいか?そんな風に思われていたなんてな…だいぶショックだよ。」


「あ、い、いやそんなことない。レオは優しいよ?初対面の僕が道に迷ってたら助けてくれたし…でも最近アリアにしか優しくないじゃないか。」

レオ様がわざとらしく、しゅんとすると優しい兄様はそれに気づかずに慌てて弁明してて面白い。


あ、レオ様がこっちを向いた。


「こんにちは可愛いウィリアムズ家のお姫様。ダニエルとアリアの友人であるレオ・ルイスだ。よろしく。」


ニコッと騎士様のような感じで言われた私はとても嬉しくなって、その後はしゃぎ回った。

兄様がもう一人増えたようでとても嬉しかったのだ。


そこからレオ様は休日になるとよくウィリアムズ家に遊びにきた。というか多分兄様がよく連れて来ていた。

3人は4つ離れた私のことを決して仲間はずれなんかにはせず一緒に遊んでくれた。

姉様と兄様は大好きだったけど私はレオ様が来るとずっと引っ付いていて話していた気がする。

そんな様子を姉様は微笑ましく見ていたけど、兄様はいつも「可愛い妹を取られた…」と悔しそうにしていた。



そんな日々が二年経過したある日、兄様の部屋から兄様とレオ様の話し声が聞こえて来た。

扉が少し開いていて中の様子が見えた。

兄様とレオ様がお茶を飲みながら話している。


姉様いないのね。

珍しいなと思いながらも好奇心で聞き耳を立てた。


「なあレオ。僕気づいちゃったんだけど、アリアのこと好きでしょ。」


「なんでそんなこと聞くんだよ。」


「いやあ、レオの貴重な初恋じゃないか〜!僕は応援したいんだよ。で、どうなんだ?」


兄様がからかい半分、真剣半分の調子で尋ねる。

レオ様の様子はわからない。


「……はあ。ダニエル…お前はいつも余計なことしか言わないな。」


「そんな冷たいこと言わないで素直になってよね。親友が僕の片割れを好きなんて嬉しいじゃないか!」


私は聞いてはいけないと思いながらもバクバクする心臓を抑えて静かにレオ様の答えを待った。


「はいはいわかったよ。降参。ダニエルの言う通りだ。確かに俺はアリアが好きだよ。」


ちょっと恥ずかしそうに、でも甘さを含んだ声だった。

心臓がギュッとした。

おかしい……私の大好きな美しい姉様と麗しいレオ様が恋人になるのは嬉しいことのはずなのに。

なんでこんなにも嫌な感じが残るんだと疑問だった。


その後、誰にも会わずに体調が悪いと言って部屋に篭って考えた。

家族全員に心配をかけてしまったのは本当に申し訳なかったけど。

しばらくして、私の姉様が人に取られてしまうからモヤモヤしたのかもと思えた。

でも、その晩はあまり寝付けなかった。


レオ様が姉様のことを好き。

その事実を知った日から私はなんとなく一人で気まづい感情がグルグルしていた。

多分私は表情が顔に出るほうなのだと思う。


この日はうちの領内にある綺麗な湖にピクニックに4人で来ていた。


「どうしたのオリヴィア?最近暗い顔しかしてないじゃないか。悩み事なのかな?兄様心配だな……」


また心配をかけてしまった。

兄様のその言葉に姉様もレオ様も見てくる。


「あっ兄様。違うのです!ただ最近はお勉強が難しくて理解できないことが多いので、やっぱり兄様や姉様のようにはなれないのかと自分にがっかりしてしまうのです。」


本音半分、嘘半分のこの言葉にまた落ち込んでしまう。


「オリヴィア。オリヴィアは自分にがっかりすることなんてないのよ。オリヴィアにはオリヴィアの素敵なところがたくさんあるのだから私達になる必要なんてないの。」


ゆっくりと諭すように姉様が言い、兄様が頭を撫でくれる。

その柔らかな優しい声と手に泣きそうになりながらコクリと頷いた。


「オリヴィア、君の素直で、色んな話を俺にしてくれる君がとても素敵だと思う。本当の妹みたいでとても可愛らしいと思ってるよ。」

レオ様が微笑みながら行った。


「あら、私達の大事な妹よ。レオには譲れないわ。」

「そうだよ。レオに兄の座奪われてたまるか!」

「別に奪おうとしたわけじゃ……」


3人がワイワイと言い合ってる。

こんなにも幸せな空間に暗い顔なんて罰が当たってしまう。


「兄様、姉様、レオ様、ありがとうござます。その言葉だけでこれからも頑張れそうです!」

にっこりと笑った。


そんな日々が続き、気づけば兄様たちの卒業式になっていた。



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