第9話:この世界常識とトランスお披露目
「では始めますよ!本講師のラフィーです」
ラフィーがびしっと背伸びして講師感を出して自信満々に言った。ラフィー母ケフィアさんはベットで横になりながら、こっちを見ていた。
さっきまで夕食を食べていた机での講義が始まり、僕は「よろしくお願いします!ラフィー先生!」と言った。
「ではまず、この世界の種族について説明しましょう!この世界は【人族】と【魔族】に分けられています。そして今もなお対立しています。そこまでは大丈夫かな?」
「はい。大丈夫です」そこまではこの世界に来る前に師匠もとい神様から教えてもらった情報である。
「では次ですね。種族についてですが、実は魔族に関して詳細はよく分かっていないんです。上位魔族と呼ばれる人型魔族がいると聞くけど出会ったら即逃げる事しかできないんですよ」
「上位魔族って強いの?」
するとラフィーが机にバンッと両手を当て身を乗り出して詰め寄った。
「強いってもんじゃないですよ!私たち一般人がどうやったって勝てないほど強いんですよ!めちゃくちゃ激強ですよ!」
「そ、そうなんだ」
僕はたじろいでしまった。
「ちなみに魔物に関しては分類されてます。今日出会った魔物はウルフ系、それと他にもゴブリン系、ゴーレム系など多種多様に存在します」
「なるほど。という事は普通の魔物はあまり強くないのかな」
「そんな事はないよ。油断すれば危険はあるし、ボス級は普通の魔物に比べて数倍強いと聞きますから」
「へぇー、つまりは油断は禁物ってことか」
「そうです!どんな時でも油断は禁物なんです」
ラフィーは威勢よく言ったが、今日のようなピンチな状況は油断が招いたものなのでは?と思ったが声には出さなかった。
「ではでは次ですね。【人族】についてです。人族も多種多様な種族がいます」
「えっ!?人族が多種多様?そんなにいるの?」
僕は素っ頓狂な声をあげてしまった。
「もちろんいますよ。人族にはエルフやドワーフや天使族と様々です。」
「そうなんだ、ちょっと思っていたのと違ったな」
「ちなみに私とお母さん猫の獣人族だよ」
「ラフィーって獣人族だったの?ケフィアさんまで!?それに今、人間の姿じゃん」
「?、そりゃー【変身】(トランス)を解いたからね。」
「トランスって関係あるの?」
「関係大ありだよ!私たちはトランスで種族が決まるんだよ。」
「そうなの!?」
この後、僕はラフィーに色々説明を受けた。この世界の種族は基本的にエルフやドワーフなどの種族はいるが、僕がイメージしていた存在とは違っていた。基本的に人間であり、【変身】(トランス)により、エルフになったり、ドワーフになったりしていること。また【変身】(トランス)はスキルで魔力消費がほぼ0であり、一般の人でも一日中トランスし続けられる人もいるらしい。
「だからラフィーはさっきまでトランスし続けられたのか、、、」
「そして最後、トランスしていないままだとスキルが使えないのも重要だよ。まぁ上級レベルの人達は例外もあるけど、普通の人は使えないんだよ。」
「トランス時以外は無防備になるってことなんだね。ラフィーはトランスした時何かスキル持っているの?」
「私はね。【危険察知】と【俊敏】の二つを持っているよ。【危険察知】は言葉の通り周囲50m範囲内の情報がすぐ読み取れる便利なスキルで、【俊敏】は移動速度が早くなるスキルだよ」
「2つともがいいスキルだね。」僕が褒めると、「ありがとう~」と嬉しそうに言った。
(この2つのスキルはおそらくとても相性がいい。鍛えれば、あの森にいる魔物ぐらい簡単に倒せると思う。本人は気づいているか分からないけど)
「はい!これで説明終わり!そして私は気になったことが一つあります!イツキさんのトランスした姿を見てみたいです!」
「えっ!?トランスした姿が見たい?ラフィーみたいに特徴が出るようなトランスじゃないんだけど、、、」
「いえいえ。それでも気になります。今日、イツキさんは私の料理を食べましたよね?その代金代わりとしてです。」目をキラキラさせながら詰め寄ってきた。
(いや、それは今日、森で助けたお礼としてじゃ)
と心の中で思ったが、ラフィーの勢いに負けそうである。そこでさらに追い打ちをかけるように
「私も見てみたいわ」とラフィー母も言ってきた。もうこの空気は見せるしかない。
「わ、分かりました。トランスしますよ、、、」
僕は二人の根気に負けてしまった。まぁどうせ見せる予定だったしな、遅かれ早かれだ。
「やったー!出会った時から気になっていたんだよね。」「ふふ、少し楽しみね」
母娘共にワクワクしていた。
「んっ!ではいきますよ。「【トランス】」」
そう唱えた後、自分の身体が光った。そして現れたのは、黒髪ロングの少女である。
この世界に来て2度目のトランスを行った。
「これが僕のトランスだよ。どうですか?」相変わらず、この姿になると声が少し高くなる。
そんなことを気にしながら周りを見ると
「「っっっっ!!」」親子そろって大きな口を開けていた。