第8話:お世話になる
「着いたよ!ここがウチだよ!」
家の大きさは小さいが、しっかりしたレンガ作りのいい家である。
先にラフィーが入り、「ただいまー!」と言うとその後に僕は「お邪魔します」と続けて挨拶した。
「あら、おかえりなさい」
ラフィーの母であろう人が凄く優しい声でお出迎えをしてくれた。だが、少しやつれた表情に無理矢理笑顔を作っており、あまり体調が良くないのが伝わる。
「お、お母さん!ダメだよ!ゆっくり休んでなきゃ」
ラフィーが慌てた様子で、お母さんに詰め寄った。
「大丈夫よ。少しは、動かないとどんどん悪くなっちゃうわ」
そう言い返されたラフィーは「ううぅ」と唸って言葉を返せなかった。
「そういえば、後ろの人は誰?もしかして、、彼氏さん?」
とちらっと僕を見ながら言った。
「ち、違うよ~」ラフィーが慌てた様子で言った。
「はじめまして、イツキといいます。ラ...娘さんには今日、助けて頂いて家に呼ばれて来ました」
「助けてもらったのはこっちだよ!?」
ラフィーはびっくりした声でツッコミを入れた。
「そうだったのね。娘がお世話になりました。私はラフィーの母のケフィアと申します」
「いえいえ、こちらこそ自己紹介ありがとうございます」
「もぉー、2人とも話が堅いよ~。もっと気楽に話そうよ~」
ラフィーがついに痺れを切らした。
「今日は私がおもてなしするね!」ラフィーが自信満々に言った後、台所の方へと向かって行った。
-------------------------------------------
「おまたせー!今日は野菜スープを作ったよ!」
とてもいい匂いがする。
「とても美味しそう」僕はラフィーの料理を誉めた。
「ありがとう」とラフィーは返した。
とラフィーが話していると、
「そういえば、怪我とか大丈夫だったの?」とラフィーの母ケフィアさんが心配そうに言ってきた。
「うん、大丈夫だよ。さっきも言ったけど、イツキさんが助けてくれたから」
「そう、本当に無理しないでね」
「大丈夫だって」
やっぱり自分の娘が不安でしかたないのだろう。
僕も黙って聞いていた。しかし暗い話はすぐ終わり、明るい話に戻っていった。
その後、ワイワイと3人で食卓を囲んだ。
そして、夕食を食べ終わったころ、
「あ、それともう【トランス】解いてもいいんじゃないの?」
ラフィー母が突然言い出してきた。
「そうだね。今日は色々あって忘れていたよ。【トランス】解除」
すると一瞬光ったと思ったら、尻尾などが消え普通の"人間"の女の子の姿に戻った。
「えっ?今まで変身【トランス】のままだったの?」
「そうだよ。急にどうしたの?」
そういえば、この世界に来てまだ何も分からない事だらけであることに今気づいた。
「あの~すごく申し訳ないんだけど、この世界の事教えてもらえませんか?」
僕はラフィー先生にお願いした。
【変身】状態は魔力を使わない設定です。