第52話:街を救う2
イツキはエリスを回復させ続けている。
「なんだよ。イツキは回復魔法が使えたのか?」
グリアがそう言って、「なら、ギルドに向かわなくても良かったじゃんか」と続けて言った。
「いえ、僕も結構、連戦続きで【回復】をかけるのは意外ときつくて....」
イツキの額に一滴の汗が額から顎にかけ流れ落ちた。
(思ったより深淵魔法の負担が大きい。今後は簡単に使わない方がいいのかも)
そう考えている内に、エリスが「もう大丈夫そう」とイツキに声をかけた。
イツキは【回復】を止めて、エリスが【変身】になる。
美しい白髪にそれに見合った青い瞳、いつ見ても、ゴーレムとは思えない幻想の中の少女と思わせる姿になった。
「イマ、トメル....オネガイ.ゴーレムタチヨ...トマッテ------!」
両手で願い事をするかのように手を組んだあと、エリスの身体からぼわっと白い光が体中を包み込んだ。そして、花火のように勢いよく弾けた。エリスの思いがこの街全体のゴーレム達に伝わっていく。
数秒後、街中から出ていた衝撃音などがなくなり、この街に静寂が戻った。
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とある場所でゴーレムと戦っていた冒険者がいた。
「くそっ次から次へとゴーレムが出てきやがるっ!」
「頑張ってください!そのゴーレムは動きが単調です。よく見れば攻撃は躱せます」
そう指示をするのは、この街のギルド長のジーンギルド長である。
ジーンギルド長は今、負傷した者の回復と戦闘指示と起用にこなしていた。ギルドに着いた時、冒険者とゴーレムの戦闘がどんどん激化していき、ジーンギルド長は全体の指示を取らざらなくなった。
「ここが正念場です!!」
戦っている冒険者たちを鼓舞する。
「ドォォゴォーーン」
いきなりギルドの壁が壊され、辺り一面に瓦礫が散乱した。
「こ、今度は何だ!?」
見ると直径50cm程度の球体が落ちていた。
「ま、まさか!??」
ジーンギルド長は冒険者の回復をひと段落させて、外の外壁を見た。
「最終防衛のゴーレムが起動している!??あの悪魔たち...」
ジーンギルド長は絶望だった。最終防衛のゴーレムは本来この街の危機のために作られたゴーレムであるため、外敵に対して強力な攻撃手段などを有している。それが内側となると尋常じゃない被害が出る。
「「ドォォゴォーーン」」
また別の方角から大きな音がした。防衛システムである大砲から勢いよく球が放たれた。これからどんどん大砲の球の嵐が来る。
「冒険者の皆さん!!負傷者を抱えて一か所に集まってください!動ける冒険者は降ってくる大砲の球の対応してください!」
指示を言うジーンギルド長も必死だ。
「エリス君....」
一刻も早くゴーレムの暴走が止まるのを願った。
ジーンギルド長の願いが通ったのか、いきなりゴーレム達の動きが止まりだした。気づくと周りのゴーレム達も次々に止まっていく。
「と、止まった!?」
「ゴーレムの動きが止まりだしたぞっ!良かった~」
冒険者たちからも安堵した声が聞こえる。ジーンギルド長も避難民、冒険者たちに張っていた緊張感が一気に緩み、ふぅと一呼吸を入れて安堵した。
「エリス君...頑張りましたね」
ジーンギルド長は独り言のようにボソッと呟いた。
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「街中のゴーレムが止まっていくぞ!」
「た、助かった〜」
周りにいた冒険者たちが安堵の声を上げる。
今まで街を壊していたゴーレム達はまるで電源が落ちたかのように身動きひとつしない形で止まり始め、こちらを向けていた街の防衛システムのたくさんの大砲も停止し始めていった。
大砲から放たれた玉はエリスいる所から数メートル離れたところにも着弾していた。
「フゥ...」
トランス状態のエリスが前に倒れそうになる。魔力を使い果たしたのだろうイツキはそれを咄嗟に支えた。
「お疲れ」
「うん..」
イツキは優しく声をかけ、魔力切れを起こしたエリスはトランスが解けた。
そして、エリスは眠るように目蓋を閉じる。
こうして、負傷者は多数出た街のゴーレム騒動は幕を閉じた。




