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第49話:街の惨劇

「お姉さまって...イツキと戦ったあの悪魔だよね」

ラフィーは確認するようにイツキの方を見た。視線が合い、イツキは首を縦に振り頷いた。


「まさか、この街に来ていたなんて...」

イツキはあの戦闘で彼女を逃がしたことを激しく後悔した。


「はっ!少年、そんな落ち込むことは無いぞ。さっきも言ったろ。お姉さまは"徹底的"を好むって。つまりは少年と戦って勝とうが負けようがどのみちこの街はこうなる事が運命だったのさ」

敵であるラプラスはなぜかイツキを励ました。


「チッ!おい!じゃラプラスさんよ~。この結界を解くようお姉さまにお願いして来いよ」


「野蛮ね~。でも残念~私じゃ無理よ。お姉さまはーーー完全に私を切り捨てたと思うから...」

ラプラスの表情が少し曇った。


「クソッ!!ここでなんもできないのかよ!!」

グリアさんは叫ぶ。隣にいるジーンギルド長もどうしたもんかと一生懸命に考えている。数分の沈黙が訪れ、誰も最善案を出すことができなくなった。


「僕が何とかできるかもしれません」

イツキはそう言って手を上げ、皆の注目が集まる。イツキが考えている方法は深淵魔法を使ってこの街に入る事だ。かなりごり押しの作戦だが、現状これしかないとイツキは判断した。そして男の姿のイツキは再び、女の姿に【変身トランス】を試みた。


「えっ!?女の子になった??」「さっきまで男だったよな?」

周囲にいたこの街の冒険者はざわつき始めた。そんな事を気にせずイツキはさらに"深淵"魔法を使った。右目が赤く燃えだし、身体全体から黒いオーラを放ち始めた。


「し、深淵魔法だと....」

ジーンギルド長だけが驚きを見せた。グリアさんは口笛を吹いて、「かっこいい~」と褒めている。

イツキは再び門の前に立ち、最初の時と同じく門をくぐる。一歩二歩と歩みを進め、結界に触れた。その瞬間、結界がドロッと解けた感覚を感じた。深淵魔法を帯びたイツキは結界を壊し、リオドールの街の中に入る事に成功した。


「皆さん入れました!」

イツキは振り向き門の前にいる冒険者たちに応えた。一人二人と街の中に入り、悲惨な惨状を目にする。

壁が壊された家、えぐられた地面、散乱した花々、そして苦しい表情をして倒れている人々、イツキは先日までいた同じ街なのかと疑問を持ってしまうくらい変わり果てている街に惨状を目の当たりにした。

少し離れたところにありとあらゆる物を壊して回っているゴーレムと街の近衛兵や冒険者ギルドの者たちが戦っている。


「うおぉぉぉ!!」

ゴーレムに挑んだ一人の冒険者はゴーレムの核を貫きた。核にヒビが入り霧散する。するとゴーレムは崩れ始め、瓦礫の山となった。


「はぁ..はぁ...ゴーレムが多すぎるっ!ーーーん?あれは...ギルド長!!!」

先ほど、戦っていた冒険者がこちらの存在に気づいた。


「ギルド長!どこに行っていたんですか!?今街は大変なんですよ!」

必死に焦りながら、冒険者はジーンギルド長に詰め寄る。


「ガレク君。申し訳ない。この街をこんなにさせてしまったのは私の責任だ。実はこの騒動には悪魔が関わっていていることが分かったんだ。急ですまないが今の状況を教えてくれないか?」


「あ、悪魔!?」

今度はガレクと呼ばれた冒険者が目を見開き、驚きの表情を見せた後、ここまでの現状を説明してくれた。冒険者曰く、なぜ勝手にゴーレムが動き出し暴れているのかは不明である事。今現在、戦えない市民たちは教会やギルドに避難し、少しでも腕に自信がある者はゴーレム達を止めに入っているらしい。


「詳しい話はあとでしましょう!すみませんが皆さん。私はギルドの方へ向かいます」

そう言い残し、ジーンギルド長はギルドのある方角へと走って行った。


「イツキ...どうする...」

ラフィーは不安そうに聞いてきた。


「.....」

イツキは変わり果てた街を眺めながら無言だった。

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イツキは心の中で後悔と憤りを感じていた。あの時、あの悪魔を逃がしてしてしまった後悔。理不尽な力でこの街をめちゃくちゃにしている憤り。この二つの感情がイツキの中で入り混じっている。

だがイツキはこんな状況の中でも考えを止めなかった。


「まずは...この街の状況をどうにかしないといけないか...」

イツキは手を顎に当て考えた。この街の騒動を止めるにはゴーレム達を動けなくさせればいい。そしてその原因は魅了にかかったエリスが原因であることは分かっている。だがそのエリスの魅了を解く方法が分からない。


「イツキ...この際、何でもいい。エリスが目を覚ます方法はないのか?」

グリアさんがイツキに尋ねた


「...魅了を解く方法はある事にはある」

イツキは二人に言った。だがその方法はエリス自身に何が起こるか分からないので排除していた。


「もう、この際それをやってくれ!エリス自身も目を覚ました時、哀しい思いにさせたくないんだ」

グリアさんがイツキの両肩を掴み感情的になった。


「...分かった。やってみるよ」

賢者になった女の子になったイツキは黒いオーラを帯び右目は赤い炎を纏わせ悪魔のクレアと対峙した深淵魔法を使える状態になった。


「....」

ラフィーとグレアさんは息をのんで見守る。


「かなり強引な方法になります。この深淵魔法でエリスにかけられている魅了を強制的に解きます。この方法だと確実に魅了は解かれるけど、扱いが慣れていないのでエリスさんの魅了以外の何かをも失わせてしまう可能性があります」

イツキは、意識のない虚ろなエリスの目を見つめ、ふぅと一呼吸入れた後、ぶわっと黒いオーラが二人を包み込んだ。

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