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第48話:イツキは街へ戻る

イツキは二人を抱えながら、颯爽と森の中を駆け抜ける。ラフィーはすでに静かになって目をつむっている。余程怖いのか、強く目をつむっている。


「っ!そろそろ森を抜けるぞ」

イツキは走りながら、ラフィーに伝える。"うん"と返事をしたのに対し、後ろにロープで巻き付けているエリスは相変わらず、反応が全くない。そうしている内に森から出た。


「この高原を抜けて、一旦街に戻るか...結局、グリアさん達とは合わずじまいだったけ...ん?」

遠くに3人の人影が見えた。男一人、女二人でイツキたちはその3人と面識があった。


「あっ!グリアさんとジーンギルド長だ!」

隣にいたラフィーが3人に向かって手を振った。そのおかげかこちらに気づいたのだろう遠くにいるグリアさん達は進行方向をこちら向け、歩き始めた。イツキたちも向かってくるグリアさん達の方へ足を運ぶ。


「イツキちゃ...今はイツキ君か。間際らしいな!おい」

がっ!と肩に腕を回し、再開したグリアさんの第一声がそれだった。イツキの背中にいるエリスの姿を見るとグリアさんは表情を一変する。


「...エリスを取り返してくれたんだな。ありがとうっ!」


「うん、でも反応がないんだ。ラフィーが何度も声をかけたんだけど...」


「はっ!その"魅了"はあんたたちじゃ解けないよ!」

聞き覚えのある声がジーンギルド長の後ろから聞こえてきた。そこにいたのは手を拘束され、歩くことしかできなくなったラプラスの姿があった。


「な、なんであんたがここにいるのよ!?」

隣にいたラフィーが、身を乗り出して指を指しながら、叫んだ。


「あ~すまない。説明が遅れた遅れた」

そう言って、グリアさんとジーンギルド長の二人から事の経緯について聞いた。僕がいなくなって、戦闘になった事、魅了を巧みに使うこと、そして二人で戦い勝った事について聞いた。


「お怪我とか大丈夫なんですか?」

イツキは二人に再度確認をした。


「ああっ大丈夫だ!」「私も問題ないよ」


「おい、そこのクレア姉と戦ったやつ!クレア姉はどうした?」

イツキはラプラスの顔を見る。どうやら姉を心配している感じじゃなさそうだ。そう思った後、僕たちの身に起きた事を話した。


「...逃げられたよ」

イツキは小さい声で言った。


「...逃げられたか..くくっ...あははっ!」

ラプラスはいきなり不気味な笑い声をした。


「なら、気を付けろ...姉さんは"徹底的"を好むからな」


「...?」

みんながどういうことだろうと思っていると、ジーンギルド長が通信なのだろうか、すまないと言い残しこの場から少し離れた。


「グリアさん。僕たちは一旦街に戻ろうと思っているんですけど、一緒に戻りませんか?」


「ああ、そうだな。こいつもこともあるし、俺らもそうしようと...」

グリアさんがそう言いかけた時である。


「なんだとっ!!!」

いきなり後ろで話しているジーンギルド長が大きな声を発した。数秒した後、「すぐ戻る」と言い残し通話を切った。


「皆さん聞いてください。今、リオドールの街が大変な事になっているようです..」

この時は、まだ僕たちは事態の重さに気づいていなかった。

----------------------------------------

今、僕たちは大急ぎで街に戻っている。ジーンギルド長は魔法で浮き低空飛行で移動しており、グリアさんはスキル【再利用リサイクル】を使い、スケートブーツのようなものでラプラスを無造作に抱えながら地面を颯爽とかけている。僕はと言うと、森を移動してきた時と同様に、ラフィーをお姫様抱っこをして、エリスを背負って走っている。そして、移動しながら今街で起こっている事を説明してくれた。


「えっ?街でゴーレム達が勝手に動いている?」

話を聞くと、街中にあるゴーレム達が勝手に動き、周囲の物を破壊しているらしい。だが、動いているゴーレムは比較的に小さいゴーレム達で大型のゴーレムは動いていないらしい。今は街にいるギルド冒険者などで対応をして、解決しているとギルド職員からジーンギルド長に連絡が来たという。


「でもなんで勝手に動いて...あっ!」

イツキは後ろにいるエリスが関係している事に気づいた。


「恐らく...いや確実にエリスが関わっている」

グリアさんは奥歯をギリッと噛締める。


「...ふふっあははっ!そんなに頑張ちゃってバカみたい。もうあの街の事なんて諦めたら??」

グリアさんは抱えられているラプラスは煽るように言ってきた。だが、すぐにグリアさんが彼女の頭に一発の拳を入れ、ラプラスを黙らせた。


「あと1kmぐらいで街に着く!」

再び、ジーンギルド長の声がして、イツキたちはさらに速度を上げた。


数分後、イツキたちはリオドールの街の門の前に着いた。...何かおかしい。門の前でクエストに出かけていたであろう冒険者たちが門の前の立ち往生している。門は開いているのに中々入ろうとしない。


「ど、どうしたんですか?なぜ街に入らないのですか?」

ジーンギルド長があたふたしながら、すぐ近くの冒険者に尋ねた。だがそこで衝撃的な事を耳にする。


「ジーンギルド長!お疲れ様です!いや、それがですねギルド長。僕たち街に入らないんじゃなくて()()()()んですよ」


「「「えっ!?」」」

僕、ラフィー、ジーンギルド長3人は驚愕する。


イツキは門の方に向かい、本当に入らないのか試した。

外から中は問題なく見える。中の様子は大混乱なのが分かる。

よく見ると街の中側にも門番らしき人が立っておりこちらを見つめていた。


「行ってきます」

イツキは街の中へ入ろうと歩み出した。門をくぐり街の中に入った瞬間、気づくと目の前にはラフィー達がいた。どうやら本当に入れないらしい。


「...どうなってやんがんだ。こりゃ?」

グリアさんは不思議そう呟いた。だがその答えは意外なところから出てきた。


「これは...お姉さまの仕業だな...」

そう答えたのはラプラスだった。

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