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第45話:黒い魔法

イツキと悪魔のクレアとの戦いが始まった。


炎槍ファイアー・ランス

イツキは3本の炎の槍を生成して、それぞれ別方向からクレアに向かって放った。クレアは一瞬笑みを浮かべ、周囲に空間が歪んだ円盤形状盾を作り、3本すべてをいとも簡単に薙ぎ払った。だが、イツキも攻撃の手を止めなかった。


「地への地獄グランド・デス

続いて、地面を沼のようにして、地中に沈め圧死させる上位の魔法をイツキは発動させた。

クレアが「これは...」と驚きながら地面の中に消える。そして、完全に地中の中に沈んだ瞬間、彼女を沈めた地中が根こそぎ無くなった。そこは半径5mほどの大きな落とし穴のように何も無くなった。

彼女が何もなかったように何も無くなった地面の中から姿を現した。


「これでも何ともないのかよ...」イツキは正直驚いた。


「ふふっ。イツキ君、あなた面白い魔法を使うのね。お姉さんびっくりしちゃった」


「それはどうも。お姉さんも中々やるね...」

イツキは軽く返事を返す。


「ありがとう♪これでも結構な戦場は経験しているからね~。それより君、さっきあんな大技を出しといて、疲れないとか魔力量どうなっているの?」


(魔力量?考えたことなかったな。僕って多い方なのか?)

思えば、この世界に来て魔法を使っている人を見たことがない。せいぜいジーンギルド長の魔法をぐらいだろう。ただ彼がどのくらいの魔力量なのかは知らないし、そもそもこの世界の平均魔力量もしらないので全く参考にはできない。


「自慢の師匠(神)に修行付けてもらったからね」


「ふふっ。その師匠がだれか気になるわ!」


そして、二人はまた戦闘再開し、今度は空中戦なった。

イツキは浮遊魔法を使い、空に浮かんだ。厳密にはこの浮遊魔法は、重力魔法と風魔法の合わせ技である。自分にかかる重力を減らし、浮力を大幅に上げることで浮くことができ、風魔法で機動力を持たせるのである。


「つくづく、魔法ってチートだよな」前世の記憶にある"物理"を無視している。


相手もまた物理法則を無視した方法で空に"立っている"。僕は目線を下に向けると、彼女の足元が円状に歪んでいる事に気づいた。彼女は空間を歪ませて、何らかの方法で立っているのである。驚きと同時に正直かっこいいと思ってしまった。だが、相手の方も驚いた表情になった。


「あなた..."重力"魔法が使えるの...?」


「んっ?」とした表情になる。


「まさか、人間で重力魔法が使えるなんて珍しいわね。たしか、人間界では失われた魔法ロスト・マジックになっているのではなかった?」


「...えっ?」

失われた魔法ロスト・マジックになっているの?そんなの初耳だ。たしかにこの世界での魔法はまったく勉強をしていないが、神様の修行時代に「覚えておくと損は無いから覚えていた方がいいよ~」ぐらいの軽いノリで教わった魔法だ。使えるようになるまでは大変だったが。


「ますます面白い子ねっ!」

クレアの攻撃が始まった。彼女は足に魔力を込め、目にも止まらない速さで足を振り、魔弾のような衝撃波は繰り出した。


(ッ!!早いっ!)

イツキは何とか躱すことができたが、「ドガッ」と鈍い音が"横"から響いた。そして、痛みとなって全身に伝わった。彼女が放った魔弾がイツキの横腹部に直撃していたのである。


「ぐふっ...あれっ確かに避けたはず...」

もろに攻撃を受けてしまったせいで腹部の服がはだけ、口から血を噴出した。骨も折れている。


(2発目の直撃はまずい,,,)

僕の直感がそう告げている。そう思っていると、彼女は2撃目を放ってきた。今度は逆足を大きく振り、魔弾が放たれる。イツキは再度、躱したが、すぐに頭上から魔弾が飛んできた。この魔弾は躱すのが間に合わず、防御魔法を展開した。


「っっ!!これは...!」

イツキは防御魔法を展開しつつ、ある事に気づいた。彼女が放った魔弾は躱された後、彼女が作り出す空間魔法によって背後と頭上の空間を繋げ、僕に向かうようにしたのである。先ほどの横腹部に当たった魔弾も同じからくりだろう。


イツキは今防御魔法で防いでいる魔弾をクレアにはじき返した。


「お返しだ!」イツキはそう叫ぶと、クレアはにっこりと笑った。


「甘いわね~」


はじき返された魔弾は、クレアの正面に来ると一瞬で消えた。消えた魔弾はイツキの背後に移動したのである。イツキは再度、防御魔法を展開した。だがイツキは違和感を覚えた。


「お、重い...」

先ほど跳ね返した魔弾より、魔弾が威力が強くなっているのである。


「ふふっ!私の攻撃はね。私が作り出す空間を通ると強くなっていくの!あなたはあと何回耐えられるかしら?」

すると立て続けに3発目、4発目と魔弾をくり出した。


イツキは考える。

(このままだと。じり貧だ。攻撃はいたってシンプルだが、厄介だ。)

しかもこの魔弾は少し特殊であり、まるでゴムボールのように柔軟性がある。おまけにあたると爆弾のように強い衝撃はを放つ。


「彼女は強い...しかたない"あれ"を使うか...」

イツキはボソッと呟くとイツキの身体全体に黒いオーラがまるで湯気のように立ち上る。

そして、放たれている3発の魔弾は、イツキの"黒い"雷魔法によって爆発もせずに撃ち落とされた。

あれだけ苦戦していたのに、まるで嘘みたいである。


「ふぅー...この状態になったのは久々だな」

元々、黒髪だがさらに深みのある漆黒の黒髪となった。さらに右目には赤い炎のような光が灯っていて、内から魔力が無限に溢れてくるような感覚もある。身体も軽くなった。


「っ!!この魔力まさかっ!深淵魔法!?」

クレアは驚愕していた。どうやらこの魔法について知っているらしい。


「本気でいくよ!!」

相手に暇を与えず、イツキが攻撃を仕掛ける。

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