第38話:行動開始!
「皆さん、準備の方は大丈夫ですか?」
ジーンギルド長が僕とラフィー、そしてグリアさんに確認にする。
"大丈夫"と全員答えるとジーンギルド長はイツキの方を向いた。
「では、イツキ君。エリスちゃんのいる場所まで案内をお願いしたい」
「分かりました」そう言っ、イツキはトランスした。
今、僕は男の姿【剣聖】のままだ。広い範囲での索敵や魔法は女の姿【賢者】が適していた。
「変身」
この世界に来て数度目のトランスを行った。若干髪が伸び、逆に身長は低くなる。声も高くなるのは今でも慣れない。あと、胸も....
「よし!では索敵魔法を...」と言いかけた時、もう何度見かけた光景だろう。口を大きく開け、まるで鯉のようにパクパクさせているジーンギルド長の姿がそこにあった。
「イ、イツキ君!き、君って...女の子になるの!?どういう体の仕組みだ?そして君はユニーク・トランサーなのかい?」
「あ~、はい。実はそうなんです。僕ってユニーク・トランサーみたいなんですよね...ははっ」苦笑いしながら答える。
「な、なんという事か!!!男と女の境界を超えるとは...君は人類史に残る偉業をしたよ」
"ふっー!"と鼻息を荒くするジーンギルド長。めちゃくちゃ興奮している。
「人類史に残る偉業って...そんな大それたことじゃないと思うんですけど」
「いや、そんなことは無い!性別が変わるなんて、世界どこをさがしても君だけだよ!
「グリアさんこれって...?」
「ああ。あいつは珍しい物に目がないんだ。"自分の探求心に勝る者はいない!"って自分でいうほどにな」
「ええ~。そうなんですか...」
異様な興奮を見せるギルド長。まるで不審者そのものである。
「か、身体の構造とかどうなっているのかな...はぁ、はぁ」
鼻息を荒くしながら、手を伸ばしてきた。
「ひぃぃ~~」僕は女性の高い声で悲鳴を上げてしまった。人生初めてである。そして変態に襲われる女性の気持ちをこの時初めて感じた。
「んんっ!おいおい。ギルド長、話がすごく脱線しているぜ?」グリアさんが咳払いしながら言った。
「はっ!、、すまんすまん。我を忘れていた...」
グリアさんの一言で正気に戻ったジーンギルド長は"早速だが...”と話を切り出し、地図を広げエリスのいる場所について聞いてきた。僕はこの街にいない事を伝えると、続いて町の外の森の中に指を指した。
「反応はここら辺からです」
「ふむ。意外と近いな。そしてここら辺は、小さな小屋などがいくつかある場所だ」
聞くと、木材を管理するためだとか休憩するためとかで色々な事に利用されている場所らしい。
「あのー、、ここって魔物とかでないんすか...?」
ラフィーが不安げに質問をした。
「ここら辺は強い魔物は出ない。そこは安心していい」
グリアさんが答える。
「では。場所の確認も取れたからすぐに出発したいと思う!」
ジーンギルド長の一声でエリス救出作戦が始まった。
-------------------------------------------
「ふふふ。成功成功!」
不気味に笑うラプラス。彼女の前に立つのは
「.....」
意識を失ったエリスが立っていた。とそこにもう一人別の人物が"出現"した。
「あっ!"クレア"お姉さま!彼女の洗脳に成功しました~。いつでも作戦できますよ~」
ラプラスが姉の名を呼ぶ。今の彼女はギルド職員の格好をしていない。雰囲気もまるで別人だ。今の彼女は髪は腰のまで長く。髪色は明るい紫色。右目は髪で隠してあるのに対し、左側は髪を上げている。細身で長身。スタイルもトップモデル並みの美しい女性だ。
「よくやったわ。これで....っ!」
と言いかけた瞬間、クレアはラプラスに向かって手を伸ばし、ラプラスの首の襟に付いた薄いボタン程度の大きさの小さな結晶を摘まんだ。それはイツキが忍ばせた発信器である。クレアはその発信器に力を入れ粉々に潰した。
「なっ!それは!?」
「チッ!ラプラス!あんた油断したわね!恐らく、あいつらとの戦闘の時に付けられたのでしょう。最悪、この場所も知られているかもしれない...」
「お、お姉さま。ごめんなさい」
「謝罪は結構です」
二人は計画の準備を早めて、行動を開始した。
-------------------------------------------
僕たち4人は森の中に入り、発信器の信号が出ている場所に向かって歩いていた。森でも道が簡単にだが整備されており、来た道の道中にも、ログハウス的な建物がいくつか立っていた。
「皆さん。あと1キロほどで着き...」
そう言いかけた時だった。いきなり発信器の信号が途絶えた。
(発信器の信号が途絶えた!?まさか気づかれたのか?自慢じゃないが見つけるのはかなり困難なはずだが...)
「いきなり黙ってどうしたの?」ラフィーが首をかしげる。
「今さっき、発信器が壊された」
「なんだと!?」グリアさんが驚く。
「でも安心してください。最後に発信したポイントは分かります。ただ気づかれたとなると移動する可能性があるので、急ぎましょう!」
「ふむ、そうですね。急ぎましょう!」
僕たち4人は進むスピードを上げ、エリス救出に急ぐ。




