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第35話:戦いの始まり

剣を構えて、改めて感じる。ラプラスは相当強い。ケラケラと笑っていて隙があるように見えるが隙が全くない。男の姿であるが、念のため【万物の目】を使った。


個体名:サキュバス(ラプラス)

スキル:魅※

????????

結果がほとんど分からない。やはり相当強い。トランスして女の姿【賢者】になろうと考えたが、その隙に攻撃されたら、終わりだ。トランスする余裕もない。


「ねぇ~。君って実は高ランクの冒険者だったりする?」


「いや、僕は成り立ての初心冒険者だよ。登録も最近したばかりだし」


「ふ~ん。でもそうは見えないんだよねっ!!!」

ラプラスは一瞬で僕の前に移動してきた。右手はいつの間にか爪を伸ばし、爪先を僕の喉どもと目掛けて右下からアッパーをかけるように突き刺してきた。


(早い!!)

僕は瞬間的に体を反らし、間一髪避けた。


「っ!今の一撃を避けるなんて...君やっぱり普通の冒険者じゃないでしょ~?」

ラプラスが不満げな感じで言った。


「いや、そうでもないよ。今の避けられたのは奇跡だった」

実際には首元をかすめており、一滴の血の雫が首元から流れる。一切の油断ができない。僕は剣を構え、【身体強化ブースト】をかけた。さらに、【武器強化ウエポン・エンチャント】をかけた。

武器強化ウエポン・エンチャント】は自分の魔力を武器に流し込み武器自体を強化する剣聖のスキル一つだ。

僕は足に力を込めて蹴った。前傾姿勢のままラプラスに近づき、その勢いのまま剣を横一線で切った。


「おっ!いいね!」ラプラスは余裕の表情で避けた。が、その直後、ラプラスの左腕から大量の血が噴き出た。


「えっ!?」ラプラスが驚く。右手で左腕の傷口を抑えながら余裕だった表情が消えている。

(今、完全に避けたはず...どういうこと...?まさか2撃食らった?)ラプラスの思考が早くなる。

「どういう手品かな?」


「手品って程じゃないさ。武器に少し手を加えたけど」

今、ラプラスに一撃を与えたのは【武器強化エンチャント】の効果のおかげだ。剣撃の範囲を広げ、刀身から出る衝撃波で切ったのである。

僕の"武器強化"は至極単純。"硬化"、"切れ味"、"攻撃範囲"この3つの強化だ。逆に言えばそれ以外はできない。そもそも師匠(神様)からはこの3つしか教えられていない。

ちなみだが、段階クラスも4段階あり、小・中・大・極体と4つの段階がある。今は【武器強化:小】だ。


「ふふっ。ふははははっ!!やっぱり君いいね!久しぶりに全力で遊べそうだ!!!」

ラプラスがまるで無邪気な子供のように大声を上げ、僕の方に接近した。今度は高速の蹴りを入れてくる。しかし、僕はその蹴りを難なく躱し、反撃した。だが僕の攻撃も避けられる。


イツキは驚いた。ラプラスはあの一発受けただけで、剣の間合いを把握したのである。これは戦闘経験の差が出ていた。


「君、本当にすごいよ!私についていけるなんて!」ラプラスは笑っている。

そして、ラプラスの猛攻が続く。パンチ、蹴り、突き、蹴り、パンチ。どれも一撃一撃が重い。僕も剣でいなしたり、身体を捻って避けたりし反撃をした。だがお互いに一撃も当てられない。


「ラプラス。君って見た目によらず接近戦が得意なんだね。正直驚いた。どれもいい一撃だよ」

剣を再び構え直し、ラプラスを見る。


「ふふっ!ありがと。でも手加減はしないよ」

ラスラスもまた構え直し、僕を見る。


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

再び、二人の戦いが始まった。

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イツキとラプラス、二人の戦いが激しくなった。


「イツキさん....」

エリスは不安そうに戦いを見守っている。

戦っている二人は速すぎて、姿を捉えることが難しい。ただただ見守る事しかできない自分が憎い。


「イツキさん、頑張って...」

そう呟いた。瞬間、背後から人の気配がした。私はすぐに振り向いた。


「あ、あなたは...!?」


「あら。気付かれてしまいましたか」

そこにいたのは、師匠を探すときに対応してくれたこのギルドの受付嬢だった。

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「はぁ..はぁ...」「はぁ..はぁ..」

お互いに息を切らしている。


「君って...ホント何者?私についてこれる人間なんてかなり少ないんだけど...」


「僕も師匠以外でここまで攻撃を避けられたのは初めてだよ」

互いに牽制し合い、もう一度戦闘に入ろうとした時、


「ラプラス。何もたついているの?」


僕の後ろから女の声がし、振り向くとそこにはギルドの制服を着たギルド受付嬢が立っていた。その肩には気絶したエリスを抱えて。

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