【番外編】エリスの過去3
師匠がついに地面に膝をついた。
「くそっ!」師匠は言葉を吐き捨てる。
その時だった。
「ダメっ!私が相手だよ!」
私は膝をついている師匠の前に短剣を握りブラックスネークに向けて立っていた。
「バカ!お前が敵う相手じゃない!なんでさっさと逃げなかった!」
「師匠が戦っているのに逃げてられないよ」
強気で言ったが、確かに現状を打破できる手段がない。師匠にはたくさんお世話になったし、師匠がいない世界なんてありえない。師匠が死ぬときは私も一緒だという覚悟で魔物の前に立っている。そんな覚悟も空しく、尻尾で私は吹き飛ばされてしまった。蛇の魔物は私なんて眼中になかったのだろう。
再び師匠が危険になった。
「師匠ッ!」
「いいんだ。エリス今のうちに逃げろ」
ブラックスネークが師匠に襲い掛かった。
「ダメェェーーー!!」
大きな声を上げたその瞬間、私の身体は光り、不思議な感覚に包まれた。
「エリス...お前...【トランス】できたのか?」師匠が呟く。
(これが【トランス】?なんだか変な感覚。自分の身体が自分のじゃなくなるような...)
だがぞの感覚もすぐに終わった。
【トランス】した自分の身体は何というか無機質な感じがし、見た目は青眼白髪の少女になっていてまるで別人になったようだった。
「........」
あれ?声が上手く出せない。【トランス】による影響なのか発声が難しい。
私はブラックスネークに視線を向け"素手"でパンチをした。軽いパンチだと思っていたが、なんと蛇の魔物は頭から地面に倒れ大きな衝撃を受けた
再び師匠の前に立つ。
「エリスなのか...?」
「.......ソウダヨ」言葉が片言になる。やはり発声が難しい。
「お前、その声...しかも身体..もしかしてゴーレムじゃないのか?」
師匠の言葉を聞いて、自分の身体を見直した。見た目は人間と変わらないが、肌に温もりがない。まるで鉱石のような感じである。
「エリス。お前は"ユニーク・トランサー"だったのか!」
"ユニーク・トランサー"とはこの時、分からなかった。
「シショウ...ケン...カシテ」とぎれとぎれの声で師匠から剣を借りた。
"これがないと戦えない"と本能が言っている。さらに不思議なことに剣に触れることで使い方が分かるようになっていた。
話し終えると倒れていた蛇の魔物は立ち上がった。敵の殺意が私に向けられている。
私は剣を構え、攻撃に走った。相手に避ける隙を与えず、まずは一撃を与えた。身体が軽い、まるで空を飛んでいるような感覚だった。
「グギャャーー」
相手の雄たけびが上がるが、攻撃は一切緩めなかった。すぐに2撃目、3撃目と連発して相手を切っていった。だが、相手も攻撃態勢に入っていた。身体を縮こませ、師匠に最初与えた突進をやろうとしていた。それは私が地面に着地した瞬間に狙われた。だが、
「......アマイ」
私は片手をあげ、相手の突進を左手で抑えるように真正面から受けた。突進の威力により足の裏の地面がえぐれ後ろに下がったが、なんと片手のみで受け切った。
「すごい....」師匠は驚いていた。
「......」私も言葉には出せてないが驚いている。
(えっ?片手で受け止められちゃったよ!?)
驚きは束の間にすぐ次の行動をとった。だが次の行動は単純だった。引き下がろうとする相手の頭と胴を右手に持った剣で一刀両断したのである。そして、あれほど苦戦していた戦闘は幕を閉じた。
「...カッタ.....」私は呟き、また身体が光りだした。そして元の人間の姿に戻った。
人間の姿に戻った時、身体に激痛が走り、私もその場に倒れてしまった。
「エリスッ!」師匠が近寄った。
「えへへっ....私、勝ったよ」
「無茶しやがって、、でも助かった!ありがとう。ゆっくり休め」
これが私と師匠との出会い。そして【トランス】に目覚めた時の瞬間だった。
これにてエリスの過去のお話は終わりになります。予定では2部で完結するはずが、3部になってしまいました。これからもご愛読よろしくお願いいたします。
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