第18話:ギルド長と話す
僕とラフィーは同じ席に座り、体面にクレインギルド長が座っている。
クレインギルド長は自分で淹れた紅茶を飲んでいる。
もちろん僕たちの前にも同じ紅茶が置いてある。先ほどクレインギルド長から「どうぞ」と言われ差し出された。
僕は素直に「ありがとうございます」と返事をしたが、ラフィーはというと緊張のせいかブルブル震えながら、「あっありがとうございます」と言っていた
(緊張しているな~)僕は心の中で思いながら、ラフィーを見ていた。
「さて、本題に入るけど、まずイツキ君」
「はっはい!」いきなり呼ばれて、声が裏返ってしまった。
「ゴブリンキング討伐の方感謝します。力を付ける前に討伐してくれたことでこの町の被害が無しで済みなした。しかし、単独で討伐はあまり関心しません」
「す、すみません」
「謝る必要はないですよ。私共々討伐してくれた事には本当に感謝してますから」
「イツキさん!すごいね!ギルド長に褒められるなんて!」ラフィーは隣で目をキラキラして言った。
「ラフィー君もですよ」今度はラフィーに目を向けた。ラフィーは「ふぇ?」ときょとんとしていた。
「わ、わたしなんて全然!本当に何もやってないですよ!」
「そんなことないですよ。ラフィー君もゴブリンキングという強敵がいても逃げずに立ち向かったことは褒められるべきことですよ」
「ありがとうございます!」
「それでは、またイツキ君に話を戻させていただくけど、まず確認ね。今回倒したゴブリンキングの素材はどこにあるのかな?」
「僕の空間収納に入っています。」
「空間収納を持っているのかい?すごいね!」クレインギルド長は驚いた。
「空間収納はどのパーティに行っても重宝されるからね。そうかそうか、では通常のゴブリンもその中に?」
「はい。そうです」
「なるほど、後でそのゴブリン達すべてをギルドで買い取らせてもらってもいいかな?」
「はい!もちろんです。そもそもそのためにクエストをやったんですから」
「ありがとう。それと君たちに伝えないといけないことがあるんだ」
「伝えないといけない事?」
「ああ、今回の件にも関わっている事かもしれない事なんだ。」
クレインギルド長が真剣な表情になった。
「イツキ君とラフィー君、今回のゴブリンキングで不思議に思ったことはあるかい?」
「不思議に思ったことですか?」
僕は手を顎にあて考えた。
ラフィーはというと「特に何もなかったと思いますけど、、」と答えた。
僕はしばらく、悩んでいると「あっ!」と思い出した。
「1つだけ不思議に思ったことがありました。今回倒したゴブリンキングなんですけど、ゴブリンの上位種が1体だけだったんですよ。ゴブリンキングの下のゴブリンジェネラルなどいなかったです」
「やっぱりか、、」クレインギルド長は何か納得のいったかのような反応をした。
「やはり、イツキ君が倒した魔物もそういう感じだったのか」
「何かあったんですか?」
「いや、前回もこういうことがあったんだ。通常種の群れの下に上位種が1体だけいるということが、、しかしそれだけなら特に問題もない。むしろ普通の生態系なんだ。だがその上位種が極端に強い上位種なんだ。今回のようにゴブリンの群れにいきなりゴブリンキングがいるような。これは通常だとあり得ない事なんだよ」
「あり得ない事なんですか?」ラフィーが質問した。
「ああ、あり得ない。ゴブリンの群れ中に1つ進化後のホブゴブリンが1体だけというのはよくある。しかし、それらのゴブリンの進化種や上位種より上のゴブリンキングが1体だけというのはおかしいんだ。ゴブリンキングより下の下位種。それこそゴブリンジェネラルやゴブリンアーチャーなどいてもおかしくない。」
「では、なぜ今回のようなことが?」
「私の推測では、人為的に強制進化させられたんだと思う。」
クレインギルド長はがさらに鋭い目つきになった。
「人為的?そんなことが可能なんですか?」
「そんなわけないだろう。人為的に進化なんて聞いたことがない。少なくともこの人間界では不可能だ。だがもしかしたら、魔族では可能かもしれんない」
「「ま、魔族!?」」
意外な言葉が出てきて、僕とラフィーは驚いた。