第14話:冒険者生活【その2】
「あっ、ゴブリンたちが洞窟の中に入って行った」
ラフィーがチャンスと言わんばかりにまた飛び出そうとした。
「ちょ、ちょっと待って」僕はまたラフィーの腕を握り引っ張った。
「まだ、ゴブリンたちの数が分からないのにいきなり突っ込んでいったら、返り討ちに遭うだけだよ!」僕は小言でラフィーに注意した。
「うう~、じゃどうするの?」ラフィーは唸った。
(確かにどうしようか。正直ここでゴブリンのクエストを放棄しても構わないと思っている。僕一人なら恐らく余裕で倒せそうだが、守りながらの戦いになったら無傷で帰れる自信はない)
数秒考えた後
「ゴブリン退治は棄権しようと思う。ギルドにゴブリンの巣があることを報告するのがいいか・・」
そう言った時だった。なにやら洞窟の奥から地響きが聞こえてきた。
「っっ!」獣人のラフィーは何か危険を感じた様子だった。
地響きがさらに大きくなり、洞窟から現れたのは大きな斧とハンマーを背中にクロスして抱え、鋭く長い奥歯をした体長3mはあるだろう大きなゴブリンが出てきた。
「ゴブリンにしては大きいな。あいつは何だ?」
「あれはゴブリンジェネラル!?」ラフィーは言葉をもらした。
「ゴブリンジェネラル?あれが?」
「たぶんそう!今までのゴブリンの気配とは全然違うから!ゴブリンジェネラルは数十年前にも現れた強敵だよ」
(ホントにゴブリンジェネラルか、、、?)
僕は少し疑問に思った。そこで男の姿だが【万物の目】を使って鑑定した。
個体名:【ゴブリン※※※】
sキル:【========】
(なんだこれ!?全然読めないぞ)
僕は焦った。これはもしかしたらゴブリンジェネラルじゃない可能性がでてきたからだ。
「ラフィー逃げよう!」そういった時だった。
「グオオオオォォォーーーーー」大きなゴブリンがいきなり雄たけびを上げた。そして洞窟からぞろぞろと複数のゴブリンが出てきた。その瞬間そばにいた普通のゴブリン1体を鷲掴みしてこちらへ投げてきた。
「っ!!気づかれていた!」
「きゃゃぁ」
僕はとっさに収納から剣を抜き、飛んできたゴブリンを切った。返り血が降りかかる。
(こいつ鋭い感知しているな、、、)
あの大きなゴブリンを見た。相手の情報が分からないままじゃだめだ。僕は【万物の目】でちゃんと鑑定するため【トランス】を使った。
「【トランス】」僕は一瞬光に包まれた後、女の子の姿になった。
「今ここでトランスするの!?」ラフィーは驚いた。
「っ!」あの大きなゴブリンも少しだけ驚いたような感じがした。
「よし!【万物の目】!」僕はもう一回スキルを使った。
個体名:【ゴブリンキング】
ゴブリンジェネラルより上の個体種
スキル
【ゴブリン王の資格】:ゴブリンを1.5~2倍強化させる
【ゴブリン王の威厳】:相手の戦闘能力を低下させる。
そこでようやく僕たちが直面している相手の正体が分かった。
「ラフィー落ち着いて聞いてほしい。相手はゴブリンジェネラルより上のゴブリンキングだ」
「え、、、?」ラフィーの顔が真っ青になる。
「そしてこいつは僕たちをしっかりと認識している。もしここで引き返したらゴブリンたちはついてきて町に被害が出るかもしれない。今ここであいつを仕留める!」
「え、無理だよ、いくらイツキさんが強くても勝てないよ」ラフィーは弱気になっている。
「僕が何とかするから!ラフィーは仕留め損ねたゴブリンを頼む!」
「この数を一人でやるの!?もっと無茶だって!」
「大丈夫だって。」
師匠もとい神様からの修行で得た力を今ここで出すことができる。
「えっちょっと、、」ラフィーが何か心配そうに言ってきたが無視した。
「よし!いっちょやりますか!」僕はパチンッと手のひらと拳をたたき気合を入れた。