第11話:お母さんを治す
僕は黒い靄にさらに【万物の目】を使い、解析をした。
そして鑑定結果が出た。
【状態異常(重度):魔力溜り。対処法:第三者による魔力緩和】
(お!さすが。万物の目!対処法まで教えてくれるなんて!)
内心このスキルに感謝した。
「ラフィー!どうやらお母さんは体の中に「魔力溜り」っていうものがあるらしい」
「魔力溜り...確か体調とか悪くなったりした時によく起こる症状だよ。でもこんなに辛くないはずだけど」
「重度の魔力溜りらしい。多分、ケフィアさん無理していたんだと思う。心配しないで、これぐらいならすぐ治せそうだから」
「うぅ、、あ、ありがとう」ラフィーが泣きそうになりながら言った。
「よし!ケフィアさんいきますよ!」と僕はラフィー母に確認したが、目を閉じ汗をかいて苦しそうだった。
(ケフィアさんの体力も考えなくっちゃな。)
「回復」と僕は唱えた。
そして自分の魔力をケフィアさんの黒い靄の部分目掛けて放った。すると黒い靄は薄くなったが、消えなかった。意外としぶとい。今度は少し強めに魔力を送った。すると黒い靄はたちまち消えていった。
(よかった。これで治ったかな?)
【万物の目】を使って鑑定したら魔力溜りは消えていた。だが長らく魔力溜りがあったせいか魔力の流れが悪いと鑑定結果が出た。僕は最後にケフィアさんの体全体に魔力が流れるよう【回復】を使った。その後、【万物の目】で確認しても「異常なし」と出た。
ケフィアさんの顔も少しだが和らいでいるように見える。
「成功したよ」僕はラフィーに顔を向け、笑顔で言った。
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一夜明け、明るい日差しが部屋の中に入ってきている。
あの後、処置を施した僕は女の姿から男の姿に戻り、簡易的なベットを用意してもらった後そこで寝させてもらった。ラフィーはお母さんが心配だからとそばにある椅子にもたれながら就寝した。
そして、朝一番に起きたのはラフィー母のケフィアさんだ。治ったばかりなのに朝ご飯を作ってくれていた。それとケフィアさんは意識がぼんやりとしていたが昨日のことを覚えているらしい。
「もう、お母さん!治ったばかりであまり動かないで!また再発したらどうするの?」
ラフィーは治ったばかりなのに朝ご飯を作っていたことに怒っていた。
「分かったわよ。もうあまり無茶しないから安心して」
ラフィー母はなだめるように言った。
「僕からもお願いです。あまり無理しないでください。今回は何とか治せましたが、次回はどうなるかわかりませんから」
僕も一応、念を押しておいた。
「二人とも心配性ね。今度から大変になった時はちゃんと言うから」
「絶対の絶対だからね!」ラフィーは強気で言った。
「そうだ。今日、二人はこれからどうするの?」
ケフィアさんは急に話を変えてきた。
「えっ!うーん、どうしようかな。今日はお母さんと一緒にいようかなって思っていたけど」
「それなら、二人でクエストに出かけてきたら?ちょうど、イツキさんも昨日、冒険者登録したんでしょう?」
「はい。昨日、冒険者登録しました。ちょうど今、クエストに挑もうかなっと思っていたところです」
「なら、ちょうどいいじゃない。二人で行って来なさい」
「えー、お母さん無理しないって約束できる?」
「ちゃんと休憩をとって無理はしません。約束するわ。」
「なら行こうかな。」ラフィーはしぶしぶ納得し、朝ご飯を食べ、クエスト準備をし始めた。
それを見た僕もクエストに行く準備を整え始めた。といっても僕は特に持っていくものなどなかったが。
僕たち二人が準備し終え、家の扉を開いた。
そして二人同時に
「「行って来ます」」とラフィー母ケフィアさんに言ってクエストに出かけた。
僕の初クエストの開始である。