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陸上部と野球部

「今日の朝練もダルかったわー。」



 また、その話かよ。お前、昨日も一昨日も何なら今月入ってずっとその切り出し方やで。もっと持ちネタ増やしていこう。



「あー、大変そうやな。」



 お前もお前でいつもその返し!確かに、毎回同じ話でつまらないのは分かるけど。もっと、ユーモアに溢れた返しした方が良いと思うで。



「毎日毎日、ランニングって。陸上部かよ!って話だよな。」



 確かに、お前野球部やけど。この冬を乗り越えたやつが春以降才能を開花させるんやで。まあ、俺帰宅部やから知らんけど。



「まあ、俺と同じくらい走ってるもんな。」



 そういえば、こいつは陸上部だったな。陸上部だったら、もっと走れ。



「そうだよなー。それに、野球って思ったより足使わんのよ。ランニングは最低限で良いよな?」



 いや、それは「そんなこと言ってたら、一生レギュラー取れないぞ」……ああ、言いたいこと言ってくれた。いや、声には出してないけど。



「そうは言っても毎日はしんどくない?」



「……分かる。」



 陸上部なのに、走るん面倒くさがったら駄目では?



「お前、陸上部だろ?」



 ああ、何か知らんけど、さっきからシンクロしてるな。



「そうだけど、俺、砲丸投げだから。」



 ごめん、砲丸投げやったんか。だったら、面倒くさがっても……良くないな。



「ああ、そういえば、そんなこと言ってたな。足を怪我して砲丸投げにしたって。」



 じゃあ、尚更ごめん。そんな悲しい理由があったのに、もっと走れなんて言ってしまって。



「ああ、あれ嘘やで。本当は走るん面倒だったから、砲丸投げにしただけやし。」



 嘘かい!じゃあ、擁護する余地ないわ。ぶっ倒れるまで走り続けろ。



「ああ、だからお前、陸上部のなかで、一番足早いのか。」



 いや、宝の持ち腐れ!今すぐ走るほうに戻したほうが良いと思うで。ていうか、それなら嘘ってすぐ分かるやろ。



「ほんとにな。俺以外、皆雑魚だから。」



 うわ、急に上から目線。



「じゃあ、砲丸投げはどんな感じなんだ?」



「圧倒的、ビリ。」



 でしょうね。そんな細い腕で投げれるわけないもんね。悪いこと言わんから、早く走るほうに戻したほうが良いと思うで。



「何で、砲丸投げやってんだ?」



「己をレベルアップさせるため……かな。」



 すごくムカつく。その名言を言ってるみたいに最後間を空けるところとかちょっと声をカッコよくしてるところとかその気取った顔とか、やばい腹しか立たない。



「それで、やり始めて半年くらい経つけど、どのくらい飛距離伸びたん?」



「マイナス1メートル。」



 いや、伸びるどころか下がってもうてるやん。絶対向いてないから止めたほうが良いと思うで。



「そうか。でも、絶対伸びると思うから頑張れよ。」



 ああ、こっちも馬鹿だった。伸びてない言ってるのに。馬鹿は馬鹿を呼ぶとはこのことか。



「ああ、まず、1メートル伸ばすところから始めるよ。」



 それじゃ、始める前と変わらんやん。大きい目標を持つと、小さい目標がいつのまにか叶うって福島雅治も言ってたで。だから、10メートルくらい伸ばそうとしよう。



「お前はこつこつ真面目に頑張るタイプだもんな。」



 え、ほんとに言ってる?どう考えてもころころ気持ちが変わるけど、才能だけでやっていけてるタイプだと思うで。



「ああ、だからまず筋トレを頑張るわ。」



 まずって何?もう、半年経過してるのに、もしかして練習サボってた?そりゃ、記録落ちるわ。



「大事だな。で、どんな筋トレをするつもりなんだ?」



 それで、何でこいつは全部肯定してるんだ?



「腹筋100回、背筋100回、腕立て10回、スクワット150回……かな。」



 いや、腕立てもっとやれよ。どう考えても腕立てが一番大事だろ。間に入れることによってやってる感だすなよ。絶対、走るほうの感覚で考えてるだろ。



「良い心がけだな。」



 だから、何でお前は否定しないんだよ!走るほうに戻れって言ってやれよ!



「ああ。あ、もうすぐ授業が始まるな。」



「そうだな。俺もお前を見習って練習頑張るわ。じゃ。」



 どこに見習える要素があったのか教えて欲しい……。

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