吸血鬼
初めましての方は初めまして。それ以外の方はお久しぶりです。今回オリジナル小説を投稿しました。
読者の皆様が手軽に楽しめるように頑張りますのでよろしくお願いします。
ー助けなければよかった-
あの時からずっと後悔している。困ってる様子だったからと余計な事をしなければこんな事にならなかった。まさか助けた相手が吸血鬼だなんて誰が思う?俺の人生をめちゃくちゃにしたあいつの顔を思い出しただけで、殺意が湧いてくる。見つけたらすぐに殺してやる。しかし、どんなに探してもあいつは見つからない。
「くそっ、一体どこにいるんだ!あいつだけは絶対にゆるさねぇ!」
俺は苛立ち、物に当たる。もう夜だ。あいつを見た時も今日みたいな満月の夜だった。体が疼く。あいつに咬まれてから夜は衝動に襲われそうになる。
「ああくそ、忌々しい夜だ。気が狂っておかしいなりそうだ。」
満月の夜は妖怪は最も活発となる日。もちろんあいつも血を吸いたくて動くはずだ。だからこそ見つけ出して逆に血を吸い付くしてやる。しかし、あいつに咬まれて吸血鬼になったせいか、血を吸いたくてたまらない。
あの吸血鬼に咬まれて時が経つほど、血に飢える様になった。必死に抑えてはいるのだが、正直しんどすぎる。止めるのに必死で探すのもままならない。
「ちょっと君。大丈夫?!」
「……ああ、大丈夫です。最近寝不足でして、ちょっとふらついただけなので。それじゃ」
「待ちなさい。そんな状態じゃ大変でしょう?うちに来て行きなさいな。」
…………もうダメだ。我慢できない今すぐに血を吸いたい。
◆◇◆
「……足りない…なぁ」
俺は今、家に居る。さっき助けてもらった人の家に。そして首を咬み、血を啜る。初めて血を飲んだが、いままで食べてきたものよりもずっと美味い。この人でこれなんだ。あいつの血はどれだけ美味いのだろうなぁ。きっとこんなものの比じゃないんだろうぁ。
「ああ、あいつの血が欲しい。必ず見つけだしてやる。そして血を啜り、喰らってやる」
「…………キヒッ」
やばい。
「ヒヒヒ」
自然と笑いが出てしまう。最高に気分がいい。必ずあいつ血を啜り、肉を喰らってやる。そうすればどうなるんだろうか?
「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」
嗚呼、なんて気持ちのいい夜なんだろう。
「ヒヒ、ヒャハハ。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
こんな紅く狂った夜は、俺も狂うほかないなぁ。
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