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こんな破廉恥なドレスを着せるカウレス様のドスケベ!!!

 そう覚悟を決めてみても、相手の男性を直視することが出来なかった。

 ベール越しで、お顔を見ることが出来ないと自分に言い訳をして、敢えて相手の方のお顔を見ないようにした。

 視線を足元に向けて、式の進行をうわの空で過ごしていると隣から肘で突かれたのだ。

 驚いて顔を上げると、目の前にいる人が陛下だということに遅れて気がついたの。

 そして、陛下は一瞬眉を下げた後に、にこやかに言った。

 

「生涯、ただ一人の伴侶として愛を誓うか?」


「……、ちかいマス……」


 陛下に嘘を言うのが心苦しくて、言葉に詰まってしまったけど、宣言したからには、頑張ってこの人を好きになろうと心に決めたわ。

 

 そして、指輪の交換が終わり誓いの口付けをするために、とうとうベールが結婚相手の手によって顔の前から避けられてしまった。

 

 諦め悪くも、相手の顔を見ないようにギュッと目を瞑ってしまっていた。

 すると、相手が息を呑む音が聞こえた。

 

 わたしは、何も見ないように目を瞑ったまま口付けを受け入れた。

 そして、柔らかい温もりがわたしの唇に触れた時に、相手の方は、唇が触れ合った状態のままわたしに言ったの。

 

「凄く綺麗だ。可愛いソフィエラ。好きだ。愛してる。ずっとこうしたかった。だから、もっとキスをしたいけど、いいかな?」


 わたしにそう囁いた声は、はまさかのカウレス様のものだった。

 

 驚きから、思わす目を開くと目の前には金色の美しい瞳をトロトロに蕩けさせているカウレス様のお顔があった。

 

 何度も瞳を瞬いていると、カウレス様は宣言通りにわたしの唇に何度も触れるだけのキスを繰り返した。

 ちゅっと音を立ててなんども何度も啄むような口付けを繰り返していた。

 

 混乱しつつも、こんな衆人環視の中で何度も口付けをするのは恥ずかしすぎたわたしは、ギュッと抱きしめながら繰り返しキスをするカウレス様の背中を何度も叩いたけど口付けが止むことはなかった。

 

 だけど、すぐ近くにいる陛下の咳払いと呆れたようなセリフにカウレス様は口付けをやめてくれた。

 

「ゴホンッ!!あぁ、なんだ。カウレスよ……。お前が、ソフィエラを大大大好きなことは知っている。皆もよく知っている……。だがな、だがな!!当の本人であるソフィエラが、お前のその好き好きに気づいていないって、理解しなさい!!現実を見なさい!!ほら、可哀相に固まってるじゃないか!」


「ちっ!いいところだったのに。まぁ、これくらいやれば、鈍いソフィエラでも俺の本気に気が付くだろうさ」


 カウレス様からの口付けは止んだけど、腰を抱き寄せられて身動きができないでいるわたしは目を白黒させていたと思うわ。

 だけど、少しだけ落ち着いたわたしは、自分の置かれるてる状況の把握をするため、改めてベールがなくなったことでクリアになった視界を見回した。

 

 わたしが居たのは、王城の大広間で。

 そこには、沢山の貴族がいて。

 わたしの目の前には、白い結婚衣装を着たカウレス様がいて。

 そして、国王陛下がわたしたちの結婚式の見届け役として立っていて。

 

 そこまで状況を整理たわたしは、今までいろいろと、いっぱいいっぱいで気が付かなかったけど、自分のさせられていた格好に遅れて気が付き悲鳴を挙げていた。

 

 だって、わたしが着る予定はないと思っていたため、肩や背中、胸元が大胆に空いているドレスに身を包んでいたのだから。

 

「いっ、いやーーーーー!!こんな破廉恥なドレスを着せるカウレス様のドスケベ!!!」


 そう言ってわたしは、カウレス様の腕の中から逃げ出してその場に身をかがめるようにしゃがんでいた。

 

 だけど、カウレス様はそんなわたしを背中から抱きしめて、甘い声で言った。

 

「俺はちゃんと聞いたからな?本当にいいのかって?」


 そう言った後に、カウレス様はわたしの大胆に空いている背中にちゅっと口付けをしていたけど、わたしはそれどころではなかった。

 

 まさか、このドレスが始めからわたしのために用意されていたことに気がついてしまったからだ。

 そして、あの時言ったカウレス様の言葉を思い出して、胸のときめきが大変なことになっていたのだ。

 

 そう、あの時カウレス様は言ったのよ。

 

「大切な人にドレスを贈りたい」


 それって、つまり……。

 わたしが、カウレス様の大切な人ってことなの?!


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