表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/51

35 次のクエストを受けました

 宿で一夜明かして翌朝、リオ達はファインダへの帰路へと着きました。昼頃に到着し、開拓者ギルドへ現場監督者から預かった証明書を提出します。確認が終わるまでしばらく待った後、職員から報酬の詰まった革袋を受け取ります。ずっしりとした手応えに、思わずリオは「おお……っ」と安堵と歓喜の入り混じった声を漏らしました。


 正式にクエストを完了させた一同は解散し、二日ほど休息を取ります。当然、リオとティエラは宿を取ります。狭い個室に粗末なベッドを備えただけの安宿ではありましたが、土埃つちぼこりの敷かれた上で寝なければならないあのオンボロ宿舎とは比べるべくもない快適さでありました。


 街道整備クエスト完了から二日後――


「採取系クエストなんてどうだ?」


 ギルドロビーのテーブルへと着席したティエラ、マール、シエロ達三人のパー

ティーメンバーへ向けて、リオは次に受けるクエストを提案ました。


「良いけど……理由は?」


「ティエラに数日掛かるクエストに慣れさせておきたいからだ。そう言う意味では街道整備作業も良かったは良かったんだが……あれは戦闘がメインではない。結果的には戦闘する事になったが、あくまでもアクシデントの類だ」


「一応そう言った事態を想定してのギルドへの依頼ではありますが……まあ間違ってはいませんね」

「かと言って、いきなり討伐系に挑むつもりもない。ティエラの強さを考えれば大丈夫だとは思うが、段階を踏ませた方が良い。それらを考え、採取系クエストを選びたい」


「なるほど。……それで? アテはあるのか?」

「これなんてどうだろう。『ミドリタケの採取』だ」


 そう言ってリオは、ボードから剥がして来ておいた依頼書をテーブルへと乗せました。


「知ってる知ってる。"魔力薬(マナポーション)"の原料だよね」


「本土でもお馴染みだからな。ティルノア島にも生育しているのは確認済みだ。手近な場所では、ここから西へ行った森に生えている。浅い場所でも取れるんだが、量は物足りない。必要な量を採取するにはもっと奥へ行く必要があるんだが、その分魔物に襲われる危険も出て来る。それで、ギルドの出番って訳だ」


「なるほど」


「もしこのクエストを受けるとすれば、まず準備を整える時間を取る。大体昼頃には終わるだろうから、昼に出発。順調に行けば夕方辺りにはクエスト指定場所近くの村に到着するからそこで一泊、翌朝に森へと入る――って流れになるな。……どうする?」


「うん、了解だよ」

「お前らもそれで良いか?」


「はい」

「ああ」

「じゃあ決定だな」


 リオは立ち上がり、依頼書を手にクエストカウンターへと向かいました。






 クエスト受注後にマール、シエロと一旦別れ、リオとティエラは利用している宿屋へと戻ります。それから、クエストの準備に取り掛かりました。


 例えば、食料や水。


 恐らく今回もマールは十分な量を用意してくれているでしょうが、そればかりに依存する訳にも行きません。不慮の事態――魔物との戦闘で荷物を失う、森の中ではぐれてしまう……などです――が発生した場合に備え、用意出来るものは個々人が用意しておくべきです。必要なものは村で調達する事も視野に入れつつ、クラッカーや干し肉を鞄に入れておきます。水が不足しないように、水筒も複数用意しておきます。


 例えば、薬。


 先に挙げたのと同様の理由で、傷を癒やすための"回復薬ポーション"――(びん)詰めの青い液体です――、それだけでは完治出来ない怪我を負った場合に備えて痛み止めの丸薬も忍ばせておきます。消毒剤も忘れません。ピンクの粉状の薬品であり、少量を溶かせば水を消毒し洗口液としても利用可能となり、量を増やせば水で()いたものを傷口に塗って化膿を防ぐ……と、何かと便利な代物なのです。


 他にもナイフや方位磁石、ランプや発煙筒……などなど、冒険に必要となるものをティエラへ教えつつ、それぞれ鞄に入れておきます。


「――準備は良いな? じゃあ行くぞ」

 そして合流して少し早めに昼食を済ませ、リオ達一行はファインダの街を後にしました。


 目的の村までは街道も通っていれば、行商用の馬車も行き交っております。比較的安全度が高い証左であり、四人は最低限の注意は払いつつものんびり雑談も交えながら歩いて行きます。


 道中特に問題もなく、予定通り夕方に村へと到着しました。


 いかにものどかな田舎村……と言ったゆるい空気に包まれておりましたが、そこそこの人口と人の出入りがあるため閑寂(かんじゃく)と言うほどではありません。


 付近の森を開いて作られたこの村は、主に木材の採取を目的として開かれた経緯があります。リオ達が入る前、村の外周部では炭焼きや樹脂焼き――木炭や木酢(もくさく)

液、タールなどの製造です――に使われる(かま)もいくつか見付けました。実際には、森の浅い場所にも設置されている事でしょう。炭焼き、樹脂焼きは"森の中"で行われるのが普通ですが、魔物と遭遇する危険がある場所では村の外れなど比較的安全が確保された箇所で行われる事もあるのです。


「着いたね〜。……何かホッとするなぁ、こう言う静かな場所」

 周辺の景色をゆっくりと見回しながら、ティエラは呟きました。


「この辺りは手強い魔物も少ないからな。村の防衛もギルドから派遣された警備隊が担っているし、まあ村の中なら魔物に襲われる危険はないんだろう。……何はともあれ、まずは宿だな」


 ちなみに、今回はギルドから宿代などが出る事はありません。前回の街道整備は"公共事業"に当たるものであり、ある程度ギルド側からの保証が出る一方、今回は通常のクエストです。宿の確保などは『受けた開拓者側が負うべき自己責任の範囲である』……と解釈されているのです。


 リオ達が看板を頼りに適当な宿へと入ると、


「……ハリー?」


 ロビーには、リオのかつての仲間――ハリー達の姿がありました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ