呪い、祝い、呪い
この世には、呪いのような恋がある。
彼ら彼女らは運命だと言うけれど、ゆっくりと優しく育んでいたこの気持ちが、家族愛のようなものから恋や愛に変わろうとしていたこの気持ちが、一瞬で潰されてしまうような運命の恋は、祝われて、祝福されて、受け入れられるものと、決まっているのだろうか。
貴方は幼い頃から、完璧な婚約者だった。優しく、誠実な婚約者だった。家同士の政略的な婚約でも、私は貴方が好きだった。
貴方が優しい私を好きだと言うから、優しくあろうと努力した。
貴方が真の通った私を好きだと言うから、曲げぬよう、正しくあろうと努力した。
貴方の隣に立てるように、勉学も頑張った。優秀な貴方に私との会話が有意義だったと言われるのが嬉しくて、祖父に女には必要ないと言われた政治学も、経済学も学んだ。
美しい貴方に相応しくあろうと、容姿に気を配って、爪の先、髪の毛の先まで気を使った。
ゆっくり育んでいた愛だった。妹に向けるような、愛だった。いつか変わると、変わっていけると、変えて見せると、思ってた。
彼女が現れて、変わった。貴方は私を見なくなった。彼女しか見なくなった。優しく暖めて、もう少しで変わっていけそうだった愛は、ぺしゃんこに潰れた。学園を卒業する、1年前だった。卒業したら、式を挙げる予定だった。
彼女は少し我が儘で、気紛れで、ドレスや宝石が好きな、かわいらしい女の子だった。私とは全然違った。
私は彼女を憎まなかった。憎みたくなかった。貴方が好きだと言った、優しく、正しい私でありたかった。だから彼女にも優しく接したし、いじめからも助けた。
でもだからって、悲しくない訳じゃないの。羨んでない訳じゃないの。好きじゃなかった訳じゃないの。
だから、だからね?この結婚式の祝福は、私がしなくちゃ、ダメなんですか?
「病めるときも、健やかなるときも、共に支え会うことを誓った二人に、心からの祝福を。。」
ずっと近くで見ていた、お嬢様の騎士SIDE
◆◇◆◇
お転婆だったお嬢様。婚約者殿の為に優しく、正しくあろうとしたお嬢様。少しの間違いで自分を責めたお嬢様。世間では月のようだと言われたお嬢様。本当は太陽のように明るく夢見がちなお嬢様。俺がきっと守るから、だからどうか、また笑顔を見せてください。




