友達だった君へ
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ふわりと花びらが風に舞う。
柔らかな色合いのそれは、まるで彼らの様子と同じだった。
仲睦まじく手を取り合い、式場を歩いて来る。
とうとう、僕の目の前までやって来た時、彼は、僕に目を合わせてきた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「おれとペア組んでくれねぇ?」
「へ、...え?」
君はある日、唐突に僕に声をかけてきた。当然僕は戸惑って、ろくに返事もできなかった。
賑やかで、少し小柄で愛嬌のある君は、クラスみんなの人気者だった。いつも数人とたわむれては、楽しそうに笑っていたのを覚えている。
「なぁ、今日は一緒に帰ろーぜ」
「...うん」
君から唐突に話しかけられて以来、君は僕にもよく声をかけてくれるようになった。なんでもない会話から、放課後一緒に遊ぶことまで。
大柄で無口な僕には友達らしい友達はいなかったから、青春と呼べるものは、すべて君にもらったと言えるだろう。
そんななんでもない日々は、いつまでも続いてはくれなかった。
受験戦争を乗り切り、無事入学した大学でも、僕は君に引っ張られて青春を過ごしていた。
そんなある日のこと。
君は照れくさそうに言ったね。
「好きな子ができたみてぇだ」
「...。そうなんだ」
その時に感じた気持ちは、今でも表現が難しい。
嬉しかったような、寂しかったような、祝福したいような、嫉妬のような。こんな気持ちは、あれから何年経っても、味わったことは無い。
それからの日々は、どんどん君が変わって行ったと思う。
彼女はどんな男が好きか。彼女に好かれるためには。どういう風に告白するか。
僕を信頼してなんでも相談してくれる君が、煩わしいやらいじらしいやら。
大学での生活はもちろん、アルバイトやご両親のこと、それから彼女とのこと。いろいろあったけど、君はちゃんと彼女と結ばれたね。
僕はその様子を見るのが、やっぱり幸せな反面、苦しくもあった。僕の青春の象徴である君が、僕以外の誰かを優先することが、とても苦しいと感じることもあったんだ。
それでも、僕は君の幸せを願わずにはいられない。
だから、最後の難関だった彼女のご両親の反対も、 僕は君に協力した。彼女と結ばれることが、君の幸せだと思えたから。
そうして、無事、今日結ばれる君たちを、僕は心の底から祝福しよう。
どうか、いつまでもいつまでも、幸せであってほしい。
君たちに幸あれ。
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君と合った目を、僕はゆっくりとそらした。
彼女を紹介された時から、ゆっくりと自覚し、ゆっくりと消化してきたこの思いは、今日、決着がつく。
僕は、君と決別しよう。
式辞に従い、呼び出しを受けて、結婚式のスピーチにのぞむ。
この決意を込めて、僕はスピーチを語った。
だんだんと、君の表情が歪んでいく。
僕のこの思いを感じ取ったのだろう。
さとい君に隠すのは、とても気を使った。
でも、もういいだろう。
さとい君なら、僕の気持ちを誤たず理解して、僕と距離を置くだろう。
さぁ、さよならの時間だ。
友達だった君へ。
本当にありがとう、大好きだった。
幸せを祈っている。
君に幸あれ。
最後までありがとうございました。




