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00.プロローグ
ただ一人だけ
私の過去について話をした事がある。
かつての私によく似た青年。
冒険者の道を歩むだろう彼にだけ。
無論、すべてを話した訳ではない。
それをするにはあまりにも時間が足りない。
彼に嫌われたくないという
よく分からない感情も持っている。
だから時々こうして過去を振り返っては
彼らとの絆を思い出すのである。
“あれ”からもう二年も経った。
戦場を渡り歩いた私の今は かつてとは程遠い
奇妙でとても普通な生活を送っている。
どちらが幸せかなどとくだらない比較はしない。
大切な思い出としていつまでも。
F.Warrior