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1 ラッキーアイテム side麻亜子

きっかけは、些細なことだった。


たまたま、朝の情報番組で獅子座のラッキーアイテムが「黄色いブックカバー」だったこと。


たまたま満員のバスで、ぎゅうぎゅう押されてバランス崩したから。





朝の、通学時間帯のバスは嫌になる。

このバス経路には、高校が2つあるから仕方がないのかも知れない。


私の通う緑ヶ丘高校はネイビーブルーのセーラー服で、胸のスカーフは水色のとても清楚で可愛い制服なのだ。

この辺りの女子はみんな憧れているっと言っても過言ではない。

もちろん、そこそこの学力レベルもあるしこの地域一番の伝統ある高校って理由もある。


そして、その緑ヶ丘高校の隣と言ってもいい距離に3年前にできたのが愛星学園だ。

いわゆる進学校で、有名大学への進学率は断トツで高い。

紺のブレザーに紺のタータンチェックのプリーツスカートでいかにも賢そうなんだよね。


近いということもあって、割と二校の交流は盛んに行われている。

交流委員というものに選ばれると、二か月に一度二校の委員が集まり交流会が開かれる。

そこで、体育祭や文化祭の交流や運動部の親善試合などが計画される。

数ある交流会で一番盛り上がるのが愛星祭だ。それは、屋台や飲食の模擬店があって、ミスコンや最終日に行われるキャンプファイヤーを囲んでのフォークダンス(・・古い)は達成感もあって最後はみんな団結!仲間!って感じで青春を感じて幕を閉じるのだ。


それは、二学期が始まってすぐの9月最終土日に行われる。

だから、もうすぐ夏休みという7月の今が一番みんなが浮足立っているし、交流委員はテストが開けたというのに忙しくて遊ぶ暇もない。


かくいう私、野村麻亜子もクソ忙しい交流委員の一人なのである。

昨日も、各クラスの纏まらない意見を皆が不公平にならないようにまとめ割り振るのに、クソ長い時間がかかったのだ。

もう、やってられないっていうの!

ちなみに、頼られると嫌と言えない性格のため引き受けた以上は頑張らなきゃ!と思っちゃう損な性格なのだ。

今朝も、放課後に行われる委員会の準備のためにいつもよりも一本早いバスに乗ったらそこはもう、「これ、乗ってもいいですか…?」と聞きたくなるような状態。

うんざりしながらも、覚悟を決めてバスのステップを上がりなんとか体をぎゅうぎゅうの中に収めた。

手すりにしがみつき、ふと前の方の座席に目をやると黄色いブックカバーがついた文庫を開いてるのが見えた。


あ、黄色…。


占いのラッキーアイテムを、朝からドンピシャで遭遇するの初めてだったからちょっと気持ちが盛り上がった。


どんな人が読んでるのかな?


バスに揺られても、必死に手すりにつかまりながら、その黄色いブックカバーから目が離せなかった。


乗り降りする人が居なくて…まあ、周りを見渡せば緑ヶ丘と愛星の生徒ばかりだから当たり前だけど、学園前でやっとバスが停まった。


「愛星学園前〜愛星学園前〜、お降りのお客様は足元に注意してお降りください。」


バスのアナウンスで一斉に、乗車客に動きが出る。

私、ここでも必死!

手すりを離したら、体を持ってかれる!


後ろの席から順番に降りていき、いよいよ黄色いブックカバーの持ち主が見えそうになってきた。


男か、女か…どっちかな。


見つめる先には、背の高い緑ヶ丘の制服を着た男の子がいた。

あの、ネクタイの色は一年生だ。


顔は…、イケメン。


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