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最強のエンターテイメント  作者: sky-high
新団体設立
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一体何だったんだ…

オレには何の事だかサッパリ分からずにキョトンとしていた。


外様のオレたちがWFEの初代タッグ王座に戴冠する…


フロントの一人は話を続けた。


「TMNの件だが…残念ながらもう興行をうつ事は出来ないだろう」


「どういう事ですか?」


TMNは崩壊するのか?たった二大会を行っただけなのに、もう興行が出来ない。


「実は選手達へのギャラが未払いらしい。

表向きはケガによるキャンセルという事だが、実際は旗揚げ戦のギャラすら、満足に貰ってないみたいだ」


頭を殴られたかのような衝撃を受けた感じだ…


何故だ?スポンサーがついていたのに、選手のギャラが未払いだなんて…


「その話は本当ですか?」


オレはテーブルに身を乗りだし、フロントに詰め寄るように聞いた。


オレに対してはギャラの未払いどころか、遅配すら無かった。


にわかに信じがたい話だ。


あの佐藤さんや山田さんがそんな事をするワケが無い。常日頃から【この世界は裏切りが日常茶飯事だ。分裂してはくっつき、また分裂する。その全てがカネの為だ。

だからこそ、信用が無いと団体を持続させる事が出来ないんだ】

とまで言ってた人達だ、何かの間違いだろう。


だが、フロントの一人はTMNを旗揚げする際、経理の人間を送り込んだ。


調べた結果、取締役会があり議事録があり、決算がありと言うあたり前の会社経営がなされるべきものなのだが、会社の役員をキチッと決め株の持ち分比率を決めなければ、興業で得た多額の金銭がどのように使われ、どのくらい貯まっているのか一部の人間にしか分からなくなっていた。

その一部の人間とは、名誉会長だった、カイザー大和の事だ。


使途不明金はどのようにして流れていったのか、多分カイザー大和が手掛けるサイドビジネスの運転資金として流れていったのだろう。


「つまりはそういう事なんだ。

君は社長(佐藤さん)や専務(山田さん)に全幅の信頼をよせていたが、あの二人はカイザー大和の駒に過ぎない。

何故、WWAがWFEとTMNの二つに分裂したか分かるかね?」


何故?そりゃ、従来のプロレススタイルと格闘技路線の区別をするために分かれたはずでは?


「もしかして、プロレススタイルと格闘技スタイルに分けるというのも、表向きな事ですか?」


オレは頭の中がパニックに陥った。


確かにどう考えても、WWAを分裂させる理由なんて無い。


WWA内で、従来のプロレススタイルと格闘技スタイルを同時に行えばいい事だ。


いきなり降って沸いた話にオレは佐藤さんと山田さんの言いなりになり、TMNへ移籍した。


もう、何がなんだかサッパリ分からない。


「あのカイザー大和というプロレスラーは確かに偉大な選手だった。

彼の一挙手一投足に注目する程、魅せるレスラーはいない。

だが、リングを下りれば、金にはだらしない、杜撰(ずさん)な経営でいつもWWAは火の車だった。

おまけに何をやってるのかワケのわからんサイドビジネスに手を出し、莫大な借金が膨れ上がった。

もはや収拾のつかない状態で、彼はWWAを売却した。

そして今のオーナーに変わったのだが、彼はオーナーの座を降りたのに、あれこれと口を挟んでくる。


まるで今のオーナーがWWAをダメにしたかのように、マスコミの前で苦言を呈する。

業を煮やしたオーナーは、カイザー大和に手切れ金として、数億円の金を渡し、【今後一切WWAには関わらないで欲しい】と伝えた。


カイザー大和はその金でかつての部下だった佐藤氏や山田氏を使い、格闘技路線のプロレス団体を作ろうと画策した。つまりそれがTMNなんだよ」


静寂な高級中華料理店内の個室で、フロントが発した言葉が響き渡る。



「でも、その資金でオリンピックの金メダリスト等を参戦するように出来たんですよね?興行的には大成功じゃないですか?しかも会長が連れてきたスポンサーもかなりの企業だったし」


反論するつもりはないが、ここまで話して途中で終わらせたくなかった。


もっと明確な理由があるはずだ。


「これ以上はあまり口に出来ないんだが…」


「いや、何でこうなったのか、オレは理由が知りたいんです。

TMNはもう興行がうてないって、しかもギャラの未払いだなんて…」


本当の理由は何なんだ?


フロントは包み隠さず、全てを話してくれた。


その内容にただ驚き、唖然とし、呆れ返った。


フロントの話によると、世界各国の格闘家達を集め、エキジビションマッチを行うから日本に来日して欲しい、ギャラはこのぐらいでどうだろう?と全くのデタラメで契約書にサインをさせ、いざ試合を行い、試合後には、試合内容にダメ出しをして、当初の予定のギャラからダウンを提示され、激怒した格闘家達は二度とTMNとは関わらない、と言ったらしい。



おまけにダウンを提示されたギャラも満足に支払われていない。


会長の連れてきたスポンサーは、あまりの経営の杜撰さに呆れ、旗揚げ戦直後に打ち切りを告げた。



そして選手達の支払うべきギャラの管理は会長自らが行っていた、というのが真相らしい。


それじゃ横領じゃないか?

即刻カイザー大和を告訴するべきだろう。


「選手達のギャラは我々が肩代わりした。その代わり、TMNはもう二度と興行を行わないで欲しい、と伝えた。


カイザー大和…あの男は今やプロレス界のガンだ。

社長も専務もこの事については了承を得ている。

TMNは事実上崩壊したという事だ。

神宮寺君、WFEに来たまえ。いや、戻ってくるんだ。

AAWと業務提携を結んだが、オーバーアクションとパフォーマンスのアメリカンプロレスがハイスパートレスリングの日本のプロレススタイルと噛み合うワケが無い。

財前君も頑張ってるが、もう一人目玉になる人物が必要なんだ!

神宮寺君、戻ってきてくれ」


…TMNが崩壊…


たった数回興行を行っただけで崩壊か…


「…今頭の中が上手く整理できません。申し訳ないですが、暫く時間を下さい」


オレは深々と頭を下げ、料理を一切口にしないで店を出た。


まるで夢遊病者の如く、どうやって家に帰ったのかさえ、覚えてない程に…



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