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最強のエンターテイメント  作者: sky-high
新団体設立
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急遽対戦カードの変更

数日後、海外視察に行った会長と山田さんが帰国した。


オレの提案した、プレ旗揚げ戦は会長の鶴の一声で却下された。


このままで本当に良いのだろうか。

オレの不安は募るばかりだ。


旗揚げ戦に参戦する選手を発表する会見が開かれた。


一番の目玉は、柔道100キロ超級で金メダルを獲得した、オランダのステファン・クラフトと、レスリンググレコローマンスタイルでオリンピック二連覇を達成した、ロシアのイワン・ソロコフ。


他にも、ロシアのコマンドサンボの選手、イギリスからキャッチレスリングの選手や、オランダのベビー級チャンピオンのキックボクサー、ムエタイのチャンピオン、アメリカからは、総合格闘技のウェルター級チャンピオン、ブラジルからは、ブラジリアン柔術でムンジアル(柔術世界大会)の王者、そしてミャンマーからは、ラウェイのチャンピオン等々…


そうそうたるメンバーが集い、大晦日の旗揚げ戦はDiamondに負けず劣らずの勢いだ。


そしてようやく道場が完成した。


鉄筋コンクリートの五階建ての道場で、一階は総合の道場、二階は立ち技の道場、三階はレスリングの道場で、各部門のエキスパートがコーチを務める。

そして四階、五階は若手レスラーの合宿所という、かなり莫大な費用をかけて造り上げた。


同時にセミプロ、アマチュア問わず、総合や立ち技の経験者がTMNに入門し、一気にTMNは大所帯となった。


だが、入門してすぐにデビューというワケにはいかず、トレーニングを積んで、鍛えぬかれた身体に仕上げるのに、しばらくの時間を要する。

旗揚げ戦では日本人選手はオレだけで、現在他団体、もしくはフリーのレスラーが参戦の為に交渉中という事らしい。


果たしてどうなるのか?


一方のWFEは旗揚げ戦で大成功を収め、財前をエースに従来のプロレススタイルにアメリカンスタイルをプラスした、エンターテイメントな戦いで、会場は常に超満員らしい。


本来ならばオレも従来のプロレスをやりたかった。


どういうワケか、オレの試合は不穏な内容になり、シュートの印象が強い為、TMN所属になってしまったが、プロレスラーになりたくてWWAの門を叩いてようやくプロレスラーになったが、総合格闘技に参戦してから歯車が狂っているような感覚だ。


それでもオレにとっては唯一、救いになったのは、ロンドンでキャッチレスリングを教わったロイズ・カーウィンがTMNの最高顧問兼、特別コーチとして来日した事だ。


オレは新道場で、カーウィンの指導の下、キャッチレスリングをコーチしてもらった。


対戦カードが決まり、オレはメインイベントで、イギリスのキャッチレスリングベビー級チャンピオン、ジョージ・ボッグスという全身が筋肉に覆われた白人のレスラーとキャッチスタイルで試合を行う予定だ。


オレは試合に向け、カーウィン相手に久しぶりにスパーリングを連日行った。


ロンドンにいた頃と比べ、キャッチレスリングが更に上達したように感じた。


カーウィンの教えは理詰めで頭ごなしに言う事は無く、こういう場合はこんな感じに動けば、相手は簡単にテイクダウンする、明確な理由まで教えてくれる為、非常に分かりやすい。


本当ならば、ずっと三階のレスリング部門の道場でトレーニングをしたいが、オレは総合と立ち技も同時に行い、休む間も無い程、ハードなトレーニングを続けた。


とは言え、旗揚げ戦はキャッチスタイルの試合を行う為、どうしても三階のレスリング道場に足を運ぶ機会が多くなる。


キャッチスタイルは一切の打撃を禁止されている。


中途半端に総合や立ち技の道場でトレーニングしても、試合中無意識に打撃を繰り出してしまう恐れがあると判断したオレは、三階のカーウィンがいる道場でキャッチレスリングに専念した。


後は大晦日の旗揚げ戦を無事に行うだけだ。


オレはコンディションを整え、本番に備えた。


だが、旗揚げ戦一週間前に急遽対戦カードが変更になった。


オレはメインイベントでスタンディングバウト(立ち技)をするよう命じられた。


対戦相手はオランダのベビー級のキックボクサー、ヨハン・グーリットという、黒人の選手だ。


何故、対戦カードが急遽変更になったのか?


それは名誉会長のカイザー大和が勝手にマッチメイクを変更させたのだ。


今から立ち技の練習をしても、キックボクサーのチャンピオンに勝てる筈も無い。


何のためにこれまでキャッチレスリングを練習したのか…


「今からじゃ立ち技の試合なんて無理だ!対戦カードを変えた理由は何ですか?」


オレは佐藤さんや山田さんに詰め寄ったが、会長の決めた事だとしか言わなかった。


無理だ…今から立ち技の試合だなんて…


オレはカイザー大和という人間性に不信感を抱きながら、旗揚げ戦当日を迎えた…



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