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最強のエンターテイメント  作者: sky-high
Roots Of Wrestling 最強
16/51

闘いに終止符…

【5分経過!】


リングアナウンサーが試合時間をコールする。


オレは【クルスフィックス】で斎川を押さえ込んでるだけだ。


両足でヤツの左腕を挟み、両腕で右腕を取るだけ。


身体がくの字の状態のまま、斎川は何も出来ずに足をバタバタしてもがいている。


日頃から道場でスパーリングをしているレスラーならば上手く脱出出来るだろう。


だがコイツはろくにスパーリングはおろか、練習嫌いで有名みたいだ。

上体を押さえつけられ、下半身は宙に浮いたような体勢でエビ反りになっている。


この弛みきった腹の肉の重みが上半身を圧迫するかのように、ヤツの顔は赤くなり、苦悶の表情を浮かべている。


オレは何もしていない、ただヤツの両腕を広げるようにして押さえてるだけだ。


【何だよ何だよ、いつまでその体勢でいるんだよ!】


【斎川、いつまでその格好でいるんだよ!】


【神宮寺、そのまま腕極めちまえ!】


客席からはこんなヤジが飛ぶ、何せこの状態のまま、ゴングが鳴って5分以上経過している。


レフェリーはどうしていいのか分からない感じで、この状態から脱出出来ない斎川に様子を見ているだけだ。


これが通常のプロレスルールだったら、レフェリーはマットを【1,2,3!】と叩いてオレのフォール勝ちになるが、この試合はスリーカウント無しのギブアップかKOのみのデスマッチだ、まさかこの押さえ込みでギブアップじゃないだろうな?


「おい、そんなんだからウチの団体に入門して練習がツラいからってバックレたんだろ?

こんなバットなんか使ってねえでレスラーならレスラーらしく技で勝負してみろよ、デスマッチ王の斎川さんよぉ」


呆れた…こんなヤツと試合してるのか、オレは?


コイツ、ろくにトレーニングもしないで毎日何やってんだ?


客席からは相変わらずブーイングが飛び交う。


ただ押さえつけてるだけなのに…


「ぐっ、クソッ、んぐぅ~…」


【斎川、ギブアップ?】


堪らずレフェリーが斎川にギブアップか聞いている。


「…ノー!クソッ!」


192㌢135㌔という恵まれた体格を持ちながら、ただ凶器攻撃に頼ってレスリングのいろはも知らないヤツが団体のエースだと?


更にブーイングが大きくなり、いつまでもこの状態でヤツの身体を丸め込んでるだけじゃただの凡戦で終わってしまう。


おまけに空は暗くなり、野外で行ってるせいか、少し風が吹いて四方に立っている松明の炎の火の粉がオレの身体に触れ、熱くなって火傷しそうだ。


とりあえず右手でしっかりと握りしめてるバットを外しにかかった。だがコイツはこの状況でもバットをギュッと握って中々離さない。


業を煮やしたオレは、ヤツの中指だけを外し、そのまま反対方向に折り曲げた。


【グキッ】


…オレはヤツの右手中指を折った。


「ぐゎ~っ!!」


指を折られたと同時にバットを離し、オレはクルスフィックスを解き、バットを手にして場外へ投げた。


斎川は中指を押さえ、うずくまっている。


すかさずレフェリーが斎川の様子をチェックした。

本来ならばオレの反則負けになるが、この試合はシュートだ。


うずくまる斎川を強引に起こし、ヤツの頭を股に挟むようにして、ベルトを掴んだ。


そのまま持ち上げ、鋭角的にパイルドライバーでマットに打ち付けた。


今流行りの垂直落下式の技じゃなく、禁じ手とされている、相手のタイツを掴み、45度の角度でヤツの脳天を叩き付けた。


この鋭角的なパイルドライバーで対戦相手が死亡したという、危険極まりないパイルドライバーだ。


こういったクラシカルな技でも十分シュートな技になりうる。


斎川はダウンしたままで、首を押さえ、悶絶している。


…話になんねぇ、これじゃ一方的な展開だ。


「立てコラーっ!」


オレはストンピングを何発も斎川の身体に叩き込んだ。


「立て、立って勝負しろ、オラ!」


オレは観客を煽るように立て!とパフォーマンスした。


【斎川ダセー!】


【凶器無いと何も出来ないのかよ】


【神宮寺、もう仕留めちゃえ!】


観客の声援が飛ぶ、しかし斎川は動かない。


レフェリーがチェックに入る。


これ以上は続行不可能か?


すると斎川は素早く立ち上がり、左手にカッターナイフを切りつけてきた。


「ぐっ…」


胸板が縦に切り裂かれ、血がポタポタと流れ、マットに赤く滲んだ。


コイツ、こんな物まで持ってるのか…


「テメー、よくも指折ってくれたな、オイ!」左手にカッターの刃をキチキチと出しながらオレに向け、リングサイドにいる若手レスラーに声を荒げた。


「おいっ、アレばら蒔け!」


斎川の声で若手レスラーが箱に入った画ビョウをリングにばら蒔いた。


「おい、画ビョウでぶっ刺してやっからよぉ、覚悟してとけよ、コラ」


斎川は息を吹き返し、猛然と遅いかかってきた。


あのカッターナイフは厄介だ…


しかし逃げてばかりはいられない、ロープが無いから場外へ落ちたら剣山のような無数の五寸釘の餌食になってしまう。


どのみち無傷でリングに降りるのは難しい、多少の流血も覚悟でこの試合を行っているんだ。


斎川はカッターを振り回し、オレは何とか避けるだけで精一杯だ。


一瞬にして立場が逆転した。


斎川がオレの土手っ腹に蹴りを叩き込んだ…


「ぐへっ!」


すかさず斎川はオレを抱えあげ、画ビョウが散乱するマットにボディスラムで叩き付けた。


「ぐっ…」


背中と太ももの裏側に画ビョウが刺さり、激痛でのたうち回る…


いくつのも画ビョウがオレの身体に刺さったままだ。


そしてオレの頭を掴み、カッターの刃を当て、真横に切り裂いた…


【うげっ、血だらけじゃねえか!】


【斎川、そのまま場外へ落とせ!】


Dangerファンは声援を送る。


「レスリングったってカッターや画ビョウの前では何の役にも立たねえな、おい。

そのまま場外で串刺しになれっ!」


斎川はオレの腕を掴み、場外へ振り落とそうとするが、オレは何とか踏ん張り、堪えている。


すると腕や足、上半身をカッターで切りつけ、オレは全身から血を流し、意識が朦朧としていた。


今までに無いぐらい、おびただしい出血の量だ。


コイツ、こんな事を毎回やってるのか…


しかしここで負けるわけにはいかない!


オレは斎川の右手を掴み、折った中指を手刀のようにして振り下ろした。


「ぎゃ~っ!!」


斎川は悲鳴を上げ、右手を押さえた。


オレは斎川の左手を踏んづけ、もう片方の足で手首にニードロップを落とし、激痛でカッターナイフを離した。


手首の外側に出ている骨の部分に膝を落としたのだから、左手も壊したと同然だ。


オレは全身から血を吹き出し、身体中が鮮血で真っ赤に染まっている。


刺さったままの画ビョウが取れない程、深く突き刺さってる。


激痛に耐えながら、オレは斎川を起こし、左腕と身体をガッチリにさば折りの状態で締め上げ、そのまま後方へブリッジを描くように素早く投げた。


スロイダーというフロントスープレックスで、持ち上げた瞬間、少し身体を捻り、右肩口から落とす危険なスープレックスで、斎川を右肩からマットに叩きつけ、右腕を完全に破壊した。プロレス用の高く弧を描くようなスープレックスではなく、低く鋭角的に落とす投げ方をした。


叩き付けた瞬間、【バキッ】という音を聞き、受け身の取れないスープレックスで肩の関節が外れる音がした。


そして止めだ!と言わんばかりに斎川の背後に回り、首ではなく、顔面を捻るようにして締め上げ。


フェイスロックという技で、頬骨を手首で押さえながら両手で顔面を捻り、そのまま前へ体重をかける。


完璧に極れば斎川の首が捻れ、覆い被さるように上半身を頭に乗せ、頸椎ごとヘシ折るつもりでいた。


この凄まじい技に観客も一瞬にして凍りついた。


【このままじゃ斎川の首折れるぞ!】


【神宮寺!構わねえ、ソイツ殺しちまえ!】


場内は斎川コールと神宮寺コールにつつまれた。


【ギブアップ?】


レフェリーがすかさずチェックに入る。


このままじゃ本当にリングの上で頸椎を折ってしまう。


あの茅場と同じようにベッドで寝たきりの生活にしてやろうかと思ったが、コイツはもう戦意喪失な状態だ。


オレはフェイスロックを解き、強引に立たせ、胴回りをクラッチした瞬間、溜めを置かずにジャーマンスープレックスで斎川をマットに沈めた…


そう、あのギガンテスを病院送りにしたジャーマンだ…


衝撃で斎川の後頭部や背中から画ビョウが刺さり、ピクリとも動かない。


レフェリーがカウントを数えた【1,2,3…】

立ち上がる気配はない、これで終了だ…


【8,9,10!カンカンカンカンカン!】


この瞬間、オレがKO勝ちとなり、斎川は右手中指骨折及び右肩亜脱臼に加え、脳震盪を起こし、この闘いに終止符を打った…


シュートVSデスマッチの勝者はオレだ。


【14分37秒、ノックアウトで神宮寺直人選手の勝利です!】


スタジアム内は物凄い歓声で血だらけになったオレが勝ち名乗りを上げた…


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