今、君を想う~再会4 そして~
あれからまたいつもの日常に戻った。他愛無い会話をしたり、時に苛めてみたり。
そんな中、僕は彼女の中で何か心境の変化があったのかと小さな違和感を感じた。
彼女は、純粋で真面目。だけど、物凄い頑固で言ってしまえば良くも悪くも素直じゃない。
なのに、何故か前よりの少しだけ。ほんの少しだけ素直になった気がした。
僕は彼女に言う『大好きだ』の返事に『ありがとう』と返してくるようになった。
今まででは考えられない事だ。
そんな違和感を感じていたある日、彼女が仕事帰りに軽く会社による事になった。
僕は、久々に会える喜びと同時に少しの戸惑いを感じた。
多分、僕は彼女に会ったら抱きしめてしまうかもしれない。けど…それは我慢しなくちゃ。
その決意は、脆くも崩れ去る。なんて弱い意思なのかと自分で自分を叱咤する。
彼女が会社にきて、お互い何故がぎこちない態度と会話が続いた。
そんな中、やはり僕の理性は吹っ飛んだ。目の前に大好きな彼女がいるから。
気付いたら僕は彼女を抱きしめてた。自分でも抑えきれなかった。
しかし、驚いたのはその後。僕が抱きしめたら、彼女も僕を抱きしめてくれたのだ。
鼓動が止まらなかった。背の高い彼女は、僕と10㎝程しか変わらず頬と頬が触れ合う高さにいた。
その位そうしていただろうか。10秒?30秒?1分?時間の間隔が無くなっていた。
そして、僕らは抱きしめていた身体を話してお互いの目を見て笑った。何故お互いに笑ったのかは
今でもわからない。
そして、自然とキスをしていた。気持ちが繋がった瞬間だった。
キスが終わるとまた無言で抱き合う。そんな行為を数回繰り返した。
そして、その後椅子に座って少し話をした。
『本当はね、君のところに行くかどうか凄く迷ったの。今も罪悪感で押しつぶされそうで。でも、気付いたらここにいた。家族への罪悪感は拭えないけど、自然とここにきてた。』
そう言った彼女は、苦しさとも、恥ずかしさとも取れる表情をした。
そうか、色んな葛藤があってここに来たんだな。僕はさらに彼女が愛おしくなった。
『来てくれて嬉しいよ、ありがとう。そして苦しめてごめんね。僕の勝手な感情に巻き込んでしまって』
『巻き込まれてないよ?これは私が考えて、私が決めた行動だから、君が巻き込んだわけじゃない。』
『本当に~?君は素直じゃないからな~』
『素直じゃないのは、重々知ってます~!!!これが私だもん!!!』
そう言って膨れる彼女をもう一度抱きしめた。すると、そんな素直じゃない彼女が僕の耳元でこう言った。
『大好きだよ』
何度目だろうか、頭が真っ白になるのは。この数が月色んな衝撃を受けてきたが、これは効いた。
思わぬパンチを喰らった僕は、涙をこらえるので必死だった。
あまり言葉に出さない彼女の、その言葉がとても嬉しかった。
『じゃ、そろそろ帰るね。』
そういった彼女と別れ際に、またキスをした。
彼女を見送った後、すぐに彼女にLINEを入れた。
『今日はありがとう、来てくれて凄く嬉しかった。色々葛藤があるかもしれないけど、その度にぶつかってもいいから、楽しんでいこうね!!』
すると彼女からすぐに返事が来た
『正直、今とても罪悪感に苛まれて押しつぶされそう。けど、私も嬉しかった。また明日ね!!』
こんな有り触れた会話が凄く嬉しかった。
翌日、いつもの様に朝、彼女にLINEを送った。
『おはよ!!今日も良い天気だね!!昨日は幸せだったよ。昨日の余韻で顔がニヤけしまう(笑)』
するとすぐに返事はきた。
『おはよ!君は幸せそうでいいよね、私は嬉しさと一緒に、罪悪感とも戦わなくちゃいけないのに!馬鹿(/_;)』
彼女には申し訳ないが、この内容がとても面白くなってしまって一人笑ってしまった。
こうして、僕達の『不倫』と言う名の『純愛』が始まった。