第捌幕 ~奉行衆~
義秋の官位を正五位上へ変更しました
飯盛城(河内国)
部屋には三好家当主、三好筑前守長慶
そして、家宰、松永弾正少忠久秀がいた
「殿、お話があります」
「弾正か、如何した?」
「公方の弟君が還俗、山城南部を与えられたようです。」
「何? かの地は奉公衆の所領のはずだが?」
「はっ、そうですが、どうやら真木島氏以下を与力として、弟君に仕えさせるようです」
「自らが京から引く代わりか」
「恐らくは」
「弾正、繋を取れ」
「ははっ」
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槇島城
「お待ちしておりました、大和守様」
「お主は?」
「城代、真木島信濃守輝元と申します。」
「よしなに頼むぞ」
「ははっ」
「信濃守、槇島城は我の城となる、一時的に大住城へ入れ、伏見に城を建てる、後ほどそこへ入れ」
「ははっ」
「奉行衆に連絡して何人か寄越して貰いたい」
「奉行衆ですか?」
「ああ」
「承知しました」
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槇島城
山城南部に位置していた巨椋池
その中にあった槙島に築かれた城である
この城は周りを湖、湿地に囲まれ、攻めにくく守りやすい城であった
また、池に流入している宇治川の水運さえ握っていれば兵料の搬入も容易い城であり落とすのは難しい城であった
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槇島城義秋の部屋
「ふむふむ、それで伏見ですか」
「ああ」
「確かにそこを抑えるのは重要ですね、ああ、だから奉行衆ですか」
「奉公衆は武官、築城経験者は然程居ないと思ってな」
「ならば私が勧誘してきましょう」
「え?」
細川藤孝
こいつは何でも出来る奴だった
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京室町伊勢氏邸
「これは、与一郎殿、如何した」
「伊勢守様、此度はお願いしたい件がございまして」
「何かな?」
「ご兄弟を大和守に遣わして頂けないでしょうか?」
「ほほう、これはまた、貞雄の事ですな?」
「ははっ」
「なにゆえ?」
「殿である大和守に文官を必要なのでお願いに伺った次第で」
「伊勢の者で無くてもいいのではないのか?」
「一人という訳ではございません、伊勢氏がわが殿の元に来て頂ければこの後も動きやすいので」
「その年で恐れ入るのう」
「いえいえ」
「確かに、儂らも東山へ移るのに悩んでおったのだ」
「此処に百貫ございます」
「良かろう、誰か、弟を」
「ははっ」
「細川与一郎殿、後で今上陛下に官位を用意させよう、何がいい」
「執事、伊勢伊勢守様、であれば大和介を」
「やはりか」
「それ以外があると?」
「持っていけ」
「え?」
「綸旨だ」
室町幕府政所執事 伊勢伊勢守貞孝
彼もまた、戦国を生き抜いた猛者であった