long prolog is beiging
お初にお目にかかる世にまれに見る変態でござる。あとぐされ無きよう「飽き、即、斬」で切断してくれることを望むでござる。後、拙者は此度が初陣故に可笑しくても後生でござる。
Side ???
此処はこの国でも有数の霊山として崇められている。
山の麓はは常に薄く霧に包まれておりその神秘的な雰囲気を醸し出している。上を見上げれば山頂は見えず雲が大分尽くしており、其処に人にはたどり着けない世界が存在するかのようである。人は麓の参拝所までしか入れずそこから先は神の領域となっている。
当然の如くそこから先の道のりは、人の侵入を拒むかのごとく長く厳しい。樹海、岩だらけの山肌、そして低下していく気温この全てを越えなければ山頂にはたどり着けない。成人男性だとしても多くの人が諦めるだろうと頃に少女はいた。
ハッハッハッ
少女の荒い息だけがこの樹海の中に響いている。服装は着の身着のままでとても今から霊山にお参りにしにいくようにも見えなかった。まだ朝早く参拝所までの道彼女以外の人影は見えない。そんな誰もいない道をひたすら駆けていく。
そして、参拝所に続く階段を駆け上がり境内に入ったところで一度立ち止まった。
少女は一度息を整えると意を決し歩き出し参拝所を通り抜け裏に回った。其処には立ち入り禁止を表すロープが結ばれていたが、それを潜りぬけ、人の手が入っていない神秘的な雰囲気の中にその身を投げ出した。一言、「今迎えに行くから」と。
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Side change ???
「もう、早く起きなさい!」
寒さが厳しくなってきた秋から冬に向かう最中、布団から離れられないむしろ布団が離してくれないといった相思相愛な私達を引き裂く悪魔がやって来た。私は振り向かず布団を更に深く被り丸まって徹底交戦の意思を示す。私の愛する彼は悪魔から私を守ってくれる便利な彼なのだ、と、くだらないことを考えながら再び彼との夢の中へ逃避行を決行しようとしているといきなり悪魔が私から彼を引き離そうとする、咄嗟に彼を掴み引っ張り合いに持ち込むそして体をくねらせ彼に絡み付く。いかに悪魔だと言えど私達の愛のアムールを邪魔することは出来ないだろう。予想した通り悪魔が彼を引き離そうとするのをやめる。私は、勝利の余韻に浸りつつ彼との愛のハネムーンへと飛んでいく。
しかし、相手は長年の間私と彼のラバーを邪魔し続けてきた悪魔なのだった。
なんと私をベッドから蹴り落としてきたのだ。
私はフォーリンラブならぬフリーフォーリンラブをベッドからしてしまったのだ。
当たり前のように床とのキスのあと、彼は私から離れてしまう。どうやら床との浮気が嫌だったようである。これだから狭量な男はどこまでも女を縛りたがる、本当に困ったものだ。そこがまた可愛いのだか。
「もう、起きた?」
今何時だと思ってるのよと、悪魔が言ってくる。もうこれ以上の抵抗はいたずらに悪魔を怒らせるだけだと思い嫌々ながらも返事を返す。魔王になるともう無理。
「なんだいお姉ちゃん、私と彼との間に嫉妬して大声騒ぐなんて妹としてはかわいくも思うが姉としてどうなんだい?」
パシン!
「これ以上無駄口叩くならそれ相応の覚悟があると思うわよ?」
「ごめんなさいお姉ちゃん。まだ寝ぼけていたみたいです。けっしてお姉ちゃんをからかっていたわけではないのです。」
ふう、とお姉ちゃんがため息を一つつき溜飲を下げてくれた。
「リアラ、今日は領主様の所にいく日でしょ?準備を早くしなさい。」
エ~~
無意味な抗議の声をあげる。
領主という名のエロ親父兼権力で息子との見合いを無理やり勧めてくる下衆に合いに行くのは私の義務だからだ。
なぜなら私は世界でも珍しい魔導師なのだ。魔導師とはそのなの通り魔力を保有し、操り導く者。感じることも操ることも出来ないものを極める者。選ばれし者だと言う者もいるが私からすればただの異常者だが、とにかく、私は魔導師なのだ。
なぜ珍しいかというと、私は貴族ではないからだ。魔力はほとんど確実に遺伝するのだ。それも、魔導師同士ならより濃く、魔導師と非魔導師では薄く。ここから分かるように貴族は血をより濃くし、魔導の圧倒的な力を持って民を支配し続けてきたのだ。
そんな中に私のように貴族でもなく両親共に魔力を持たないのに魔力持ちが生まれることがある。
私のような人のことは豊穣の申し子と呼ばれている。
何でも昔の人が魔導を持って農村を豊かにしたかららしいが、貴族にとっては目の上のたんこぶである。魔導の力にで押さえつけていた民が、豊穣の申し子を使って反乱しかねかいからだ。
しかも総じて豊穣の申し子は魔力量が大きい。より濃くしようとしていた貴族よりもである。
魔導師にとっては魔力量はの差は圧倒的である。
例えば通常の魔導師二人分の魔力量を持つ魔導師には通常の魔導師二人では太刀打ちできない。攻撃の手数が多くてもである。魔力量の多さはそのまま魔導耐性にも繋がるし、何より、一人一人が一人分の魔力で魔導を放つのと、一人で二人分放つのでは威力が全く違うのである。
二人分の魔力量持つ人には一人分の魔力量を持つ人、四人で当たらなければならない。しかも、これは魔力量が大きくなればより顕著に現れる。三人分を持つ人には九人、つまり二乗は必要になる。
そんな目の上のたんこぶが、これ以上腫れないようにするため領主は毎週決まった日に領主の下へ来させ勉学を教えて反乱しない意思を刷り込ませている。そして、ある程度の年齢になったら決まった日に反乱しない意思を示しにいく必要があるのだ。
今日みたいにである。
しかも領主はできるなら私を自分の息子の嫁にしようとするのだ。豊穣の申し子の子供は魔力量がとても優れるからである。当然正妻ではなく、妾として子供を生むだけであるが、生活には苦労しなくていいだろう。
考えるだけで気分が陰鬱としたものになってきた。物心ついた時からこの運命を受け入れてきたとしても嫌なこと嫌なのだ。
わたしが産まれたときから決まっていた二つの未来、領主の妾か根なし草の冒険者。
いずれかを選ばなければならないがどちらもろくなものではないだろう。
表情に出ていたのかお姉ちゃんが心配げに私をみている。
「嫌なら無理しなくても良いのよ。一人では無理でも私達二人ならどこの町や村でも生活できるから。あなたの未来はあなたが真剣に考えて答えを出して。それに私は、、絶対に反対しないから。」
全く、困った姉である。
そんな表情でこんなこと言われたら私がお姉ちゃんを守りたくなるではないか。
それじゃあ支度をやりますか。
斬られました。