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01:犬の騎士・上

金色のお話。

それぞれのエピソードなどを上下など簡潔に書けたらいいなと。

上ではまだヤンデレ進化まではしていません。

あまり深いエピソードなどなしに回想と言った感じになってます。ぼんやりとしてて分かり難くなっているかもしれません。

冒頭よりは前のお話。出会い編みたいなものです。

わたしはため息を付いた。

自分で思っていたよりも重たい溜息がでてしまい、それが更に憂鬱を煽る。


「あなたは、なにがしたいの」

「何も。お側に控えさせていただければ、それだけで」


そう答えた声はわたしの足元の方から聞える。

まるで騎士の手本のように恭しく跪き、わたしに頭を垂れている。


言うまでもないだろう。わたしの今現在の憂鬱の原因は、この眼の前の人物である。

そばに控えている、ですって?よくまぁ言えたものですこと。


「なら、どうしてわたしの足元にいるのかしら?」

「こうしていたほうが、貴方のお声が聞き届けやすいでしょう?」

「横にでもいればいいわ」

「恐れ多いことです」


控えるというのなら、あなたのしている事こそ控えなさいよ……。

足元で常に跪かれていて、正直気が滅入る。


「用があったら声くらいかけるわ。四六時中そうしている意味などないでしょう……」


このやりとりは既に何度目か。

言外に「鬱陶しい」と伝えても変わらない。やめてほしいと訴えてもいるが聞き入れられた試しはない。

足元に何もないのは一時的にわたのそばを離れざるを得ないときだけだ。その一時の安息が懐かしい。

また溜息が出そうになるが、なんとか我慢をする。


そう、この目の前の男は、わたしのそばにいるときは、常にこうして足元にいる。



--



はじめこの男と引き合わされたときには「君の守護を任せているんです」と彼から紹介されたので、自分の警護を行ってくれる騎士に感謝していた。

紹介された騎士は、眩しいくらいの金色の髪が目を引いた。

人がよさそうな笑顔とは裏腹に、どこか空虚な目をしていたのが印象的だった。


けれどさして他人に対して興味もなかったわたしは「よろしくお願いします」と礼をしただけだった。


至ってまともな騎士という様子だった。

どこかつまらなさそうにしながらも、わたしが出かけるときは必ずついてきてくれ、言葉をかけると笑顔で応えてくれていた。本心はわからなかったけれど。それでよかった。


優しく見えても、実力派折り紙つきのこの国の騎士団長だと知ったのは暫くしてから。

引きあわせた当人も、特に彼の詳細については何も言わず、私も特に尋ねなかった。

ただ剣の腕は確かだとは言っていた。

彼は常にわたしのそばにいるが、けれどわたしには危険なことなどありはしなかった。

だから聞いてみた。


「私のそばに常に居なくてはならないのは、あなたの仕事に支障を来さないかしら?」

「問題ありません。現在では私の主な任務はあなたの護衛ですから」

「少しくらい、お休みをもらってはいかが?わたしが言っておくわ」

「ありがとうございます、ですが――――……」


彼がなにかを言いかけたその時


「団長ー!!!」

「何事だ、騒々しい。姫様の前だ、話しなら向こうで聞く」


目線でこちらを伺ってきたので軽く頷く。団長?と気になりはしたが呼びに来た騎士の様子は傍目にも慌てていて、なにかがあるのだと思われたから。

わたしの許可を得て、少し離れた場所で話す二人。声はこちらまではとどいてはこなかった。


「姫様、申し訳ございません。姫様を煩わせるものではありませんが、少し私が出向かなければならないような出来事があったようです。不甲斐ない部下を持ったばかりに」

「かまわないわ。団長であるあなたが行かなくてはならない自体となれば大事でしょう?わたしのことなどいいから行ってきて頂戴」


申し訳なさそうにそう言ってきたが、気にしなかった。

むしろわたしよりも優先すべきだとも思ったから。


「はっ。この埋め合わせは必ずや。姫様の平穏を乱す輩には相応の罰を与えなくは……」


罰って……。

気にしなくてもいいのに、とは思ったものの懸命にも口にはださなかった。


口に出すのが憚られるような雰囲気が、目の前の男からしていたせいかもしれない。

なんとなく、触れてはいけないような。


「では。お帰りはこれに送らせます。大事な御身、ひとりになどさせられません故。騎士としての腕は未熟で特に役には立ちませんが、貴方の盾くらいとしてなら使えるでしょう。―――……姫様を傷ひとつ負わせず守りぬけ」


最後の台詞は団長を呼びに来た若い騎士に対してだ。

あきらかにビクッと体を震わせて「ハイィィィ!」と涙目ながらに敬礼をしていた。可哀想にとても怯えているように思えた。


けれどわたしは、今まで知っていたこの金色の騎士の普段との違いに言葉を失っていたので、何も言えなかった。

普段まとっている空気とは明らかに、違っていたから。






「大丈夫?」


部屋へ戻る道で、私を送ってくれている若い騎士に声をかけた。

さっきは明らかに震えていてとても哀れだったのだ。


「はい?」


きょとんと、何を言いたいのかわからないといった反応を返された。


「だって、さっき団長さんに――」

「ああっ。お恥ずかしいです」


そういってちょっと顔を赤らめた後


「団長自ら姫様の守護を任されたのですから……緊張してしまって」

「えぇ?」


先ほど震えていたのは、怯えていたわけでなく嬉しくて震えていたの?

わたしの守護というのは別に大したことでもないはずなので、団長自らというところに感激してたのだろうな、と納得して、それからは無言で部屋までの道を戻ろうとしていた。



突然に


目の前に黒い影が、横切って。


ぴかりと銀色の冷たい金属の光が目に飛び込んできたのだった。

各色イメージとなるペット(というか動物)がおりますが、あくまでイメージです。

展開は早いと思います。

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