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色々なわたしのペットたち

閲覧注意かもです……。ヤンデレってなんぞや?と書いてみたらこうなりました。

10/20 あとがきに注意書き追加。

 わたしにはペットがいる。


「あぁ退屈」


 わたしがそう呟いて欠伸を噛み殺せば、銀色がその冷たく冴え冴えとした容姿を一変させて、柔らかに、美しい声と言葉と豊富な知識により様々な話を語って聞かせてくれる。時折その甘い声で睦言を交えながら。

それと、耳元でささやくのはやめて欲しい。

 銀色はとても賢く、確信犯的に翻弄するから油断がならない。


「冷たい飲み物が欲しいわ」


 と喉の渇きを訴えれば、蒼色が冷たく甘い果実を絞ったグラスを手にやって来、そのジュースを己の口の中に流し込んだ後にわたしの顎を掬い上げて口を割り、液体を流し込む。そのついでとばかりに舌を差し入れながら。


「ぬるい……」


 息継ぎの合間に苦情を言えば、その切れ長の目を細め楽しそうに舌を転がす。

 口の中にはもう先ほどの果実の味も何もないというに、わたしが音を上げるまで更に執拗に私の舌を追い回す。

 青色はねちっこい。


 黒色は私が何か言うのをただじっと待つ。

 大きな体ながらに存在感を消してわたしの傍らに佇ませ、私の命があるとそれがどのような内容であれ嬉々として執り行う。そして戻ってくると簡潔にその仕事の結果を伝えてまた私の傍らに控える。

 黒色は寡黙で忠実だが、わたしの言葉しか受け入れない。


 黄色は奔放で自由気ままに動きまわる。

 頼んでも居ないのにわたしのためと称して勝手に色々とやらかすが、本人には悪意もないが善意もない。

 毎日勝手に布団の中に潜り込んではわたしの体をまさぐるので、その都度2階から放り出しているのに、翌日にはまたちゃっかりと侵入してくる。

 黄色は素直なのはいいが欲求に忠実に行動しすぎるのが玉に瑕。


 白色はふわふわとしていて可愛らしく、わたしに甘えてよく抱きついてくる。

 わたしの胸元あたりにくる柔らかい頭を撫でると、嬉しそうに更に擦り寄ってくる。

 可愛い外見とは裏腹にお腹が真っ黒だと周りは言うのだが、わたしの前では大人しく振舞っているので事実かどうかは分からない。わたし意外に対して、彼の小さな口から出る容赦のない言葉の数々は聞かないことにしている。

 白色は可愛い見た目だがその中身は真っ黒。


 金色は……いつもわたしの足元に跪いている。というか暇さえあればわたしの足の指をペロペロとなめている。

 最初はそのなんとも言えない感触が気持ち悪く止めさせようとしていたが、それをしていない間の彼はとても哀れっぽくこちらを見てくるので、何故かこちらが悪いような気にさせられる。

 とても幸せそうに恍惚とわたしの足を、それはそれは大事なもののように舐めるので、もう好きにさせている。

 たまに鬱陶しくなったときは蹴るが、もっとして欲しそうに期待を込めた目でみてくるので極力刺激しないようにしている。

 金色は、変態。



 彼らはわたしが特になにもしなくても、わたしを大切に扱い甘やかしてくれる。

 むしろ、自分ではなにもしてくれるなとでも言うように自分たちで囲い込む。


 わたしがこうしよう、と言うと無条件で従い。

 何も言わなくともわたしの意を汲み行動を起こす。そしてやり過ぎる。

 彼らはとても有能で、彼らが元いた場所からわたしについてきた後は多大な混乱が起きていた。


私生活でなにもしなくていいようにと、とてもよく出来た侍女と家令をつけて管理を行ってくれるようにしてくれた。ただし、一定距離には近づいてはいけないらしい。


生活が楽になるためと、中枢を担っていた、自分の腹心の部下ごとまるまるわたしのもとへ連れて来るものもいた。


 わたしに悪しき輩が近づかないように、と気遣って綺麗さっぱりもろもろの始末してからわたしのもとへ来るものもいた。


 暇つぶしにと、たくさんの人間を連れてきておもちゃに使っていいよ、と言ってきた。いらないから元の場所に捨ててきてもらったけれど。


 貢物です、とたくさんの宝石とドレス、家や土地ごと贈ってきたものもいた。いらないと言う前に押し付けられてしまった。


 わたしをいじめていた人間たちを全て取り押さえ、その首をずらっと玄関前に並べてから、ご褒美頂戴とキラキラした目で見つめて来たので、後始末させたあとお説教をした。けれどむしろ怒られる事のほうが嬉しそうだった……。



 わたしは、ただそこにいただけなのに。


 何故か、わたしは行く先々でペットを拾ってしまう。

 拾わないことなど許さない、拾ってくれなければ死んでしまうとでも言いたげにむりやりついてくる。


 わたしに拒否権など、ない。


 有り余るその情熱をただわたしのみに向け、他のものには関心を示さない。

 元いた場所になんの未練も残さない。興味があるのは、わたしにだけ。



 ほんとうに、よく出来た子達……。


 わたしにはもったいない。


 なんども、なんども戻った方がいい、と説得したのに。本当はこんなところへいるべきではない、と。

 わたしなんかよりも、ふさわしく美しい人ならいくらでもいる。そう言っても聞く耳を持ってくれない。

 あの手この手で話題を逸らされ意識を違う方へと追いやられ。妬いているのかと何時も以上に甘やかされて。


 ならわたしがいなくなればいいか、と逃げ出そうとしては、たちどころに彼らのうちの誰かに捕まえられて、たっぷりのお仕置きの後、数日間は外出禁止を言い渡される。

 外は危険でいっぱいだからと。


 彼らはわたしを愛していると言う。


 わたしも彼らを愛しく思っている。けれど彼らの愛は重すぎる。



 前に外出した折に手に入れたアクセサリー。

 その枠の部分をみつからないようにこっそりと。入念に時間をかけてゆっくりと。

 外れるように、細工しておいた。その細工をすこし剥がし、取り外すと。


 中には小さな、ガラス片。

 わたしがこの場所から逃げる唯一の方法。


 前に不注意からグラスを割った時、慌ててわたしをその場から釣れ出し怪我をさせないようにと綺麗に片付けていた。

 けれど、偶然とわたしのドレスの上に飛んできて誰にも気付かれなかった、人差し指ほどあるこの欠片。


 この日のために、ちゃんと研いでもある。 


 いつもは、四六時中誰かが必ずそばにいる。

 今は、わたしが全員にそれぞれ「お願いごと」をしていた。その為この部屋には、ひとりきり。


「あぁ、やっと……」


 隠し持っていた先の尖ったちいさなガラス片を首に当て。深く突き刺し掻き切ろうとした所で――――――


 

 その気配に。気が、ついてしまった。

 閉じていた瞳を開けると。目の前には、爛々と輝く六対の瞳。


 首には小さな擦り傷と、呆気無く奪われるガラス片。


 金色はニコニコとガラスを握りしめ。

 ボタボタとその手のひらから血が滴っていた。


 いつの間にか、捕らえられ。

 わたしは瞳から一粒涙を零し。


 首にできていた小さな傷口に、チリっとした感覚を覚えた。いつのまにか黒色が背後に周りわたしの首の血を丹念に舐めとっていた。

 涙が浮かぶその瞳に、涙が伝ったその頬に。口に、手足に柔らかく温かい感触を感じる。


 金色が自身の血を舐めてから、わたしに口付けした。

 その際、唇に彼の血が付着して紅く染まった。


「やっぱり君には朱が似合うね」と。

 彼らはわたしにうっとりとしながらも、ゆるやかに手足の拘束を強めていく。



 わたしは彼らからは、逃げられない―――---。

お試し作。落ちがつきませんでした……。

ドロドロに甘やかされて毒に浸されるようなこういう関係って萌える。(ぇ

【注意】

もともと短編として書いた内容の1話なので、これ以降の話は、若干この内容と異なる点があります。

主人公の性格も各色によってズレが生じている可能性ありです。

閉じ込められる前のお話になります。更新は週一ペース。

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