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私という欠陥品
私という欠陥品は
歯車のかけた機械時計です
歯車がないので途中で止まってしまうのです
そこから次に回ることを伝えることは出来ません
針は動かぬまま
壊れた時間を指し続けています
その時刻というのは
私が私を投げ捨てた時刻なのです
上からぐるぐると回り
下からぐるぐると回る
止まることなく歯車は回り続けます
ぎちぎちと奇怪な音を立てようと
止まることはないのです
やがて私という欠陥品は
上も下も分からぬようになってしまい
転げ落ちました
私は私を掴んで
箱の中へと投げ入れました
まだ動けるというのに
直せばまだ使えるというに
私は私を捨てたのです
暗闇の中で私は
かちこちと音を鳴らすのです
それはここにいるということを伝えるためではなく
それが義務だからし続けるのです
そして私は壊れたのです




