片目を遮る先
片目を遮って世界を見た
「代さんが見えてる世界はこんな世界?」
違うと代さんは首をふる
両目で世界が見えるのに
代さんは片目で世界を見ている
「どうしてなの?」
質問に答える気はないようです
片目だけ色が違うから隠してるのかな?
『隠して意味のあるのかよ』
大きな傷があるからかな?
『だったら眼帯をしているはずだ』
それじゃあどうして片目を閉じてるの?
『話す理由はないさ』
質問に答える気はないようです
考えても考えても分からない
レイカはカッコつけだって
そんなわけないのにさ
他人にはどんな世界が見えてるのかな
そんな好奇心が聞き始めた切っ掛け
来る日も来る日も同じように
片目を遮って世界を見ている
代さんは理由を語ってくれない
見えないその先に何があるのだろう
とある日に東雲が言った
『陰と陽があるように、世界にも境があるのだろう』
境って?
『お主みたいなことじゃ』
片目を遮って見る世界に
変わりはないように思える
それはいつもの光景で
ありふれた感触
東雲が言った境ってなんだろう
疑問がまた増えた
私は暇を見つけると片目を遮って世界を見る
まだ先は真っ暗で何も見えない
代さんはどうして片目を閉じてるの?
東雲が言っていた境ってなんだろう?
天狐と戌神の不思議
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