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境の幻
それは見えることない平行線
絶えず接し別れてまた会う
幾つもにも重なった点の上に
積まれる夢を溶かして
それは1つの線となる
絶え間なく消えては現れて
止まることを知らない脈動
故に人は境と呼ぶ
接しているはずなのに
決して交わることのない交差点を
歩く旅人を私たちは見続ける
手にふれることのない向こう側
けれど見ることはできるその向こう
覗き込み見えた異なる風景
1つの形を
1つの道を作る
旅人がまた1人
終わりのない旅を始めた
幾重に連なる螺旋の道を
平行線と名付けて記録に記す
夢はまた点を結び線を描く
終わることない
歯車は回り続ける




