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霧かかり日よ
道はまだ遠く
それは遥か続く階段の上
霧かかる門に明かりを灯そう
それは道いく者へ手向け
迷わず進め魂よ
因果なる世界に生まれて朽ちる
生死の境は曖昧ではっきりと
境界はまだ彼方の向こう側
戻るなら今だ
私は手を差し伸べる
霧は未だ濃く空を包む
日はまだ昇らない
薄暗く明かりが灯る
その光は陽炎の燈籠
道行く者に安らぎを
霧かかる石段の
燈籠に刻まれた名前は何処へ
記憶はまた刻まれる
ここをなんといおうか
森と呼ばれた山の中
誰も見ることないその先に
果てない道はあるのだろうか
霧はまだ晴れない
永久に門を隠し包む
それは森羅万象への手向け




