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雪の手を温めよう
落ちた雪は地面に消えて
そしてまた空から舞い落ちる
寒いいつかの季節
君と手を握り歩いた回廊に
まだあの時の雪は残っているかな
冷たくなった君の手は
それはまるで真冬の暖かさ
集めては崩れ行く
今はもう雪の向こうに
それでもまだ会えると思うんだ
雪は晴れてそれでも積もる
溶けることなく今は雲の中
手を掴もうと虚空を掴む
もう何もない回廊の中に
ボクはまだ君を待っていよう
どこか遠くにあるはずの
今年の冬はまだ来ない
あの時の冬がまだ残る
春なんていつ来るのだろう
白い煙は陽炎に
それはまだここに残る
冷たくなった君の手を
その手をボクは暖めに行こう
廻る回廊に雪は積もる
それはまだ昨日の雪だ
今日の雪はまだ雲の中
手を空にかざしてそれを掴みとろう
また君がここにやって来ると願って