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箱庭の朝で
眠気を帯びた瞼
身震いを糧に
無理にこじ開けて
朝日を差した
纏わりつく哀愁を
電子音で上塗り
重い靴を履いて
足跡を形作る
濁る視界を
青が薄めて
何となく嫌いだ
ため息をそよ風に
歩き始める今日
終わりを夢を見て
陽の背に向けて
陰を探す
一日という責任に
既に押し潰されて
嗄れた呟き
すれ違う若き声
一瞬の寂しさを覚えて
箱庭の中を歩く
普遍に安寧を抱くも
不変に不満を持つ
ちぐはぐな趣のままに
淀んだ視線の中を泳ぐ
「いつも」の果て
虚無に溺れて
生き継ぐ暇もなく
歪んだ箱庭の中
轍よりも正確な往来
意味すらすり減ってなおも
朧気に価値を求めて
青が濃くなった
滲む視界の果てを目指す




