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夕時雨

 

蝉時雨 暮れなずむ

陽炎せせらぎ 翳り追う

染み込む斜陽 すり抜けた

眩しき果て 残った無垢が

手を振った 瞬く間に

過ぎ去る轍 なぞる反射光

静寂に埋もれて遠退いた

残照の瞬き 捉えた薄暮

明星と気付かずに沈み

若き日の足音 夜へ赴いた


暮色の路地 吹き抜けた涼風

褪せた闇から目を醒まさせて

真下の星 点々と照らす

絵取る瞳 足元の洛陽

せり出た影 宵にさらわれて

さらさらと崩れる足音

私が解けていくように

踏み出す一瞬 遠退く視地平線

夕闇の果て 乾いた声は

晩夏に溶けていた

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