ノータイトル
心を動かされて何かを決意した時
ふと探した 自分の中に何があるだろう?
探し物はなくて そもそも何もない
ただ胸の内に伽藍洞を見つけてしまった
一生懸命に生きている人たちを目の前に
私はただ通り過ぎていくだけ
いいようのしれない不安に足が竦んだ
夢見ていた未来にたどり着けず
目指していたものも手放した
成長してくうち なんとなく生きて
手元に残ったもの 記憶に残ったものも
何もなかったことに今更気付いた
誰かの生き方を見てるしかなかった
そんな私に出来ることはあるだろうか?
震えた声で呟く 側にいる人もいないのに
誰か背中を押してと通り過ぎていく人達に叫んだ
誰にも届かないと知っていても
たった一つでいいと歩き出す理由を探していた
心が色褪せてくように無気力なっていく
走り去る人影の背中を目で追って
いいなと呟く 手を伸ばして空を掴んで
広がっていく心の伽藍洞が苦しくて
何かで埋めようと足掻いては失敗した
そうしていく内にそれは傷になって
いいようのない痛みが身体を巡る
弱音を吐けば吐くほど空っぽの心が痛んで
周りの人たちが妬ましく見えてくる
そんな自分を嫌いになって堂々巡りを
いつかこの苦しみから抜け出したいのに
竦んだ足が動いてはくれないんだ
それでいいじゃん 誰かが背中越しに語りかけた
幾千とすれ違った人影の中 たった一度きり
名前も見た目も知らないその影が
軽く背中を押してくれた じゃあ後は君次第
私の横を通り過ぎっていった