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晴れぐもり

 

曇り空の切れ間 恥ずかしがり屋の太陽

顔を覗かせた その眼を指差して

逃げていく雲を掴まえたら投げつけて

涙雨を降らせたら笑ってやろうか


追いかけてくる影を蹴り飛ばして

穴開きの傘を差して濡れていく

ずぶ濡れになった髪をかきあげて

気取ってみせた無様な生き方を


走り去っていく雨音 遠くで転んで

雷が声を枯らして叫んだ 助けを求めて

その下で知らんぷり そんな暇ない

寝そべった部屋の片隅で雨漏りが

しくしく泣き続けていた


惰性のままに行きずり 傘も忘れて

まだ泣いたままの天気 気に止めずに

泥を吸ったズボンの裾が重くなっていく

飛び散った生き方が蒼く濁っていく


言いようのない不安に駆られるのに

雨に濡れて洗い流したら安堵した

罵詈雑言を気ままに吐き捨てたら

すぐに晴れるよ 無邪気な嘘を信じて


冷えていく手が物語る 本当の景色から

目を逸らして曇天の暗さを好んで

傘の穴から雲の切れ間を眺めていた


ずぶ濡れになっていく身体が生暖かくて

ずっとこのままでいたいよ 俯いた地面

落ちてきた影が笑い出しから踏みつけて

滴る雨音が耳を貫いた

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