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理想という嘘を信じて
理想を語れるほど夢はなく
漠然と時間を潰す針 拉げても直せず
それなら無意味かと過去を投げ出す
その中にあった後悔さえ忘れて
賢者のように振る舞うか 演じれたのは愚者
虚飾を着る度に皮は剥がれる
剥き出しの苦悶もあざ笑うか 歪んだ笑みを浮かべ
赤色が滲む首元隠し 叫びを飲み下す
悪意が晒したのはほんの一握り
後ろ指を指す友よ 胸を突き刺して
壊れていく 音を立てて歯茎を見せて
崩れていく 作り笑いも虚栄さえも
曝け出された骸 真実とは醜いのもよと
群がる欺瞞に滲み出た心さえも踏み潰された
吐き捨てた言葉 それに裏切られて
引き摺り出された願望 自ら噛み千切る
気色の悪いことよ 大衆の浪費物にすらなれぬと
畜生すら振り向かないなら それは哀れな無価値だ
それを何と呼んでいたのか 心象が煙を吐く
帳尻合わせの夢 有象無象の上の空
数合わせの芝居であった 案山子は鼻で笑う
理想に呑まれた骸骨はまだ気付かぬと