表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
625/661

星とおとぎ話と

 

旅人たちのおとぎ話

暗闇の先には無数の穴が空いていて

そこからたくさんの光がこぼれている

昔の人はそれを星と呼んでいた


真っ黒な空を指差して

その先にあるかもしれないね

おとぎ話が大好きな君が言った

いつか見てみたいな

その日から君がいなくなった


帽子をかぶって鞄を背負って

ドアの先に広がる暗闇

その先で君を探す旅に

行こう

決意とは真逆に震える歩幅

ランタンの灯りを頼りに

先のない暗闇へ行く


烏が鳴いた

暗闇が泣いた

見えないものが多いけど

残っているもあること

それがどれだけ大切か


狼が吠えた

暗闇が吼えた

傷つけ合いながらも助け合う

すれ違ってもいつかは側にいる

確かに生きていることを


追いかけっこのように

君の過去を追う

知りたかったもの

知りたくなかったことも

一つ一つ拾いながら

君が辿り着くいつかを追って


昔の町は語った

星の見える丘があると

おとぎ話の続き

空が落ちてきた話も聞いて


いつかは辿り着く結末の先

それでも見えない暗闇の中

ランタンの灯りをかざして

この狭い世界を歩く


その先で君に会えたとき

たくさん旅の話をするために

書き留めた日記を抱いて

まぶたをそっと閉じた


また会えますように

見たこともない星に祈る

ランタンの灯りは消えていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ